液体を噴出するスプレーボトルはどのようにして内部の流体を噴出するのか?
by 24oranges.nl
スプレーボトルとは電気や圧縮空気といった動力を必要とせずに、レバーを引くことでボトル内にためた液体をノズルから噴出するボトルのこと。そんなスプレーボトルを解体して調べた仕組みを、エンジニアのアレックス・エリスさんが自身のブログで解説しています。
Why does a spray bottle work? · Caffeinspiration
https://alexanderellis.github.io/blog/posts/check-valve/
ボトルの中に芳香剤や消臭剤、あるいは消毒用のアルコールなどを入れて、トリガーを引いて使いたい分だけ外部に散布するスプレーボトルは、非常に便利で身近な装置です。スプレーボトルを単純な図式にして説明すると、以下のようになります。スプレーボトルの主要な構成要素は、噴出したい液体(流体)を貯蔵する「リザーバー(RESERVOIR)」、噴出する流体を一時的にためておく「ステージング(STAGING)」、流体をスプレーボトルの外部に噴出する「ノズル(NOZZLE)」に分けることができます。
ここで流体とは、粒子が固定されておらず流動するものを指します。空気などの気体も水道水や消毒用アルコールなどの液体も同様に流体であり、スプレーボトルは内部の流体を外部の流体へと分配する役割を果たす装置だといえるとのこと。スプレーボトルをさらに単純化すると、以下のようになります。ステージングにはピストンのように流体を圧送する「プランジャー(PLUNGER)」が取り付けられており、プランジャーのはたらきによってステージング内の流体を制御します。
スプレーボトルにおいて、ユーザーインターフェースといえるのはトリガーです。トリガーはプランジャーに接続したシンプルなレバーであることがほとんどで、トリガーを押すとステージングにためられた流体が押し出され、ノズルから噴出されます。流体が噴出し、トリガーが緩められると内部のばねが押し戻されて、真空の効果でリザーバーからステージングに流体が引き込まれます。このサイクルを繰り返すことにより、スプレーボトルは何度も連続でトリガーを引き、内部の流体を噴出することができるのです。
「スプレーボトルが有効に動作するためには、2つの重要な要素が必要だ」とエリスさんは語ります。まず1つ目の要素が、「ステージング内の流体がノズルを通り、外部へと噴出すること」。流体がリザーバーの中に戻ってしまっては、スプレーボトルは何の役にも立ちません。そして2つ目が、「トリガーが緩められたときに補充される流体は、スプレーボトル外部の流体(空気)ではなく、リザーバー内の流体であること」。外部から空気がステージングに流入してしまえば、スプレーボトルは空気を吐き出すだけの装置になってしまいます。
以上2つの問題は、スプレーボトル内で流体が「リザーバー」→「ステージング」→「ノズル」の一方向のみに移動するバルブを作り出すことで、解決することができます。流体が一方向にしか移動しない単純なバルブを作り、リザーバーとステージングの間、ステージングとノズルの間の2カ所にバルブを接続すると、ステージングの流体がリザーバーに戻ることを防ぎ、ノズル外の流体がステージングに入ることも防ぐことが可能です。エリスさんがスプレーボトルを解体して調べた結果、以下のようにボール・バネ・一方に穴の空いたシリンダーからなるバルブが使われていたとのこと。
ばねの圧力と右側の流体による圧力でボールがシリンダーの穴に押しつけられ、スプリング側の流体がシリンダー内に流入することを防いでいます。同時に、穴に押しつけられたボールによってシリンダー内の流体が右側に流れ出ることも防がれ、流体の移動がない状態が保たれています。
ここで、トリガーを引いてプランジャーを動かし、シリンダー内の圧力を上げてみます。すると、シリンダー内の流体は圧力に耐えきれなくなって移動を始め、穴に押しつけられたボールに圧力をかけます。シリンダー内の圧力がばねと右側の流体(空気)がかける圧力を上回った場合、ボールは押し出され、ボールと穴の間に空いた隙間からシリンダー内の流体が逃げ出します。プランジャーから圧力を与えるのを中止すると、再びばねと右側の流体から受ける圧力がシリンダー内の圧力を上回り、ボールは穴に押しつけられて隙間をふさぐのです。
上記の仕組みを持ったバルブを、リザーバーとステージングの間、ステージングとノズルの間の2カ所に接続することで、スプレーボトル内の流体移動方向を一方向に限定しているのです。リザーバーとステージング、ステージングとノズル間に設置されたバルブにおける、流体の移動方向を矢印で示したモデル図が以下。
トリガーを引いてプランジャーを動かすことでステージング内の圧力が高まると、ステージングとノズル間のバルブが開き、ステージング内の流体がノズルを通って噴出します。トリガーを緩めるとバルブは閉じ、外の空気がステージングに入ってくることはありません。同時にステージング内が真空状態になることで、リザーバーとステージング間のバルブが開き、真空の効果によってリザーバー内の流体がステージング内に補充されます。これが、スプレーボトルが動作する仕組みだとエリスさんは説明しています。
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