「パートナーのシャツの匂いをかぐとストレスレベルが下がる」という研究結果

by Adam Dachis

「パートナーと肉体的な接触をしなくとも、その匂いを嗅ぐだけでストレスを減らす強力な手助けとなる」ということがブリティッシュコロンビア大学(UBC)で心理学を専攻する大学院生・Marlise Hofer氏らによる研究で判明しました。

Olfactory cues from romantic partners and strangers influence women’s responses to stress.
http://psycnet.apa.org/record/2017-57724-001

Stressed out? Try smelling your partner’s shirt
https://news.ubc.ca/2018/01/04/stressed-out-try-smelling-your-partners-shirt/

Why Sniffing Your Partner's Shirt Helps Reduce Stress
https://www.livescience.com/61349-sniffing-your-partners-shirt-lowers-stress.html

研究チームは異性カップル96組を対象に調査を実施。まず男性被験者には24時間にわたってデオドランドなどを付けずにTシャツを着用してもらい、その後、Tシャツは匂いを保存するために冷凍されました。この時、男性の体臭に影響を与えないように期間中の喫煙は禁止され、食べ物も制限されたとのこと。

女性被験者らは2つのグループにわけられ、一方のグループには「未使用のTシャツとパートナーが着たTシャツ」、もう1つのグループには「未使用のTシャツと知らない男性が着たTシャツ」の匂いを嗅いでもらいました。実験において女性が「匂いを嗅ぐ側」にされたのは、過去の研究から女性は男性よりも嗅覚が鋭い傾向にあることがわかっているためだと研究者らは説明しています。

2種類のシャツの匂いをそれぞれ嗅いだ後に、女性たちはストレスレベルを上げるために模擬面接や暗算を実施。2つのタスクを行ってから「どれくらいのストレスを感じているか」という内容を質問すると共に、血中のコルチゾール濃度が調べられました。副腎皮質ホルモンのコルチゾールは過剰なストレスにより大量に分泌されるため、「ストレスホルモン」とも呼ばれています。

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調査の結果、他人が着たTシャツを手渡された女性よりも、パートナーが着ていたTシャツを着ていたシャツを手渡された女性の方がコルチゾールのレベルが低いことが判明。また、未使用のTシャツとパートナーが着ていたTシャツという2種類の匂いを嗅いだ女性グループにおいては、パートナーの匂いを嗅いだ時の方が格段にコルチゾールレベルが低かったとのこと。加えて、ストレスレベルについての質問から、パートナーのTシャツの匂いを嗅いでいた女性はいずれのタスク後であってもストレスを感じる度合いが少なかったことが判明しました。

そして、実験時においてパートナーの匂いであると認識できた女性は、コルチゾールレベルの低下具合がより大きいこともわかりました。

一方で、他人の匂いを嗅いだ女性は未使用のTシャツの匂いを嗅いだ時と比べてもコルチゾールレベルが高くなったとのこと。このことについて研究者らは「幼い時から、人間は知らない人、特に知らない男性を恐れます。それゆえに、知らない男性の匂いが本人でも気づかないうちに戦うか逃げるか反応のトリガーになり、コルチゾールレベルを上げているという可能性は考えられます」と述べています。

研究に携わったUBCの心理学准教授である Frances Chen氏は「私たちの研究が示しているのは、自宅から遠く離れた場所にいる人であっても、愛する人が着ていた1枚の衣服でストレスレベルを下げられる可能性があるということです」と語りました。

by Maxim B