取材

デジタル・フロンティアに「GANTZ:O」をどう作ったのか徹底的に聞いてきた その4・アニメーション編


キャラクター」「背景」「モーションキャプチャー」と、じわじわと映画「GANTZ:O」を作るための素材がデジタル・フロンティア社内で集まってきて、いよいよ次の工程はアニメのCGが作られる「アニメーション」です。いかにCGアニメーションを作っていくかの設計図であるプリビズから、どこに気をつけながらアニメーションが作られていくのか、その一端が垣間見られます。

プロダクションマネージャー 舟橋俊さん(以下、舟橋):
「アニメーション」はモーションキャプチャーの次の工程で、物語の根幹、絵コンテからアニメCGに起こしてもらうという作業をします。

CG制作部 アニメーション室 室長 亀川武志さん(以下、亀川):
どういったことをしているのかがわかるように比較できる動画を作ってみました。右上が先ほどご覧になったモーションキャプチャーの風景で、左側はそのモーションキャプチャーの前に作られたプリビズです。下はアニマティクス、右下がアニメーションです。


川村泰監督(以下、川村):
時系列でいうとプリビズからなので左上、右上、左下、右下です。


亀川:
音楽は入っていません。これでワンシーンですが、作っていくにつれてタイミングも当初とは変わる部分が出てくるので、なかなかこの4種類の全カットを一緒に見るというのは難しいです。これは、GANTZロボと牛鬼が対峙するシーンで、自衛隊も何人かいますね。

GIGAZINE(以下、G):
プリビズの段階でかなり作っているんですね。

亀川:
はい、要素も込みで作っています。

G:
ほとんどの要素がプリビズに入っていますね。

亀川:
普段はプリビズをそこまでは作らずにコンテで撮影して、アニマティクスの段階でいろいろな要素を入れ込むんですけど、その流れで、プリビズとはいえいろいろな要素が入ることになりました。

G:
すごいですね、ここまでプリビズを作り込んでいたとは……もっと簡単なものかと思っていました。

亀川:
普通のプリビズというと、ライティングもエフェクトも無いような感じですよね。

G:
このプリビズは角度とか構図までほとんど決まっていると。

亀川:
これをもとにして、モーションキャプチャー撮影の時に撮ったりすることもあります。

G:
モーションキャプチャーの話を聞きつつ現場の映像を見ると撮影がとてもスムーズに進んでいたのは、このプリビズがあってこそなんですね。

亀川:
全シーンのプリビズを作っているわけではありませんが、あるシーンについてはプリビズを見つつというのはあります。Vコンになるとセリフも入っていて、川村さんがいろいろと作ってくれました。

G:
なるほど。Vコンは以前、監督インタビューの中で出てきましたね。

川村:
はい、後ほどちょっと具体的なものをお目にかけようと思っています。

舟橋:
ここに取り掛かったのが2014年11月から12月ぐらいですね。モーションキャプチャーは1月から撮影して、上がってくるのが3月から4月くらい。そこからアニマティクスが5月ぐらいまでかかって、1カ月ぐらいでアニメーション、という感じです。

亀川:
プリビズもアニメーションも、全部MotionBuilderで完結します。

G:
今見せてもらったようなレベルのプリビズというのはやはり珍しいものですか?それとも、今までにもこういったプリビズを作られているのですか?

亀川:
これは初めてです。

G:
実際に作ってみてどうでしたか?

亀川:
プロジェクトに入った時に分かりやすいですよね。コンテやVコンもわかりやすくなる。当然、撮影のときにも分かりやすいし、いろいろな予測を立てられます。実際、いつもだとアニマティクスを作ってからいろいろな想定される要素がフィックスできるんですけど、プリビズだともっと早い段階で分かるというのは、全体のフローとしてメリットがあるのではないかと思います。あと、アニマティクスを作るときに、手付けではなく基本はモーションキャプチャーのデータありきでいろいろ作っていくんですが、プリビズだと自由なので、作っている人は自由な分、やりやすいんじゃないかなと思います。制約はありますけどデータも軽いですし、キャプチャーデータの演技にとらわれずに気持ちをぶつけていけるんじゃないかなと。実写だと撮影用に作るというのは多いと思うんですけど、フルCGだとこれぐらいやれば後々は上手く使えば楽になるんじゃないかなと思います。ですが、今回はまだ上手く使えていないところがたくさんあったんじゃないかな。

G:
次にプリビズを作るときにどうすればいいかというコツだとか、こうした方がよさそうだという部分は何かありましたか?

