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iPhone Xのコピー品を有名スマホメーカーがこぞって作り出すことを海外メディアが痛烈に批判


iPhone登場から10周年を迎える記念すべきタイミングで登場した「iPhone X」ですが、11万円を超える販売価格があだとなり、当初の目論見とは裏腹に出荷台数が伸びず、2018年に入ってからは「iPhone Xは1年で終了」という報道まで飛び出すほどの不振に陥っています。しかし、一般消費者とは異なりスマートフォンメーカーからは多くの人気を集めており、iPhone Xのデザインに酷似した新型スマートフォンが世界最大級の携帯電話関連展示会モバイルワールドコングレスで多数登場しています。

Bad iPhone notches are happening to good Android phones - The Verge
https://www.theverge.com/2018/3/4/17077458/iphone-design-clones-mwc-2018

これまでモバイルワールドコングレスを10年近く取材し続けてきたというThe Vergeの記者であるVlad Savovさんは、「これまでのモバイルワールドコングレスでは、2018年の展示会で目撃したような『iPhoneを大胆かつシニカルにコピーしたスマートフォン』は見られなかった」と記し、2018年のモバイルワールドコングレスのトレンドが「iPhone Xのコピー」であったことに驚きを示しています。

特に気になるのは、iPhone Xのディスプレイ上部にある切り欠き(ノッチ)部分。iPhone Xの場合、ここには顔認証機能である「Face ID」に使用される各種センサーが詰め込まれています。


それに対して、iPhone Xの見た目だけをコピーしたスマートフォンたちは、Face IDの機能ごとコピーするのではなく、見た目だけをコピーしています。つまり、iPhone Xのような高度な顔認証機能は使用できないのに、ディスプレイ上の「邪魔な」切り欠きだけは忠実に再現しているのです。「Noa N10」や「Ulefone T2 Pro」などはこういった「iPhone Xの見た目だけをコピーした端末」の代表格とのこと。また、以下のUlefone T2 Proのように、端末の四隅の丸角のせいでディスプレイ右上の時計が見切れてしまうなどの、ハードウェアとソフトウェアの最適化が完了していないケースも多くあるそうです。


他にも、Zenfoneシリーズなどで世界的な人気を誇るASUSも、潔いくらいにiPhone Xのデザインをコピーした「Zenfone 5/5Z」を発表しています。「Zenfone 5/5Z」は「Noa N10」や「Ulefone T2 Pro」などの見た目のデザインだけをコピーしたスマートフォンではなく、顔認証機能やアニ文字といったソフトウェアにいたるまでしっかりコピーされた「良質なコピー」と言えそう。なお、「Zenfone 5/5Z」の詳細については以下の記事を読めばよくわかります。

潔いくらいiPhone XをパクったASUSの「Zenfone 5」が登場 - GIGAZINE


「Zenfone 5/5Z」についてSavovさんは、「大音量のスピーカー、平均以上のピクセル数を備えたソニー製のイメージセンサー、約499ドル(約5万3000円)という手ごろな価格と一見有望なスマートフォンに見える」と評しつつ、発表会の中でASUSがAppleを「フルーツカンパニー」と連呼している様子を見て「iPhoneをコピーするなら少なくともAppleを嘲笑するようなことは避けるべき」とウンザリした気持ちになったことを記しています。

Our notch is smaller! pic.twitter.com/U5xWeAx9Ih

— Vlad Savov (@vladsavov)


モバイル業界で起きる機能やデザインのコピーは、技術的な改善をもたらす上で最適な方法であることは明らかです。しかし、iPhone XをコピーするAndroid端末の多くは純粋に機能をコピーしているわけではなく、見た目を模倣するためだけのものが多いことをSavovさんは指摘しており、「これは明らかに良い傾向ではない」と警鐘を鳴らしています。AppleのiPhone Xの場合、ディスプレイの上下左右にはほとんどベゼルもなく、TrueDepthカメラを搭載するために仕方なく画面上部の切り欠きを設けたことがわかります。


それに対して、顔認証機能を採用するなどして高性能なインカメラを搭載する必要性に迫られているASUSの「Zenfone 5/5Z」ですら、ディスプレイ下部にはiPhone Xにはない余白が設けられています。このような余白を有効活用すれば「切り欠きのないディスプレイをデザインできたのでは?」と思わせられます。


SavovさんはZenfone 4やZenfone 6といったこれまでASUSがリリースしてきたスマートフォンが特徴的なデザインを有しておらず、どのような見た目か説明しようと思うと苦労する点を挙げ、ASUSのような大きなメーカーがiPhone Xのデザインをなぜ安直にコピーしているのかを推測していますが、それでも「Zenfone 5は恥知らずのiPhone Xクローン」と表現し痛烈に批判しています。

そんなASUSのZenfone 5と同じように、モバイルワールドコングレスでリークされたLGの最新モデルである「LG G7 Neo」や……


Huaweiの「Huawei P20」も、iPhone Xのデザインを安直にコピーしたものに仕上がっています。これらの端末はこれまでのローンチよりも少しだけ遅れているそうで、これはiPhone Xに似せるために設計に手間取っているからではと思わせるほどデザインは酷似しているとのこと。


すべてのスマートフォンがミニマルデザインを追及しているため、大画面化とベゼルの縮小により、デバイスの特徴や魅力をどのように追加していくのかはスマートフォンメーカーにとって大きな問題となっています。Appleはデバイスの特徴や魅力を画面上部の切り欠きで表現するという危険な賭けに出たわけですが、スマートフォン業界の多くはこのデザインを好意的に取り、そのままコピーするという安易な対応を取っています。

他にもOnePlusの新型端末である「OnePlus 6」もディスプレイ上部にiPhone Xと同じ切り欠きがあると報じられており、まだまだiPhone Xと類似したデザインのスマートフォンが登場するであろうことは明らかです。なお、これについてはOnePlus 5がiPhone 7とよく似ていることを考えれば驚くことではない、とSavovさんは記しています。

これに対して、Samsungやソニーといったメーカーのスマートフォンは自社メーカーのデザイン路線を踏襲することで、iPhone Xのコピー端末とは明らかに異なるデザインの新型端末を発表し、コピーメーカーとの明らかな違いを示しています。


「短期的な思考はAndroidメーカーの大部分を間違った方向に導いている」と指摘し、さらに「これでは独自のデザインや哲学を構築することはできない」とSavovさん。さらに、数年前にこういったコピーをやめて独自のデザインを貫くようになったSamsungは、現在間違いなく独自のデザイン文化を構築している、と記しています。

なお、iPhone Xや新型Android端末を購入しなくてもディスプレイ上部の切り欠きを再現することが簡単に可能なアプリも登場しています。

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in モバイル,   ハードウェア,   デザイン, Posted by logu_ii

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