「『その時』がいつ来ても大丈夫な覚悟を持ってやる」、アニメプロデューサー・丸山正雄が50年超の歴史を語る
1965年に手がけた「W3」以来、53年にわたりアニメ業界であまたの作品を送り出してきたプロデューサーの丸山正雄さんがマチ★アソビ vol.20で「丸山正雄 アニメーションプロデューサー 1965年からこれまで」と題したトークイベントに登壇。そのイベント名のとおり、数え切れないほどの作品とスタジオの歴史を語ってくれました。
丸山正雄 アニメーションプロデューサー 1965年からこれまで - マチ★アソビ
http://www.machiasobi.com/events/maruyama.html
イベントに登壇したのは元アニメスタイル・五所光太郎さん、丸山正雄さん、ufotableの近藤光さん。丸山さんは登場時に「丸川正人です」と、アニメ「SHIROBAKO」に登場した自らをモデルとしたキャラクターの名を名乗り、笑いを取っていました。
前半はまず、丸山さんが過去に手がけた作品をピックアップして10分程度にまとめたダイジェスト映像の上映から始まりました。
実際に映像を見つつ、コメントを入れていく丸山さん。
これまでに手がけた作品の中でも、特に気に入っているのは「花田少年史」のオープニング映像だとのこと。
映像が流された作品はW3、悟空の大冒険、リボンの騎士、あしたのジョー、国松さまのお通りだい、エースをねらえ!、アニメーション紀行 マルコ・ポーロの冒険、ユニコ、夏への扉、浮浪雲、幻魔大戦、ユニコ 魔法の島へ、ボビーに首ったけ、妖獣都市、迷宮物語、YAWARA!、ロードス島戦記、獣兵衛忍風帖、劇場版X、PERFECT BLUE、TRIGUN、マスターキートン、劇場版カードキャプターさくら、はじめの一歩、METROPOLIS、X(テレビシリーズ)、ちょびっツ、千年女優、花田少年史、茄子 アンダルシアの夏、ガンスリンガーガール、妄想代理人、MONSTER、48×61、BECK、闘牌伝説アカギ ~闇に舞い降りた天才、NANA、BLACK LAGOON、時をかける少女、DEATH NOTE、CLAYMORE、電脳コイル、シグルイ、ピアノの森、スティッチ!、サマーウォーズ、こばと。、スティッチ! ~いたずらエイリアンの大冒険~、マイマイ新子と千年の魔法、よなよなペンギン、HUNTER×HUNTER、ちはやふる、チベット犬物語~金色のドージェ~、坂道のアポロン、おおかみこどもの雨と雪、残響のテロル、神撃のバハムート GENESIS、うしおととら、この世界の片隅に、鬼平。
こうして挙げただけでも相当な数ということもあり、五所さんの手元の資料はかなりの分厚さに。イベントでは当初、丸山さんが手がけてきた作品のオープニング映像をまとめて流そうとしたそうですが、数百作品もあるために時間がかかりすぎると断念。せめてタイトル部分だけでもと考えたものの、それでも相当な時間が必要だということで、厳選された作品のみのダイジェスト映像上映という形になりました。このエピソードだけでも、丸山さんがアニメ業界でどれだけの仕事をしてきたかがうかがえます。
ステージでは、虫プロダクション時代のエピソードや手塚治虫さんへの思い、虫プロが倒産してマッドハウスを設立したエピソード、マッドハウス時代の作品やお金の話、さらにMAPPAやスタジオM2を作った話と、50年以上にわたる丸山さんの歴史をあけすけに語ってくれました。
そんな丸山さんの目から見て、今のアニメ業界は「最悪の状況」だとのこと。放送される作品の本数が多いことによって、コンテを描くのが上手い人だけではなく、それなりの人も駆り出される状況になっていて、作り方や人の育て方など、考えるべきことがあるのではないかと指摘しました。
1941年生まれで、6月には77歳を迎えるという丸山さん。それでもなおアニメ業界の最前線に立ち、今はスタジオM2というプリプロダクションの会社でどんどんとプランニングを進めて「自分がいなくても作品が世に出せる」形を作っています。「『その時』がいつ来ても大丈夫という覚悟を持ってやっている」と、最後の最後まで仕事を続ける意欲を見せました。
イベントの最後に、近藤さんと握手を交わした丸山さん。
そして記念写真。そのパワーで、まだまだ少なからぬ作品を届けてくれそうです。
ちなみに、マッドハウスを設立したときに丸山さんが両輪だったというのが出崎統さんと平田敏夫さん。その平田さんがアニメ「あずきちゃん」で担当したエピローグイラストのうち現存する約50点をまとめた書籍「平田敏夫画集 あずきちゃん絵本」が刊行されていて、今回、トークイベント後にufotable CINEMAでこの画集と小冊子「平田敏夫作品集」をセットで購入できる機会が設けられました。
画集にサインを入れる丸山さん。なお、「マチ★アソビアルバム」の寄せ書きと同時に行われたので、アルバムに丸山さんのサインをもらった人もいました。
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