亀川:
ある程度動いていた方が、やっている方もテンションが上がると思います。普通に移動しているだけのプリビズだと、作っている側も面白くないんです。だから、最初はプリビズはもっとラフで良いという話をしていたんですが、結局やり出したらいろいろ付けてしまって。

川村:
そうそう、意外とみんな動かしすぎなんですよ(笑)

亀川:
「やり過ぎた」と言われましたが、こっちの方がやってる方も楽しいし、分かりやすいんですよ。

G:
監督は初めてプリビズを見た時どうでしたか?

川村:
プリビズを作ってもらうようにお願いしたところは、僕が迷っているところばかりなんです。つまり、「一度3Dで見てみないと、ちょっと困るな」というところなので、こうして作ってもらえるとありがたいです。プリビズを見て「これでいける」と思うところもあれば、「やっぱりこれはちょっと変えないとな」というのもすぐに分かるので。

G:
今回、3Dで見なければと思ったシーンはどこでしたか?

川村:
1つは、烏帽子巨人です。どれぐらいの大きさが適正なのかがちょっと分からなくて、あまり大きいと全然映らないし、小さいと人が隠れている隙間にも入れてしまうので、背景を置いた上で適正なギリギリの大きさはどのあたりだろうか、と。

G:
プリビズを作ってもらう際には、こういうことで迷っているから作ってねという指示なのですか?

川村:
「これは大きさを探るところだよ」とか、「移動距離を知りたい」とかですね。どれぐらい移動しなきゃいけないかが分かると、「背景の見える範囲」が先に分かるんです。

舟橋:
見えないところを作り込んでしまうと、労力の無駄遣いになってしまいますから。

G:
意味が無いですからね。

川村:
GANTZロボと牛鬼のシーンについてはど派手なシーンなので、早めに多くのことをやっておいて、どれぐらいの情報量というか、どれぐらい見えるのかというのをエフェクトチームを含めてみんなに知ってもらって「これをやらなければいけない」ということが早めにわかっていると得なところですね。だから、プリビズでは「早めに情報が分かると良いところ」をやってもらっています。

G:
なるほど、そういうイメージなんですね。プリビズの段階でもう凄まじいです。

亀川:
プリビズがあればみんな早い段階から同じイメージで進められるので、撮影もプリビズがあるところはそんなに迷わずに済みます。

G:
今回、プリビズを作って予想よりも大変なことはありましたか?

舟橋:
プリビズではないですけど、その後の段階で絵が見えてきたことによって「あ、これ今出したスケジュールではハマらない」ということがひしひしと見えてきました。それで、「監督、もう少し削って下さい」と。

G:
なるほど、そういうところが見えてくるんですね。プリビズの正しい使い方という感じがします。

川村:
後で分かって全然間に合わないとなるよりは、「少し足りないので削って下さい」と言われた方が全然良いじゃないですか。早い段階でヤバいことが分かるのは良いことです。

舟橋:
本当は絵コンテの段階で想像ができると一番良いんですが、それはさすがに無理だと思うので。

亀川:
それはさすがに難しい……。この、いろいろなビルが画面内に入ってくるシーンでも、「背景がこれ以上は見えないよ」ということがわかるようになります。

舟橋:
見えているところだけ屋上を作るということですね。

亀川:
気持ち、プリビズのときより引き気味の絵になりましたけど(笑)

