Appleはわずか2か月で60万台のHomePod出荷、スマートスピーカー市場で存在感を示しながら問題点も

市場調査会社Strategy Analyticsが出した最新の調査によると、Appleは2018年第1四半期で60万台ものHomePodを出荷したと推定されています。これによりAppleは、Amazon EchoやGoogle Homeが席巻するスマートスピーカー市場で約6％のシェアを占めることとなります。

Apple shipped an estimated 600,000 HomePods in the first quarter of the year - The Verge
https://www.theverge.com/2018/5/17/17366778/apple-homepod-sales-estimate-600-thousand-units-smart-speaker

Strategy Analyticsが2018年第1四半期(1月1日～3月31日)におけるスマートスピーカー市場の売上予測データを公表しており、同期間におけるAppleのスマートスピーカー「HomePod」の出荷台数は60万台であったとしています。注意すべきなのはHomePodが2018年2月9日に発売されたという点で、わずか2か月足らずで60万台の出荷台数を記録したということとなります。なお、同調査によると同期間での世界全体でのスマートスピーカー出荷台数は920万台。競合企業のスマートスピーカー出荷台数は、Amazonが400万台、Googleが240万台とのことです。Appleの出荷台数60万台という数字は、スマートスピーカー市場で約6％のシェアを獲得したことを意味しており、これよりにAppleはAmazon・Google・Alibabaに次ぐ4番目のシェアを獲得したこととなる模様。

ただし、これはあくまでも売上予測であり数字がどれくらい正確なものであるかは不明です。また、Strategy Analyticsはあくまで「出荷」された数字であり、これが「売れた」かどうかは明言していません。

競合製品と比べて発売が遅れたHomePodですが、2018年3月にBloombergは「AppleがHomePodの売上予測を下げサプライヤーのInventecへ生産台数を減らすよう注文した」と報じています。Appleは当初、HomePodの予約受付件数からスマートスピーカー市場で73％ものシェアを獲得しているAmazonに対して、10％のシェア獲得を目指したそうです。しかし、HomePodを予約したユーザーたちが製品を手に入れた後、売上は伸び悩み、結局スマートスピーカー市場でのシェアは4％にとどまっていると伝えられていました。

HomePodの売上が伸び悩む理由にはいくつか思い当たる節があると海外メディアのThe Vergeは記しており、ひとつ目はHomePodがAirPodsのように「あくまでiOSというエコシステムの付属品として扱われている」という点です。例えばHomePodおよび搭載されている音声認識アシスタントのSiriは、Apple Music上でのみ動作するものであり、他の音楽ストリーミングサービスはiOSデバイス経由でAirPlayでHomePodにストリーミングする必要があり、この場合Siriによる音声コントロールは不可能となってしまうことが指摘されています。

2つ目の問題点は「HomePodを使用するには少なくとも1つのiOSもしくはmacOS搭載端末が必要」という点。つまり、HomePodはそもそもApple製品を所持していないユーザーをまったくターゲットに想定していないということです。さらに3つ目の問題点は「価格」で、HomePodの販売価格は349ドル(約3万9000円)であるのに対し、AmazonやGoogleといった競合他社の製品ははるかに低価格で購入できます。

Introducing HomePod — Apple - YouTube


なお、Amazon EchoやGoogle Homeといった競合製品に価格でも対抗するべく、Appleがより安価で小型のHomePodを開発するというウワサも存在しますが、Apple関連のリークでおなじみのミンチー・クオ氏はそのような安価なHomePodがすぐにリリースされると予想しています。なお、クオ氏は3月に「Appleは2018年に200～250万台のHomePodを販売する」と予測しており、これが実現すればAppleのHomePodは約10億ドル(約1100億円)のビジネスに成長することとなります。