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古代エジプトの謎の象徴「ピラミッド」を登頂できた時代の貴重な写真集


古代エジプト文明が生み出した巨大建造物・ピラミッドは、法律で登頂が禁止されています。しかし、ピラミッド調査が始まったばかりの時期にはそういった法律が存在せず、現在では考えられないような風変わりな服装で古代エジプトの謎の象徴ともいえるピラミッドに多くの人々が登っていました。

Early tourists clambered to the top of Egypt's pyramids in fancy dresses and suits
http://mashable.com/2017/02/12/visiting-the-pyramids/

紀元前4世紀頃、ギリシャの歴史家であるヘロドトスは、ヨーロッパから地中海を通り古代エジプトの建造物であり最も背の高いピラミッドである「ギザの大ピラミッド」を見るためにエジプトを訪れました。ヘロドトスがギザの大ピラミッドを見た時には既にピラミッド完成から2000年以上が経過していたと言われているのですが、このギザの大ピラミッド(全高138.74メートル)よりも高い建造物ができたのはなんと14世紀になってからでした。なお、ギザの大ピラミッドよりも高い建造物となったのはリンカン大聖堂です。

その後、1869年に地中海と紅海を結ぶ人工運河であるスエズ運河が完成したことで、当時の富裕層の多くが観光目的でエジプトのピラミッドを訪れるようになります。スエズ運河の開通と同じ年に、後に「近代ツーリズムの祖」として知られることとなるトーマス・クックは、パレスチナとナイル川を巡るツアーを企画し、翌年には定期船に乗ってエジプトを旅行するツアーをスタートし、エジプトを観光地としてプロデュースします。

さらに、1922年に考古学者のハワード・カーターがツタンカーメンの墓を発見したことで、ヨーロッパでのエジプト人気はさらに高まることとなります。多くの観光客がスフィンクスやピラミッドの前で記念撮影することに満足していましたが、中にはピラミッドに登頂して記念撮影を行う観光客もおり、登頂が禁止された現在では考えられないような写真の数々が残っています。

◆スエズ運河開通前(~1869)
1860年に撮影された1枚。洋服を着た1人の男性がピラミッドを登るところを、現地の人々が手助けしています。現在、ピラミッドへの登頂が許可されうるのは遺跡調査目的の場合で、そのときでもハーケンを打ち込んで安全確保のためのロープを通すことは禁じられています。とはいえ、この写真で見られるように、さすがに法律で禁止される以前もハーケンを打ち込む人はいなかったようです。


以下の写真は1867年に撮影されたもので、段差の至る所に3、4人のグループがいます。写真をよくよく見てみると、各グループの中に必ず1人は洋服を着た裕福な観光客がおり、他はその観光客を手助けする役であることがわかります。


同じく1867年に撮影された写真。へっぴり腰の男性を、先に登った2人が手を引き、下に残った1人がお尻を押していますが、その上の段には「自分はまったく関係ない」といった様子で座っている人の姿が。


◆スエズ運河開通後(1869~)
1880年に撮影されたピラミッドを登頂する観光客と現地民の様子。登頂する観光客の数がさらに増えているようです。


1882年に撮影された写真。右下には地面まであるような長いスカートをはいた女性の姿も。


スフィンクスやピラミッドの前で記念撮影するだけで満足した人々もいました。


1900年にピラミッドの前で撮影された写真。ピラミッド観光にスーツとドレスを着用してくる、というのは現在ではちょっと考えられませんが、当時の人々は当たり前のように誰しもがこういった格好でピラミッドを訪れていることに驚き。


1900年に撮影されたピラミッドを下から見上げた写真×2


立派なひげをたくえた英国紳士がピラミッドの段差で一休みしているところ。靴が砂まみれで、本当にピラミッドを登っていることを実感できます。


ギザの大ピラミッドの頂上で休憩する地元の人々


当時の写真家であるルイス・ラーズソンがギザの大ピラミッドの頂上で写真を撮影している様子を収めたもの。


ピラミッドの頂上からピラミッドを背景に記念撮影


◆ツタンカーメンの墓発見後(1922~)
1925年にピラミッドの頂上らしき場所から撮影された写真。ヒールを履いた女性2人は一体どうやってピラミッドを登ってきたのでしょうか……?


英国皇太子とグロスター公が一緒にピラミッドを登頂している様子。1930年に撮影。


同じく1930年に撮影された写真。ギザの大ピラミッドでいうと底辺は230.37mあって、横一線に並んで一気に登っていってもよさそうな気がしますが、角が登頂ルートになっているようです。


ギザの大ピラミッドの上を飛行する「LZ 127(グラーフ・ツェッペリン)」を眺めるエジプトの人々を撮影した写真。1931年撮影。


1938年に撮影された、ギザの大ピラミッドの頂上でティータイムにいそしむ観光客たちの写真。どれだけ自由だったかがうかがい知れます。

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in メモ, Posted by logu_ii

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