謎の企業がFacebookやYouTubeなどから収集した膨大な画像から顔認識データベースを構築していることが明らかに
by Ars Electronica
少なくとも5年にわたってFacebookやYouTubeなどソーシャルメディアから集めた映像や写真を元に、巨大な顔認識データベースを構築するイスラエルの企業の存在を、アメリカの経済誌Forbesが明らかにしています。
These Ex-Spies Are Harvesting Facebook Photos For A Massive Facial Recognition Database
https://www.forbes.com/sites/thomasbrewster/2018/04/16/huge-facebook-facial-recognition-database-built-by-ex-israeli-spies/
Israeli company is using Facebook, YouTube to build a sketchy database
https://mashable.com/2018/04/17/mysterious-company-building-facial-recognition-database/
Terrogenceはイスラエルの元スパイによって設立された企業で、親会社のVerintと共に、アメリカ国家安全保障局(NSA)やアメリカ海軍など、アメリカの情報・セキュリティを扱う政府組織にさまざまな技術を提供しているといわれています。
Terrogenceが2017年に開発した顔認識システムが「Face-Int」です。Face-Intの中核を担う膨大な顔情報データベースには、YouTubeやFacebookなどといったソーシャルメディアやさまざまなネットフォーラムから集めた数千人の容疑者のプロファイルが収められています。Face-Intは単に顔写真が登録されているだけではなく、人物像・出身地・所属組織など細かな個人情報にもアクセスできるようになっているとのこと。
Face-Intは監視カメラの映像からものの数分でテロの容疑者を特定することが可能で、空港や国境でのチェックや警察・諜報機関の事後分析にも使うことができることから、「あくまでも市民の安全に使うもの」とアピールされています。同様の顔認識システムは中国やイギリスでも採用されており、中国では既に成果を挙げています。
Terrogenceの公式サイトには「テロリストの訓練の様子や実際のテロ攻撃を撮影した、オンライン上にある写真やムービー3万5000点以上から顔を抽出している」と記されています。ただし、公式サイトの内容が2013年から変化していないことから、Forbesは「5年の歳月がたった現在、データベースに用いられている写真やムービーの数は3万5000点よりもはるかに多くなっているだろう」と予想しています。ForbesはTerrogenceの共同設立者であるShai Arbel氏にコメントを求めましたが拒否されたとのこと。
by Southbank Centre
ForbesはTerrogenceのアナリストとして働いていた元社員にインタビューを行っており、「LinkedInを使って『政治的・反社会的グループ』の調査に関与した」という証言を得ています。また、Forbesは「TerrogenceがどうやってFacebookやクローズドなネットフォーラムから個人の画像を収集したのか」について疑問を示しており、ケンブリッジ・アナリティカ以外にもFacebookの豊富な情報を用いる組織が数多く存在すると主張しています。
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