インターネットは海底に敷かれたケーブルによって成り立っている
現代に欠かせないインターネットを支えているのは、世界各地を結ぶように海底に張り巡らされたケーブル網です。そのメンテナンスを担当している人物に迫ったムービーが、MotherboardのYouTubeチャンネルで公開されています。
Inside the Beach House Connecting the World’s Internet - YouTube
Facebookや電話、Netflixやメールのやりとりなど、大西洋におけるデータ通信のほとんどは海底に敷設されたケーブルを介して行われています。しかし、ケーブルがなければ普段通りにネットを使えないという事実は、それほど多くの人には知られていません。
デンマークの工業地帯にあるこの小さな建物こそ、巨大なインターネットの根幹を成しているのだそうです。
この人は海洋メンテナンスの管理者であるKeld Sorensenさん。北海と大西洋をつらぬく海底ケーブルの責任を負っています。
地図にあるように、北アメリカとヨーロッパの間は3系統のケーブルで結ばれています。
海底ケーブルの1つ「TAT-14」はデンマークとニュージャージー州をつないでおり、北アメリカとヨーロッパをつなぐデータの高速道路のようになっているとのこと。
例えば、アメリカでGoogle検索が行われた時、7500キロメートルを渡ってデンマークまで信号が送られてきて、そしてまたアメリカへ信号が送り返されます。これにかかる所要時間は80ミリ秒。これを可能にしているのが光ファイバーであり、これなくしては何もかもが正常に働かなくなるとKeldさんは述べています。
そんな重要なケーブルシステムを管理するコントロールルーム。
緑色で表示されている部分はステータスが「良好」ということであり、ここの色が変化したらネットワーク上に何らかの注意点があるということ。
「最悪の事態は、ケーブルが切れてしまうこと」とKeldさんは述べています。実際に、船が海中に下ろす錨がケーブルに当たってしまった事態があったとのことです。
展示されていたのはねじれて損傷したケーブル。これはケーブルの内側のコアを囲んでいた外装ワイヤが錨に当たり、海底に引きずられて起こった現象とのこと。
ケーブルが運んでくるデータは誰かにとって欠かせないものであり、ケーブル管理を担当しているエンジニアが少しでも集中力を欠くと、それだけで多くの人の作業ストレスにつながるというほどに、この施設の仕事は重要です。Sorensenさんによれば、多くの人は「インターネットがすべて衛星経由でつながるワイヤレスのもの」という大きな誤解をしているとのこと。実際、海底ケーブルを目にする機会はほとんどありませんが、インターネットは極めて物理的なものです。
このマンホールはLANケーブルと海底ケーブルが合流している地点のものです。ここから海岸まで、地底をケーブルが走っています。
水深が浅い地点では錨や釣り針によって海底ケーブルが損傷することがあります。損傷事例の90%はこのケースだとのこと。
ただ、どこかが損傷したとしても、複数の経路が設けられているので、データは別のルートを通って届けられます。
海底ケーブルはGoogleやFacebook、Amazon、Microsoft、Appleといったサービスプロバイダや通信キャリアによって敷設されています。Sorensenさんは、海底ケーブルは他のものに置き換えられることなく存在し続けると確信しているとのことです。
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