動画

おいしいコーヒーを味わうために「産地」「焙煎」「抽出」の3つで知っておくべきポイント


1日のスタートや仕事の休憩時間、勉強の合間など、生活の色んな場面で人々が飲んでいるコーヒーは、豆の選び方や焙煎の方法、淹れ方などによって味がさまざまに変化するという、実に奥の深い飲み物です。あまりに要素が多いために、本当に自分に合ったおいしいコーヒーを見つけ出すのは容易ではないのですが、その中でも重要とされる要素を解説し、コーヒーの選び方のヒントを教えてくれるムービーがTEDYouTubeチャンネルで公開されています。

Everything you've ever wanted to know about coffee | Chandler Graf | TEDxACU - YouTube


コーヒー豆は、コーヒーノキに実るコーヒーチェリーから皮と果実を取り除くことで取り出される種子のことを指します。


コーヒーチェリーから豆を取り出す「精製」の方法には大きく分けて2種類があります。一つは「ウォッシュド(水洗式)」と呼ばれる方法で、水の入ったタンクにコーヒーチェリーを入れて軽く洗浄してから果肉除去機で外皮を取り除くというもの。そしてもうひとつが、「ナチュラル(非水洗式)」と呼ばれるもので、収穫したコーヒーチェリーをそのまま天日で30日程度乾燥させてから外皮と果肉を除去します。この乾燥の工程を入れることで豆の熟成が進み、ナチュラル特有の苦みやクリーミーさなどの深い味わいが作られます。


コーヒーの味は、先述の精製方法でも変化しますが、それ以上に重要なのが産地です。世界にはコーヒーの名産地が数多くありますが、ここではインドネシアエチオピアを取り上げます。インドネシアの特徴は、高い山がなくてコーヒーが低地で栽培されているというところにあります。インドネシアの豆を使っている代表といえるのがスターバックスで、ほぼ全ての豆がインドネシアの低地で栽培されたものが使われています。一方、エチオピアも高い山がない国ですが、その中でもコーヒーは高地で栽培されています。


栽培される高度が違うことで生じる違い、それは空気の密度が異なるという点です。二酸化炭素を吸収して成長する樹木の場合、空気の密度は成長の速度に大きな影響を与えます。低地で栽培が行われるインドネシアでは、コーヒーをより多くの回数収穫することができます。一方で、成長の際にある種の「苦境」が存在しないために、クセのないスッキリとした味になる傾向があります。


一方、高地栽培が行われるエチオピアでは空気が薄いため、コーヒーノキが成長して結実するプロセスで実の内部に多くの乳酸を持つようになります。この乳酸が最終的に、コーヒーのクリーミーさや苦み、酸味、フルーティーさといった味の個性を加えることになります。また、ムービーでは触れられていませんが、高地における昼夜の寒暖差もまた、コーヒーの味に影響を与えるといわれています。


これらのことから、クリアでクセの少ないコーヒーが飲みたい場合はインドネシアなどの低地産の豆を、逆に個性があってコクや苦み、酸味があるコーヒーが飲みたい時は高地栽培の豆を選べばよい、という傾向がわかります。エチオピアの他にも、ケニアなどアフリカ諸国のコーヒーは高地栽培がほとんどです。


産地と同じぐらいコーヒーの味を決める重要なプロセス、それが「ロースト(焙煎)」です。「ライトロースト」や「ダークロースト」、そして「シティロースト」などさまざまな焙煎方法があり、ロースターで豆を煎る時間を調節することで味を調節することができます。


コーヒー豆を焙煎する時には、豆の中にある還元糖とアミノ化合物が加熱によって変化するメイラード反応または「褐色反応」が起こります。この反応を長く行わせるほど焙煎が深くなり、味わいも深くなっていきます。しかしその一方で、焙煎によって糖とアミノ化合物が消費されてしまうことで、豆そのものが持つ本来の個性が失われてしまいます。そのため、豆の個性と味わいの深さをうまくバランスさせるポイントを見つけるのが、焙煎の奥深いところと言われています。


