映画

なぜハリウッドは良質なゲーム原作映画を作り出せないのか?

by Mint Owl

ハリウッドではゲームを原作とした映画が数多く作られ、古くは「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」や「ストリートファイター」、近年でも「アサシン クリード」や「トゥームレイダー ファースト・ミッション」などが製作されています。そんなハリウッドのゲーム原作映画ですが、なかなか観客の期待を上回る名作となることは少ないそうで、「なぜハリウッドは良質なゲーム原作映画を作り出せないのか?」についてワシントン・ポストが分析しています。

Here’s why video game movies keep failing - Washington Post
https://www.washingtonpost.com/graphics/2018/entertainment/video-game-movies

ハリウッドの主要なゲーム原作映画は、実に35作品にものぼるとのこと。最新のタイトルとして、1980年代のアーケードゲームを原作にしたドウェイン・ジョンソン主演の映画「ランペイジ 巨獣大乱闘」があり、2018年5月18日から日本でも公開されます。しかし、アメリカの大手映画批評サイト「ロッテン・トマト」の評価が半分の50%を超えた作品はゼロ。いったいなぜ、ハリウッドのゲーム原作映画はうまくいかないのでしょうか?


ゲーム原作映画の成功を左右する最も重要な要素はストーリーです。もちろん出演俳優や演出も重要な要素の一つではありますが、例えば2010年公開の「プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂」は、人気俳優のジェイク・ジレンホールを起用したものの、「ロード・オブ・ザ・リング」の焼き直しといった評価が下されてしまいました。多くのゲーム原作映画は、ストーリーを作ることに失敗しているとのこと。

当然ながら、出演俳優や演出が完全に無意味というわけではなく、「トゥームレイダー ファースト・ミッション」で主人公のララ・クロフト役を務めたアリシア・ヴィキャンデルは映画批評家のオーウェン・グレイバーマンから「私が見てきた中で最も地に足が着いていて、信頼できる主人公かもしれない」と好意的な評価を得ました。
映画『トゥームレイダー ファースト・ミッション』本予告【HD】2018年3月21日(水・祝)公開 - YouTube


では、いったいどのようなストーリーが最も効果的なのでしょうか。あまりにストーリーが複雑すぎると観客にフラストレーションを与えてしまい、逆にストーリーが簡単すぎると物語はつまらなくなってしまうため、適切なストーリーを構成することは私たちの想像以上に難しいとのこと。

カーレースゲームを原作にした映画「ニード・フォー・スピード」の場合、単純な公道カーレースゲームだった原作を映画化するために、ストーリーに無理が出てしまい、映画としてはそれほど成功しませんでした。一方、同名コンピューターゲームを原作にした映画「ウォークラフト」は、原作自体が神話的な要素をふんだんに持っているため、映画のストーリーに原作をうまく応用できたため成功を収められました。

最もゲーム原作映画に適したゲームは、「Oxenfree」のようにコンパクトでありながらしっかりとしたストーリー性を持つゲームだそうです。逆に、クリアに100時間かかるような原作ゲームを2時間の映画にまとめるとすると、相当な労力と無理が必要となり、失敗してしまうケースが多くなるというわけ。
OXENFREE - Announce Trailer | PS4 - YouTube


このルールに基づいて映画化に適した原作ゲームが見つかったとして、次に問題になるのは「ストーリーに映画ならではの要素を求めるべきか否か」というもの。原作に忠実に作るべきなのか、それともオリジナリティを追求するべきなのでしょうか。多くの原作ファンは「原作に忠実であればあるほどよい」と考えがちですが、話はそう単純ではないとのこと。

2016年に公開された「アサシン クリード」は原作のコンセプトに忠実に製作されたものの、「原作のストーリーラインはゲームをプレイする時に効果を発揮するものだった」ために、映画はうまくいきませんでした。アクセスできない記憶があるといったシステムは、ゲームにとっては面白い仕組みを生み出すために有効であったものの、映画に翻訳した時にはあまり効果的ではなかったのです。

しかし、あまりにも映画のオリジナリティを発揮しすぎると、「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」のようにあまりにも独創的すぎる産物になってしまうそうで、映画製作者は注意を払う必要があるとしています。
スーパーマリオ 魔界帝国の女神(予告編) - YouTube


そして、ゲームが映画と最も異なる点は、主人公を自分がプレイすることで自分が主人公になったような気分が味わえる点です。いつの日か映画も、まるで自分が主人公になったかのような没入感が得られるように進化するかもしれませんが、少なくとも現時点ではゲームに映画はかないません。

多くの理由からゲームを原作にして映画を作ることは困難ですが、評価が低い理由に「原作ゲームをプレイしたことのない映画批評家は、ゲームとそれを原作にした映画自体を低く見ている」という事実もあります。映画製作者たちが多大な努力を費やしても、高評価のゲーム原作映画を製作することは難しいものですが、今でもハリウッドの映画製作者たちはゲームをいかに映画のスクリーンで成功させるのかについて、頭を悩ませているのです。

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