G:
通常のプリビズよりも、設計図に近いのかなという印象です。

亀川:
プリビズがあるところに関しては撮影後にモーションデータをキャラに流し込んでいって、尺調整とかをしつつ、カメラワークも演技に合わせるんですけど、プリビズも参考にしながら少しずつ調整します。一応、MotionBuilderの作業画面も静止画ですけどあります。今回初めてだったのがヘッドマウントカメラで、実際の作業上でも見るようにしようということで、ビューワー上で、キャラの顔の隣にカメラ映像を表示させるようにしました。これ、アニメーション側が動くと顔カメラの映像も動くんです。


G:
ちゃんと同期して見られるんですね。


亀川:
これでキャラクターの顔と役者さんの顔を確認するようにしました。ショットワーク2は独自のもので、アニマティクスを作る段階でアニメーションチームがショットに関するいろいろな情報も管理し始めるんですけど、これがショットガンとも連携していまして、カットごとの情報が一覧で見られるようになっていたりとか、スタートエンド、カメラのサイズ、進捗・作業中・リテイクというステータスも出るようになっています。これがアニマティクスの作業画面で、カメラを表示させているんですけど、カメラ用のツールがありまして、いろいろなカメラの細かい設定をしています。レンズ設定では、ボタンを押せば自動的にレンズのミリ数が入ったりします。レンダリングとかも全部やってニア/ファー設定だったりなどいろいろ設定していきます。これがその前のモーションキャプチャーデータをキャラクターに流し込む作業の画面なんですけど、基本的にはこれは自動で行われます。ショットガンに登録した情報をもとにカットのキャラクターを読み込んでモーションキャプチャーのデータを読み込む感じです。指も撮っているので、指も自動的に入るようにしていて、後は入れこんで少しキャラクターごとの調整をして接地をして、プロップとかもデータを取っているので、プロップを読み込んで流し込みます。そして、このオレンジの足元のキューブは、地面にめり込まないようにという接地確認用のものです。撮っているものは全部妖怪とかもそうですけどこういう工程です。


G:
撮っている全キャラクター分あるんですよね。

亀川:
全キャラクター分です。

G:
凄まじい量ですね。

亀川:
これが全体の流れなんですけど。


川村:
すごいなぁ、こんなのを作って。

亀川:
これは新人用に前からあるんです。

G:
こんな流れなんですね。

亀川:
全体がアニメーション室でやる作業で、MotionBuilderの心配はあるんですけど、そこからショットガンにいろいろな情報を書き出しつつ読み込みつつ、ショットのスタートとかディレーションだったりとか、そのカットに出てくるアセットの各情報もアニマティクスを作ってから決め込んで、このカットにはこういうキャラが出ると決めていきます。

G:
このワークフローを見るだけでも凄まじい手間ですね。簡単な概要だけでこれですか……。

亀川:
アニメーションチーム内でのもので、全体の一部ですから。それぞれツールで補足してプロットデータと呼ばれるアセットごとのデータを最終的にパブリッシュして、Mayaで一度シーン構築をして、構築的に問題が無ければそれでいきます。まずこれがベースになっているんですよ。基本はほぼ自動化しているので、エラーが出たらアレですけど、上手くいけば何の問題もなく流れていくんです。

舟橋:
ここでアニメーションチームが登録した情報と、そのデータからエフェクトやシミュレーションなど、基本的にそのデータを引き継いで作業をしていくという感じですね。

G:
なるほど。今見ているこれは何ですか?

亀川:
これはカメラのリグですね。


亀川:
最終的にこのノードがはき出すパブリッシュ用になるんですけど、作業中のカメラは別にしていまして、このアップベクターの辺りはあまりいじらないですけど、ここのノードで手持ち用の自動的にf分の1の揺らぎを入れるためのノードがあって、移動とローテーションを分けています。これをベースに、人によってはノードを追加したり。結構1ノードでカメラをいじることが本当になくて、ノードをそれぞれ分けて制御しているという、それが弊社の特徴です。普通はインタレストもアニメーションさせている人が多いと思うんですけど。

川村:
それは最悪だね。

亀川:
後で直しが効かないんですよ。


川村:
ここでもってトランスとローテーションで作る。この動きだとそういう動きにしづらいです。

亀川:
いろいろと制御のしやすさを考えてこういう感じになっています。下手するとツリーの間に10個ぐらいできると思う。

川村:
何か揺れた時用とかでしょ?

