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米政府が国民の情報収集をしていた「PRISM」問題を暴露したCIA元職員が実名公開


Google・Apple・Yahoo!・Facebook・Microsoftなどインターネット関連企業のサーバにアメリカ政府の情報機関が直接アクセスして情報収集をする極秘のプロジェクト「PRISM」が存在しているということが先週明らかになりましたが、The GuardianWashington Postの情報源となったCIAの元職員が実名を公開し、なぜ情報を公開したのか、その事情を語っています。

Edward Snowden: the whistleblower behind the NSA surveillance revelations | World news | guardian.co.uk
http://www.guardian.co.uk/world/2013/jun/09/edward-snowden-nsa-whistleblower-surveillance



問題の人物はEdward Snowden(エドワード・スノーデン)氏、29歳。コンサルタント会社ブーズ・アレン・ハミルトンやデルの契約社員として、4年にわたって国家安全保障局(NSA)で働いていました。今回、極秘情報を公にすることを決めたときから、実名を名乗ることを決めていたそうです。


「自分がしていることは何も間違っていないので、自分が何者かを隠そうとは思いません」とスノーデン氏。それでもメディアに姿を出したくない理由については「注目は私に関する話ではなく、アメリカ政府が何をしているのかについてであって欲しいから」とのこと。

スノーデン氏はノースカロライナ州エリザベスシティ出身。優秀な学生というわけではなく、高校の卒業証書をもらうためにメリーランド州のコミュニティカレッジに通ってコンピューティングの勉強をしたものの、コースの課題がクリアできなかったそうです。2003年には軍隊に入隊するも、訓練中の事故で両足を骨折して除隊。メリーランド大学でNSAの極秘施設の警備員をすることになって、NSAと関わるようになりました。その後、CIAでITセキュリティの仕事に就き、2007年にはスイスのジュネーブに派遣されるに至りました。


インターネットやコンピュータ・プログラミングについての理解が早かったスノーデン氏は、この頃には多くの機密文書に触れられる立場にあり、CIAにいた3年間で彼が見たものの正義とは何なのか、考えさせることになります。たとえば、銀行家にわざと飲ませて車で帰るように仕向け、飲酒運転で捕まったところを秘密捜査官が助ける、というような仕事があったそうです。「私がジュネーブで見たものの多くは、アメリカの政府機能と、それが世界に与えている影響について、幻滅させるものでした」とスノーデン氏。自分が有益なものではなく、害となるものの一部になっていることに気付いたとき、初めて「政府の秘密を暴露する」ということを思いつきましたが、CIAの持っている秘密は機械やシステムではなく人々に関するものなので、暴露するのは思いとどまったそうです。

2008年の大統領選でバラク・オバマが大統領になったとき、スノーデン氏は「これで改革が行われる、暴露なんて必要なくなる」と考えてCIAを辞め、民間業者としてNSAと契約し、日本の米軍基地で働くようになりました。しかし、オバマ大統領が推進したのはスノーデン氏から見ると抑制すべきだと思っていた政策だったため、改めて決意を固めることに。このころ、情報公開のためのリーダーを探していたそうですが、「誰かが行動するのを待っていてはいけない」と気付き、そこから3年にわたって、NSAの監視活動がどのように進められているのかをチェックし続けました。スノーデン氏いわく「NSAは、世界中のすべての世間話・振る舞いにいたるまで、監視することに余念がなかった」とのこと。


かつて、インターネットを人類の歴史の中で最も重要な発明だと感じたスノーデン氏は、“ユビキタスな監視”によって、インターネットの価値が基礎的なプライバシーとともに破壊されつつあると考えました。「私は自分がヒーローだとは思っていません、やっていることはただ利己的だからです。私は、プライバシーがなく、そのために知的探究や創造性のない世界になんて、住みたくないのです」

NSAによる監視がもはや取り消せるレベルのものではないという結論に達したことで、今回の情報公開を決意したというスノーデン氏。議論が広まっていることで、やったことに価値があったと納得し、後悔はしていないそうです。今後は、無理かもしれないが、ネットの自由さで知られているアイスランドへの亡命を希望しています。

情報公開の1ヶ月ほど前からスノーデン氏は香港のホテルに滞在。スパイを防ぐため、部屋から出たのはわずか3度ほど、ドアのそばには枕を敷き詰めて防音して立ち聞きを防いでいるほか、監視カメラに映らないよう、ノートPCでパスワードを入力するときには頭からPCごとすっぽりとフードを被るとのこと。


ちなみに、スノーデン氏が明らかにした資料に出てくる「PRISM」ですが、Googleのラリー・ペイジCEOは「そんな名前は昨日まで聞いたこともなかった」と、プロジェクトへの関与を否定。政府への利用者データの情報提供は、あくまで法律に従っての範囲であり、バックドアがあったり、無制限にアクセスが可能というレポートは間違っていると反論しています。

Official Blog: What the ...?
http://googleblog.blogspot.jp/2013/06/what.html


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in メモ, Posted by logc_nt

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