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噂の新OS「Windows 10 Cloud」は推奨スペックのリーク情報から教育分野で先行するGoogleのChromebookへの対抗策と判明


Microsoftが現地時間2017年5月2日にニューヨークで開催するWindowsイベントで、かねてから存在が噂されていた「Windows 10 Cloud」を発表します。イベントでの発表を前に、Windows 10 Cloudを搭載するマシンに要求される最小スペックがリークされ、MicrosoftがWindows 10 CloudをGoogleのChromebook(Chrome OS)に強力に対抗する存在にしようという意図が明らかになっています。

Microsoft's new push into education is the right move — at the right time | Windows Central
http://www.windowscentral.com/microsofts-push-education-right-move-time

Microsoftはニューヨークで教育分野に関するWindowsイベント(仮称:Bespin)を開催予定で、そこでWindows 10 Cloudを搭載するノートPCが発表されると噂されています。


これを裏付けるかのような「Windows 10 Cloud」搭載マシンの要求スペックを記した内部資料をWindows Centralが入手しています。以下のスライドによると、Windows 10 Cloudマシンが要求する最小スペックは、「Celeron以上の4コアCPU」「4GBメモリ」「32bit版が32GBストレージ、64bit版が64GBストレージ」「40Wh以上のバッテリー」「eMMCまたはSSDなど高速ストレージ」で、「ペン・タッチツールはオプション扱い」になっています。スライド右の項目にある「Windows RS2」とはWindows Redstone2こと「Windows 10 Creators Update」のことで、Windows 10 Cloudマシンを指しており、その性能比較の対象は「Chromebook」と表記されています。また、比較項目はバッテリー持続時間やスリープからの復帰時間などが記されており、対抗すべき性能がどのあたりを想定しているかわかります。


Windows 10 Cloudマシンの仮想敵はGoogleのChromebookであることがほぼ確実になったわけですが、この裏にはアメリカにおけるChromebookの教育市場での大躍進が原因にあるとみられています。低価格で導入できるChromebookは登場当初から教育分野で活用されていきましたが、IDCの最新発表によると、2013年にアメリカの教育市場におけるChromebookのシェアはわずか9%だったのが、2015年には40%、2016年には49%とほぼ半分のシェアを獲得するほどの急成長を見せています。別の調査会社Futuresourceの発表では、2015年に50%だったChromebookの教育分野でのシェアは2016年には58%とすでに過半数のシェアを奪っていると発表されています。


教育用端末でのChromebookの躍進は著しく、AppleのiPadは2014年に26%だった市場シェアは2016年には14%とほぼ半減、MicrosoftのWindows PCも同期間に25%から22%へと市場シェアを減らしています。Chromebookの教育分野での大躍進はあくまでアメリカ市場に限定したことで、他の市場では全体の65%という高いシェアを依然としてWindowsマシンが占めているとのこと。ただし、教育用端末OSの世界シェアではChrome OSは6%ですがAndroid OSが17%もあり、Chrome OSとAndroidを統合するOS「Andromeda」の開発がささやかれている中で、MicrosoftにとってChromebookは近い将来、脅威となりかねず、Windows 10 Cloudマシンによって今のうちからChromebook対抗の準備を整えておこうという狙いなのかもしれません。

ChromebookのChrome OSが基本的にブラウザベースでクラウドアプリの使用が前提であり「クラウド前提のOS」と言えるのに対して、Windows 10 Cloudはクラウド前提のOSというわけではありません。すでに伝えられている情報によると、Windows 10 Cloudは、基本的にはユニバーサルWindowsプラットフォームアプリ(UWP)の利用が前提でアプリはWindowsストアでのみダウンロード可能だとのこと。このようなアプリの利用制限は従来のWindows RTを彷彿とさせるものと言えます。ただし、Project CentennialというブリッジアプリをWindowsストア経由でインストールすることで、x86ソフトウェアとの互換性も保っていると予想されています。そして、大きな特徴として、Windows 10 CloudはフルスペックのWindows 10へのアップグレードが可能であるとも伝えられています。

MicrosoftがWindows 10の新エディション「Windows 10 Cloud」を準備中、フルバージョンのWindows 10にアップグレード可能か - GIGAZINE


すでに2017年内にARMベース版のWindows 10を動かせるノートPCの登場が伝えられており、さらにはWindows 10の次期大型アップデートRedstone 3ではバッテリー駆動時間を大幅に伸ばす「Power Throttling」が実装されることから、Windows 10 CloudマシンもARM版のリリースやバッテリー時間延長の恩恵を受ける可能性は高そうです。

MicrosoftのSurface ProやSurface Bookは価格が高いため教育用途での利用は難しいため、従来のような「素のSurfaceシリーズ」がWindows 10 Cloudを搭載してリリースされる可能性もありそうです。Windows 10 Cloudの詳細は、2017年5月2日のWindowsイベントで正式に発表される見込みです。

・つづき
Microsoftが軽量版Windowsの「Windows 10 S」とChromebook対抗の教育向け激安ノートPCを発表 - GIGAZINE

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