サイエンス

「世界最小の家」が光ファイバー断面上に構築される


髪の毛ほどの太さの光ファイバー断面に、「世界最小の家」を組み立てることにフランスの研究者が成功しています。

Smallest microhouse in the world, assembled on the facet of an optical fiber by origami and welded in the μRobotex nanofactory: Journal of Vacuum Science & Technology A: Vol 36, No 4
https://avs.scitation.org/doi/full/10.1116/1.5020128

「世界最小の家」を組み立てることに成功したのは、Femto-ST InstituteのJean-Yves Raucha博士の研究チームです。実験では、収束イオンビーム(FIB)とデュアルビームスキャンSEMの両機能を持つ「Zeiss Auriga 60」を使い、組み立てにはSmarAct製の6DoFのマイクロロボットが用いられたとのこと。

家の素材には薄膜のシリカ(二酸化ケイ素)が採用されました。ガリウムイオンビームを使って薄いシリカをエッチングして厚みに差を持たせ、ロボットで折りたたんで立体にする「折り紙」方式が採られました。


光ファイバーの断面に、基礎を作ります。世界最小の家のフットプリントは、25マイクロメートル×25マイクロメートルだとのこと。


家の展開図を切り出し……


内部に補強用の柱を立てつつ、壁面を折りたたんで家を組み立てます。


完成した家はこんな感じ。7つの窓とタイル調の模様の入った切妻の屋根を持ちます。なお、屋根の上に見える白い物体は「煙突」だとのこと。研究所のあるフランス・ブザンソンは冬に雪が降るため、煙突は必須だそうです。


もちろん実験は小さな家の模型を作成するのが目的ではなく、デュアルビームSEM、FIBを組み合わせることで、極小サイズの立体物を形成できるマイクロロボット制御技術「μRobotex」の高い精度を実証するために行われたそうです。

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in ハードウェア,   サイエンス, Posted by darkhorse_log

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