世界一辛い唐辛子を食べると脳に悪影響が出て「雷鳴頭痛」に襲われることが判明
by Richard Elzey
「世界一辛い唐辛子」として2013年にギネス世界記録に登録される「キャロライナ・リーパー」を食べた男性が脳で血流障害を起こし激しい頭痛にさいなまれるという事態に発展しました。
An unusual cause of thunderclap headache after eating the hottest pepper in the world – “The Carolina Reaper” -- Boddhula et al. 2018 -- BMJ Case Reports
http://casereports.bmj.com/content/2018/bcr-2017-224085
Eating world’s hottest pepper sparks brain disorder, thunderclap headaches | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2018/04/eating-worlds-hottest-pepper-sparks-brain-disorder-thunderclap-headaches/
唐辛子の辛さは「スコヴィル」という単位で測定され、ピーマンの辛さが「0スコヴィル」だとした時にハラペーニョは5000スコヴィル、レッドハラペーニョは20万スコヴィルになりますが、キャロライナ・リーパーはレッドハラペーニョをはるかに上回る156万9000スコヴィルを記録しています。また、2017年にはサウスカロライナ州で育てられたキャロライナ・リーパーが164万スコヴィルを記録しました。キャロライナ・リーパーはよく「罰ゲーム」や「挑戦」という文脈で扱われますが、生産者のエド・カリーさんは「ものすごく辛い唐辛子を食べることは、危険な行為ではない」と語っています。
しかし、唐辛子大食い大会に出場した34歳の男性は、キャロライナ・リーパーを食べたすぐ後に空吐きしはじめ、首や後頭部に痛みを感じだしました。痛みの範囲は広がり、翌日から数日にわたって続く激しい頭痛へと変わったそうです。この頭痛は1日の中で突然男性を襲い、頭痛が始まってから60分以内にピークを迎えるものでした。また、頭痛は脳出血や脳感染、脳脊髄液漏出などのサインでもある吐き気、精神状態の変化、発作、発熱を伴ったとのこと。
男性は病院に向かいましたが、発言が不明瞭だったり視覚が失われていたりすることはなく、血圧は134/69mmHgで少し高いものの大きな問題というわけでもなかっため、医師らは始め問題を見抜けなかったとのこと。CTスキャンの結果も首・頭部ともに最初は問題ないように見えたそうです。
しかし、スキャンの結果をよくよく見てみると脳に奇妙なほど狭くなっている血管があり、そのほかの問題を総合して医師は男性が可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)であると結論づけました。RCVSは血管狭窄を原因として「雷鳴頭痛」と呼ばれる激しい頭痛で発症する疾患で、薬物投与などの誘因に関連して起こるとみられています。通常、RCVSの患者は時間の経過とともに回復していきますが、何が回復の原因となっているのかは記事作成時点では不明です。
by Simon Rae
唐辛子によってRCVSが引き起こされた例は過去にないと医師らは記していますが、キャロライナ・リーパーによって血管内のけいれんや心臓発作が発生した例は存在します。唐辛子に辛味をもたらす主成分カプサイシンは交感神経系に作用するため、これが原因ではないかといわれています。
RCVSの治療法は観察と「原因とみられる物質を断つ」ということしかないとのこと。男性はRCVS発症から5週間後の検査で血管狭窄が消え、頭痛もなくなったと報告されています。
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