Googleが海賊版コンテンツを閉め出すために検索結果からの該当リンクを削除している
著作権者に無断で複製したいわゆる「海賊版コンテンツ」は、インターネット上に多数存在します。こういった海賊版コンテンツをインターネットから閉め出すため、Googleは検索エンジンの検索結果ページ上から海賊版コンテンツへのリンクを削除していることが明らかになっています。
Google Blocks Pirate Search Results Prophylactically - TorrentFreak
https://torrentfreak.com/google-blocks-pirated-search-results-prophylactically-180103/
アメリカで施行されているデジタルミレニアム著作権法(DMCA)では、著作権者からの権利侵害の訴えを受けたインターネットサービスプロバイダは、それに該当するコンテンツを削除することが求められます。この制度を受け、Googleは1日平均で300万件以上の著作権者からの削除依頼を処理しているとのこと。この「300万件」というのは、もちろんGoogleが提供する検索エンジン向けのリンクを削除する作業の数だけを示しています。
近年、このシステムの有効性について多くの議論が行われていますが、Googleは常に効果があると主張しています。アメリカ弁護士協会の刊行物である「Landslide」に書かれた記事上で、Googleの著作権弁護士を務めるCaleb Donaldson氏は、「DMCAはGoogleやその他のオンラインサービスプロバイダにとって、成長に必要な法的な確実性を提供してくれている」と記しています。
by Benjamin Dada
削除依頼を受けた場合にGoogleが行うことは、リンクを削除するだけではありません。削除通知が来たドメインは降格させるための情報としても使用されるので、多くの削除通知を受け取ったウェブサイトは、Google検索の検索結果ページに掲載される順位が低くなります。これらの作業は将来的には人工知能(AI)によって拡張・補完される可能性があるそうで、「AIが膨大なデータから学ぶことができるようになれば、その情報を使って著作権侵害との戦いをより円滑に進められるようになります」とDonaldson氏は述べています。
AIは現在ではかなり広い意味を持つ言葉となっていますが、Donaldson氏は「AIが海賊版コンテンツとどのようにして戦うか?」についての詳細なアイデアについては記していません。しかし、推測することは容易で、例えば「コンテンツをフィルタリングする際にAIを活用することができるかもしれない」とTorrentFreakは記しています。
また、2017年にGoogleは検索エンジンのインデックスに登録されていないリンクの削除通知を処理したこともあります。削除依頼を行った側はエラーが返ってくることを想定していたそうですが、Googleは他の削除通知と同じようにリンクを処理したそうです。インデックスに登録されていないリンクをどのように処理したのかというと、「これらのURL(Googleのインデックスに含まれていないもの)も他と同様に処理します。インデックスに登録されていないリンクを処理する方法についてDonaldson氏は、「これらのURL(Googleのインデックスに含まれていないもの)も他と同様に処理します。インデックスに登録されていないURLのひとつの削除が承認されると、そのURLが(将来的に)検索結果に表示されることをブロックし、すべての追加の抑止策も実行します」と語っています。つまり、Googleは海賊版コンテンツに対し、検索結果に表示される前のURLさえもブロックしているというわけです。この処理についてTorrentFreakは「海賊版コンテンツのワクチン」と表現しています。
by Markus Spiske
これらのことから、AIと積極的なフィルタリングがますます一般的になっていることは明らかです。しかし、Googleはシステムの乱用の可能性にも目を留めており、通知が間違っていたり、詐欺的であったり、悪用されたりしていると思われる場合、またはフェアユースの範疇であったり、別の何かしらのルールにより著作権のあるコンテンツが適切に使用されていたりする場合、Googleは削除通知への対応を延期するそうです。
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