ネッシーは果たして本当に存在するのか?を科学者がDNA調査することに
by StaraBlazkova
未確認動物の代表ともいえるネッシーは存在する証拠がないといわれつつもいまだファンが多く、25年もの間ネス湖に滞在し続け調査しているハンターが存在するほど。「果たしてネッシーは本当にネス湖に存在する可能性があるのか解明したい」ということで、科学者がDNAシークエンシングを用いて調査を開始することが発表されました。
Kiwi scientists to lead new hunt for Loch Ness monster - NZ Herald
https://www.nzherald.co.nz/nz/news/article.cfm?c_id=1&objectid=12055488
Scientists Are About to Catalogue All The Life in Loch Ness Once And For All
https://www.sciencealert.com/scientists-catalogue-all-life-loch-ness-once-and-for-all
Scientists to Hunt for Loch Ness Monster DNA
https://www.livescience.com/62646-hunt-for-loch-ness-monster-dna.html
スコットランドのネス湖に現れるという未確認動物・ネッシーの歴史は、西暦565年にアイルランド出身の聖職者コルンバが遭遇したという記録にまでさかのぼります。その後、1930年以降に目撃情報が相次ぎ、1934年に有名な「外科医の写真」がデイリー・メールに掲載されると、世界中の人がネッシーの存在を知ることとなりました。しかし、1993年に死を間際にしたクリスチャン・スパーリング氏が「外科医の写真」がおもちゃを使った義父のジョークであったこと、社会的地位のあるロバート・ケネス・ウィルソン医師に偽証を頼んだことなどを明かしました。
しかし、写真の存在が否定されたからといって、1000年以上続くネス湖の怪物の伝説が全て否定されたわけではありません。そこで、ニュージーランド・オタゴ大学の遺伝子学者であるNeil Gemmell教授率いる研究チームは、2018年6月からネス湖の環境DNAについて調査を行うことにしました。
生物の細胞にはその生物固有のDNAが含まれていますが、生物の組織片は新陳代謝によって剥がれたり、排泄物に付着したりなどして体外に放出されます。湖や川など水辺で生息している生物から剥がれた組織片は水中に含まれるはずであり、この水を採取しDNAを取り出して分析すれば、その水辺にどのような生物が生息しているのかが、ある程度はわかるようになる可能性があります。
Gemmell教授が行うのはこのような環境DNAの調査。研究チームはDNA分析の結果からネス湖の生物の詳細なリストを作成し、それを他の湖と比較して、ネス湖の他の湖との差異を明らかにする予定です。
「どんな生物でもその環境を移動すれば、皮膚やうろこ、羽、ふん便、尿といったDNAの小さな破片を残します。このDNAを採取してシークエンシングを行い、10万種の有機体から得られた遺伝子配列のデータベースと比較を行い、厳密に合致するものがあるかどうかを調べます」とGemmell教授は語りました。Gemmell教授は、「既に絶滅した大型の海洋ハ虫類と似たDNA配列があれば驚きだ」としつつも、どのような結果が明らかになるとしても偏見なく受け入れるとしています。特にネッシーはナマズやチョウザメといった大型の魚である可能性が示唆されているため、チームはこれらの可能性ついてしっかりとテストする予定だとのこと。
写真の男性がGemmell教授。
ネス湖はイギリス最大の淡水湖であり、有機体を調査することで新種のバクテリアや外来種など、これまで知られていなかった膨大な知識が明らかになると考えられています。このことから、ネッシーの調査を超えて、この研究には大きな意味があるといいます。
また、Gemmell教授は「この機会を通して、科学的プロセスがどのように仮説を立て、テストを行い、検証の必要が生まれ、二重盲検法を用いて観察者効果をコントロールするかを示すことができると考えています。これら全てが今回の物語の重要なパートです」と語りました。
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