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ハリケーンのなか湖で激しく波がぶつかりあう「水の山」を撮影する写真家


多くの死人を出すほどに激しい波を生み出すカナダのエリー湖で、波がぶつかり合うことで作り出される恐ろしくも美しい「水の山」を撮影し続けている写真家がデイブ・スタンフォード氏。スタンフォード氏がどのようにして撮影を行っているのか、なぜ過酷な環境の中で撮影を続けているのかを追ったドキュメンタリームービーがYouTubeで公開されています。

Photographing Liquid Mountains | That's Amazing - YouTube


以下の写真は一見すると海洋の波の写真に見えますが、実はカナダのエリー湖で撮影されたもの。


撮影を行ったのはカナダ・オンタリオ出身のカメラマンのデイブ・スタンフォード氏です。スタンフォード氏はこれまで、自身が撮影した湖の写真を前に「これって海の写真じゃないの?」と驚く人々を見てきたとのこと。


スタンフォード氏は湖が撮影にとって完璧な状態になるのを待ち、激しい風に向かいつつ冷たい水の中に入っていきます。


エリー湖があるのは、カナダのオンタリオ州西部にあるロンドンという都市。


エリー湖はオンタリオ州の最南部にある、五大湖のうち最も小さな湖です。


また、最も湖の深さが浅いとのこと。


「五大湖」と名付けられているにも関わらず比較的小さく浅いエリー湖は、独特の波を作り出します。波と波の間隔が狭く、白く泡だった波は非常に激しいものなのです。


波の激しさによって過去には8000もの船が難破しているとも言われています。


死人が多く出ることからエリー湖はウィドウ・メーカーとも呼ばれているとのこと。


以下がスタンフォード氏の仕事道具。


「自然を相手にする写真家にとって、最も重要なのは忍耐です」と語るスタンフォード氏。


スタンフォード氏が初めてエリー湖の写真をインターネット上に投稿した時、家に帰るといくつものコメントがついていたそうです。その数は通常の写真投稿時にスタンフォード氏が受け取るものとは比べものにならず、多くが「Like(いいね)」をつけていたとのこと。


ウェットスーツを着て家から出るスタンフォード氏。


出発したのは朝のまだ暗い時間帯。撮影には心理的な準備が必要なため、撮影すると決めている日は、朝起きた瞬間から本番は始まっています。


太陽の昇りきる前に湖の状態を見ると……


波がしぶきを上げていました。


天候は常に変わっていくものですが、天候という要素の中でも、スタンフォードさんの撮影にとって最も重要なのは風の速度と方向。撮影に適した風が吹くのは10月中頃から12月前半だそうです。


南西からの風がベストで、最低でも時速30マイル(約48km)は必要とのこと。


最大で時速70マイル(約113km)というハリケーンレベルの風を相手にするそうです。


強い風によって、10m近くある巨大な「水の山」が生まれます。


湖に入っていくスタンフォード氏。


エリー湖の波が海の波と違う点は、いくつもの波がセットでやってくること。そして、常に波が砕けており、1つの波が通り抜けて次の波がやってくるまでの時間は2~2.5秒しかないこと。


湖の中に入っている時のことを「巨大な洗濯機の中にいるみたいだ」とスタンフォード氏は語っています。


水は氷が浮いている時があるほどに冷たく、「一体自分は何をやっているんだ?」と思うこともよくあるそうです。


「水はとてもパワフルで人を欺くので、あなたは大いに敬意を払わなければなりません」「波は人間よりもずっと力強いため、自分の限界を知ることが大切です」と語るスタンフォード氏。


スタンフォード氏が撮影する場所は岸壁の近く。岸壁にぶつかって反射した波が押し寄せてくる波とぶつかり生まれる「水の山」を撮影します。


2方向から波がぶつかって生まれた「水の山」の写真がこれらのもの。時に真正面からぶつかってくだけ、時に2つの波がぶつかってねじれ、跳ね返り、さまざまな形になっています。水の山が生まれて消えるまでの時間はわずか1秒ほど。


その瞬間をスタンフォード氏は捉えているわけです。


スタンフォード氏の写真は、オンラインニュースサイトのThe Washington Postなど、多くのメディアで扱われているほか、ウェブサイトでは写真の販売も行われています。


「私の心からの願いの1つは、私の写真によって『自然があるから人々は何かを得ることができるのだ』と感謝できるようになること、そして自然を愛し、大切にし、守ることを学べるようになることです」とスタンフォード氏は語りました。

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in 動画, Posted by darkhorse_log

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