映画「未知との遭遇」に登場した人工言語と似た仕組みで音階を使用する「ソルレソル」とは?

by kitty meets goat

文化的背景を持って自然に発展し、現在でも国家や民族によって用いられている自然言語とは違い、特定の個人や団体によって語彙・文法などが定められて作られた言語のことを人工言語と呼びます。人工言語として有名なものには1887年に発表されて世界的にも認知されているエスペラント語や、J・R・R・トールキンが「ホビットの冒険」「指輪物語」などの作中に登場させたアルダの言語、そしてスティーヴン・スピルバーグ監督の映画「未知との遭遇」に登場した人工言語と似た仕組みを持つ「ソルレソル」があります。

Solresol language and stenographic script
http://www.omniglot.com/writing/solresol.htm

「未知との遭遇」で登場した「ソルレソル」風の言語がどういうものなのかは、以下のムービーを見るとわかります。

Close Encounters of the Third Kind - "Tones"


「未知との遭遇」の作中で、宇宙人と初めてコンタクトを取った際に人類が使用したのが「音」と「色」。


大勢の科学者や政府関係者が見守る中……


シンセサイザーによって音階が奏でられます。


音と同時に背景のパネルに色つきの光が表示され、音と色の両方で交信を試みるのです。


すると、宇宙人側からも光による応答があり……


地球側はこの映画で重要な役割を持つ5つの音、「レ・ミ・ド・ド・ソ」を発信するのです。


この5つの音はアメリカ人作曲家のジョン・ウィリアムズさんがスピルバーグ監督の要請に応じて作った曲であり、「少なくとも7つは音を使いたい」というウィリアムズさんの申し出に対し、スピルバーグ監督は「5つ」の音にこだわって一歩も譲らなかったとのこと。ウィリアムズさんが作り出したおびただしい候補の中からスピルバーグ監督が選び出したのが「レ・ミ・ド・ド・ソ」の音階で、「未知との遭遇」の中でも屈指の名シーンに使われたため、映画を見た人にとっては非常に印象深いフレーズになっています。


作中では「レ・ミ・ド・ド・ソ」の音階がどのような意味を持っているのかは明らかにされませんが、「未知との遭遇」に使われた交信方法と同様、音や色を組み合わせて表現される人工言語に「ソルレソル」が存在します。ソルレソルはフランス人のジャン・フランソワ・シュドルによって1817年に提唱された人工言語であり、公式に発表され大衆に支持された人工言語としては世界最古のものであるともいわれています。「ソルレソル(Solresol)」とは「ソ・レ・ソ」という3音のことで、ソルレソルの語彙に当てはめると「言語」という意味を持ちます。ソルレソルは文字の代わりに音の高さ(音程)を用いる点に特徴があり、音をアルファベットなど既存の文字に対応させるのではなく、ソルレソル独自の語彙と文法を持っています。

ソルレソルではド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シの7音階にそれぞれ赤色・オレンジ色・黄色・緑色・水色・青色・紫色といった色が対応し、ろう者の人でも使用できるようにハンドジェスチャーで表せる図形も対応しています。ソルレソルは複数の音を組み合わせて単語や文を表現しますが、単語ごとの接頭音によってその単語が何を表すのかを示しているとのこと。ドは人・機能・食べ物など、レは服・家・家族など、ミは行動・傷など、ファは国・農業・戦争など、ソは映画・文学・科学など、ラは工業・商業、シは街・政府・警察などを表す単語にそれぞれ接頭音として使われます。


ソルレソルはその後に台頭したエスペラント語などの影に隠れてしまい、それほど目立った人工言語ではないものの、現在でもソルレソルを理解してコミュニケーションを取っている人々が存在しているとのこと。YouTubeにはソルレソルを自然言語に翻訳するソフトを開発している人やソルレソルの学習ページなどもあるので、興味がある人は調べてみるといいかもしれません。

SolReSol words played on the piano (live) - SolReSol: The Project

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