亀川:
軸を分けた方が絶対に制御しやすいし、修正に何でも対応できます。

G:
監督がインタビューで「なんだかんだ言いながら修正する」といっていたのはこういうことなんですね。

川村:
そうです。

G:
インタビューで「この辺りはいけると思うからいける」って言っていて、そんな手順でいけるのかなと思っていましたが、こういうのがあるからなんですね。

亀川:
ただ、慣れないと結構扱いづらいところもあって、当然見た目でビューワーでグルグルやっていた方がやりやすいというのはあるかもしれません。

川村:
慣れるというのが何かと言うと、空間を「X軸・Y軸・Z軸」に脳内で分解できるかなんです。動きの回転も見た瞬間に、これはXロッド、Yロッドというのが分かる様になったら慣れてきたということです。それができないとノードを分けても使いこなせないんですよ。僕もアニメーターだったので、動きの中のXYZを分解する癖が付いていて、ノードを分けた方が慣れると全然速いです。

G:
すごいですね。

川村:
だから、セル画のアニメーターの能力と、CGのアニメーターの能力は似たところもありますけど、全然違うのは空間というか座標軸を把握するというところです。

亀川:
これも作業中の画面です。牛鬼はHumanIKを使っているので前足がここになっています。

川村:
そこが前足扱いなのか。

亀川:
キャプチャーを流し込むとこうなってしまうんですよ。ただ、基本的に足は手付けの他のコントローラーがあるのでそっちで制御していますが、ロボに関してはそのまま人型で調整しています。

G:
怪獣大決戦という感じですね。

亀川:
そのつもりで作っていました。

G:
モーションを見た時も「よくあのモーションが合うものだ」と思ったんですけど、これを見ると「なるほど!」という感じですね。

亀川:
人型じゃなくなるにつれて編集量が増えていくので大変なところではあります。大変なシーンはアニメーション室の中でもスペシャリスト枠みたいなのがありまして、そこにすごい人たち、アニメーションの上手い人たちがいるんです。

川村:
要はマネージメントのできる人と、本当にアニメーションしかできないけどアニメーションをさせるととんでもなく上手い人というのがスペシャリストで、どっちが良いか自分で選ぶんです。

亀川:
そういう人が何名かいまして、難易度の高いところはそういう人に振ってやってもらいます。

G:
スペシャリスト枠になった部分というとどういうところですか?

亀川:
難易度が高いのは、コンテでもVコンでも、もう一段演出が必要な部分です。

G:
もう一段演出が必要というと?

川村:
コンテでも上手く表現できないようなところなので、女体のところとか?

亀川:
女体とか、西君がバイクに乗ってるところもそうですね。

川村:
キャプチャーしてみないと分からないなというところです。そのスペシャリストは僕にとってはジョーカーのカードなので、「よし!」と思ってそこに割り当てました。

G:
バシッと決めていくと。本当にあらゆるものの組み合わせで完成させていくイメージですね。

川村:
本当にそうです。

G:
監督はもう、要するに本当に全てのものについてOKを出していくんですね。

川村:
1万5000回ぐらいOKと言いましたね。

G:
それぞれのものをスペシャリストが作っているだけでもダメだし、監督だけでももちろん完成するわけがない。「何でもいいから、CGを作ればいいんだろう?」と言っている人はこのメイキング風景を見た方がいいですね。「そんなに何でもかんでもできるわけがない」ということが分かります。これを見るとCGの何が難しいのかが何となく分かってくる感じがしますね。

川村:
僕自身の立場としていえば、作業は亀川さんとかスペシャリストの方にやってもらったのでそんなに苦労はしてないんです(笑) 彼らが彼らのセンスでしてくれて、それで大体OKというところでした。ただ、力量がない人もいるので、そういうときには二人で議論しました。そうなってくると説明のしようがないんですよね。