コーヒーを語る上で避けては通れない物、それは「カフェイン」です。カフェインは眠気を促す物質とされる「アデノシン」の作用を阻害する効果があります。


カフェインの化学組成はアデノシンと類似する部分が多いため、アデノシンの代わりにアデノシン受容体に拮抗することができます。しかし一方で、カフェインにはアデノシンのような眠気を促す化学反応を引き起こす働きがありません。そのため、本来であれば体が眠気を感じるべきタイミングであってもカフェインをとることで眠気をごまかすことができるようになります。これが「カフェインは眠気覚ましになる」と言われるゆえんです。


つまり、「コーヒーを飲んだら元気になる」と言われることがあるのは実は正解ではなく、実際には「コーヒーを飲んだら体が疲れていないように勘違いする」というのが、体の中で起こっている本当の反応であるというわけです。


最後に、コーヒーの味を決める大事な要素の一つ「コーヒーの抽出」または「ブルーイング」と呼ばれる工程を見てみます。ブルーイングにもいくつかの方法があります。その一つが、この円筒型の容器を使う「フレンチプレス」と呼ばれるもの。


フレンチプレス式では、容器に挽いた豆とお湯を入れ、5分程度の抽出時間をおきます。これにより、豆に含まれるコーヒーの風味が全てお湯に抽出され、全ての要素を味わえるようになるとされています。逆に、個性が強いコーヒー豆の場合はその個性が強調されすぎてしまうというケースもあります。


もうひとつの方法が、容器の上にフィルターを置いて豆を入れ、お湯を上から注ぐ「プアオーバー」と呼ばれる方法。日本では「ハンドドリップ」という名称が一般的なコーヒーの淹れ方です。


この方法では、豆に含まれる成分がお湯に溶け込むのは、お湯が上から下へと流れ落ちる時間の間だけとなります。そのため、ハンドドリップ式の場合は、豆の中でももっとも溶出しやすい成分だけがコーヒーとして抽出されます。そのため、ハンドドリップ式ではフレンチプレス式に比べてスッキリとした味が楽しめる反面、豆そのものが持つ「ボディ感」はそれほど強く抽出されないという特徴があります。


このように、コーヒーの味は非常に多くの要素によって決定されることがわかります。しかしこれが逆に「どんな豆をどんな風に注文したらいいのかわからない」という状況に陥らせる原因ともなります。


しかし、最終的にコーヒーを味わう上で最も基本といえるのが「エスプレッソ」と「スチームミルク」の2つの要素です。本格的なコーヒーショップでは、コーヒーを高温高圧の蒸気で抽出するエスプレッソマシンが置かれているのがほとんどなので、そのマシンで淹れたエスプレッソを、何も入れない「ストレート」、エスプレッソにスチームミルクとフォームミルクを同じ比率で入れた「カプチーノ」、そしてエスプレッソに4~5倍のスチームミルクを入れた「ラテ」のいずれかで味わうことで、コーヒーが持つ個性を最も良く感じることができるはずです。

・関連記事
なぜ人はコーヒーを飲むのか? - GIGAZINE

「おいしいコーヒー」を化学と物理に基づいて作る - GIGAZINE

電源不要・持ち運びも可能でいつでもエスプレッソを味わえる手動エスプレッソマシン「Handpresso」 - GIGAZINE

空気の力で豆のうまさを最大限に引き出すというコーヒーマシン「AeroPress」を使ってコーヒーを淹れてみました - GIGAZINE

練乳入りがくせになるベトナムコーヒーが自宅で楽しめる「ベトナムコーヒーセット」を使ってみた - GIGAZINE

コーヒー2杯分の豆を挽けるミル「コーヒーミル・セラミックスリム MSS-1B」を使ってみた - GIGAZINE

人々がチョコレートとカフェインを大好きになるまでのわかりやすい歴史 - GIGAZINE

コーヒーと仮眠の効果をいいとこ取りした裏技「コーヒーナップ」とは? - GIGAZINE

in 動画,   , Posted by logx_tm