海外のレーシングドライバーが日本の「改造車文化」を見るショートドキュメンタリー「Nihon Nights」
レッドブルがYouTube公式チャンネルで公開したムービー「Nihon Nights」は、「街道レーサー」と呼ばれた改造車や、暴走族が乗るいわゆる「族車」、そしてまばゆい電飾で飾り付けた「デコトラ」など日本固有の改造車文化について、ニュージーランド出身のドリフトレーシングドライバーの「Mad Mike」ことマイク・ウィデットさんがレポートする内容となっています。
Nihon Nights: Discover Japan's custom supercar culture w/ Mad Mike. - YouTube
ウィデットさんはレッドブルのサポートを受けるドライバーで、フォーミュラドリフト選手権などでも活躍を見せてきたドライバー。「ニホンスタイル」と呼ぶ日本の改造車文化に関心が高いようで、ムービーに登場する関係者とも良く波長が合っている様子を見せています。
まず登場したのが、愛知県尾張旭市にあるカスタムショップ「リバティーウォーク」。持ち込み車両のカスタマイズやコンプリートカーの販売を行っていますが、「チューニング」や「ドレスアップ」、「カスタム」ではなく「改造」という言葉こそが、同店のスタイルを表現するものだとのこと。
ウィデットさんが「ニホンスタイルを代表する人物の一人」と紹介するのが、同店の加藤渉代表。惜しげもなくボディに穴を開け、ゴツいオーバーフェンダーを装着したフェラーリを前にポリシーを語ります。
「ハイエンドのスーパーカーも好きだけど、やっぱり自分が免許取り立てでお金がないときに改造して乗っていた、古いオールドスタイルのクルマが今でも好き」と語る加藤さん。
当時乗っていたクルマは「初恋のクルマ」と語り、思い入れの強さを語ります。
「どうやったらみんなが喜んでくれるんだろう、感動してもらえるんだろう」ということばかりを考えて仕事しているとのこと。それはつまり「Facebookやインスタでいいねを押してもらえること」だそうです。
クルマ好きどうし、言葉が満足に通じなくともわかり合ってる様子を見せるウィデットさんと加藤さん。
次に登場するのは、いわゆる「アメ車」の世界。
愛知県西部に店を構える「チョロスカスタム」の牛田代表がインタビューに答えます。
このショップでは、車高を思い切り下げた「ローライダー」と呼ばれるクルマ全般を取り扱い、主には1970年代の車両にカスタムを施していますが……
まるで爆弾のような外観から「ボム」と呼ばれる50年代の車両や、30年代のクルマを触ることもあるとのこと。
「最初は目立ちたかったけど、最近は自分が乗って楽しめることが大きい」と語る牛田さん。ウィデットさんは、「畑の真ん中のようなところに小さなガレージがあって、気の合う仲間が集まってたまに街に繰り出す、それがクールだ」と話しています。
次に取り上げられているのが、日本独自の規格である軽自動車を改造するスタイル。
特に、軽トラを改造する「軽トラカスタム」にフォーカスしています。
「昔、私が車の改造を始めた頃は『暴走族スタイル』でした」と語るのは、主に軽自動車を扱うカスタムショップ「はろーすぺしゃる」の小田代表。
「昔は法律を破って改造していましたが、今は見た目は暴走族スタイルでありながら、公認車検をとって合法的に乗れる『合法スタイル』のクルマを改造しています」と語ります。
強烈なオーバーフェンダーがついていますが、これも全て車検を通してナンバーを取得して、少し車高が低い気はしますが問題なく公道走行できる状態にしてあるとのこと。
改造の内容は主にドレスアップ。「日本人は楽しいことが好き。そしてドレスアップは楽しいものなので、クルマの改造が好きな方が非常に多いです」と日本の状況を語ります。
デコトラに改造した軽トラに乗って現れたのは……
ウィデットさんでした。
次に登場したのは、車体のあちこちがLEDでギラギラ光るようにデコレーションされたランボルギーニ・アヴェンタドール。
「ランボルギーニにLEDにつける理由は、普通に走ってても面白くないし、自分がカッコいいと思うようにアイデアを出してやってる」と語る諸星伸一さん。
とにかくド派手なランボルギーニ集団。デコトラや映画「スター・ウォーズ」などに衝撃を受けて、クルマの改造を志すようになったとのこと。
諸星さんはランボルギーニの世界でもよく知られた人で、改造のしすぎでランボルギーニ本社から「お叱り」を受けたこともある人物です。
諸星さんは、「普通にランボルギーニを買って乗るんじゃなくて、好きなようにカスタムして乗ってるっつーのは世間から見たらアウトローだと思うんだけど、俺は小っちゃい時から道を外して生きてきたんで、その辺は何をいわれようが何も思わない」とポリシーを語ります。
そしてウィデットさんが「日本のクルマ文化で一番クレイジー」というデコトラがピカピカと光りながら登場。「こんなクルマは世界のどの国に行っても見たことがない」と語ります。
デコトラオーナーの林さんはきっかけについて「子どものころに映画『トラック野郎』を見たこと」だと話しています。
免許を取ってクルマに乗れるようになる前は、自転車に電飾を付ける「デコチャリ」に乗ったり、デコトラが集まるところに出向いて写真を撮ったりする少年だったとのこと。デコトラに乗る理由については「人と違うような、ありきたりじゃないことをやって、やっぱり目立ちたいっていうことが一番かな」と語ります。
デコトラに乗る楽しみについては、「いろんな人に出会えたり、こうやって電気を点けてたらいろんな人が近寄ってきてくれること」と話しています。
最後は、EDMユニットとして音楽活動も行っている「SOUKI」こと山下さんが登場。クルマは「暴走族スタイル」を踏襲しています。
いわゆる「街道レーサー」のカルチャーの始まりは、昔の日本のレーシングカーに憧れて、それをマネして街を走るようになったことがきっかけ、と話します。
「暴走族や街道レーサーは、日本のワルっぽいスタイルの車で、アメリカでいうローライダーとかに近いのかな」と語るSOUKIさん。
ウィデットさんは暴走族スタイルの魅力について、「完璧な『はみ出しもの』で、周りの声は全く気にしないところや、それぞれのクルマが全く違う個性を持っているところ」と語ります。
さすがにこの「竹ヤリマフラー」は公道を走ってはいけない気がしますが……
SOUKIさんは、「音楽作ることもクルマを作ることも、自分の『作品』っていうイメージがあるので、どっちも自分のプライドを持って作ってますね」と話しています。
ムービーの最後は、改造車などの車が多く集まる首都高速の「大黒パーキングエリア」の様子で締めくくられていました。
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