亀川:
もう少しなんだけど何かが足りないという、違和感はあるという状態です。

川村:
「どこかレイアウトがおかしいよな、どう思う?」みたいな聞き方をして「こうですかね」という感じでやっていきました。

亀川:
例えばここのカット(牛鬼の出現カット)でプリビズでカットを割っていますけど、やっぱり1カメが良いということでなるべく長めにするとか、すごく今さら感がするんですが。その後の出現の仕方もアニマティクスではフィックスしたんですけど、アニメーションではもう少し長いんです。スピードもそれに合わせて動き方も変えて、いろいろと変えました。実際はもう1カットあっても良いかなと思っていたんですが、あまりやるとボリュームがね。

G:
本当に最終的に全てが戦いですね。

亀川:
アニメーションの詰め作業の場合はちょっとキャラクターにワイヤーを乗せたりしてポーズとか動きを分かりやすくしているんです。ここでは細かい足の指もアニメーションでは付け足して、この牛鬼の吠える向きがいまいち決まらなくて、最初はもう仮面ライダーの悪役みたいな怪人みたいに見えてしまったんです。なので動きを変えてスピードを調整しました。

G:
実際にアニマティクスを作らないとそういう違和感は分からないということですね。

亀川:
前足も最初は普通に蜘蛛みたいにバタバタしていただけだったんですけど、川村さんの指示もあって「牛鬼の足の先をもっと重く」とのことでちゃんと下げるようにアニメーションで変更しました。

G:
なるほど。

亀川:
後はヘリコプターのサーチライトとかもアニメーションでもう一段ちゃんと付け足して、このシーンはヘリコプターのサーチライトも全部川村さんが全部指示を出してくれました。ここもアニメーションで分かりやすいようにヘリを追加して、本当はアニマティクスが終わってからそういう要素足しはしないんですけど、やっぱりやりました。後は妖怪の死体があったりとか。

G:
本当ですね。

舟橋:
見ている人はあまりいないと思うんですけど、一応殺された後なので。

亀川:
こういう地味なのが結構大変でした。どこに何を置くとか、ここにあれを置いたしな、みたいな。

G:
CGだと全部作らないといけませんもんね。実写のカメラだったら1カメの位置替えで済みますけど。

亀川:
あと、なるべく「ショットワークとかあとよろしく」ではなくて、ちゃんと責任を持ってカットの要素を出していたので、その辺りも大変でした。

G:
なるほど、あとこれだけはみんなに伝えておきたいということはありますか?これが大変だったよ、みたいな。

亀川:
全部です!(笑) ドラマパートはもちろん大変なんですけど、みんなそれなりに経験値が積まれてきて、間とかカメラの位置とかも意外といけるなというところが結構ありました。でも、アクションは本当に大変だったので、ぜひ見て欲しいなと思いますね。

G:
アクションが凄まじく多いですもんね。

亀川:
なるべくエログロバイオレンスアクションを目指しました。

G:
あと、実際に今回こういう作品を作ってみて、次の作品に活かせると思った発見は何かありましたか?

亀川:
プリビズをちゃんとやるというのは活かしていきたいと思っています、データ的にも上手く流用できることとか。あとはカメラワークで自動的に揺れるようなやつを制御しているんですけど、それが主にローテーションなんです。でも実際もっと突き詰めるとトランスとかも入っているので、それも入れつつ、なおかつクオリティにバラツキがないように、ライブラリのようなものを作って簡単にある程度のものができるようになればいいなと思いました。アニメーションに関してはもう「このツールがあれば」みたいなものはないので、あまりありません。

G:
なるほど、今までの話の全てを総合すると、CGのアニメーションにはかなり未来がありそうですね。クオリティも作品を作れば作るほど上がっていく感じがするので。

亀川:
そうですね。

G:
本当にみんなでやる作業の集大成みたいな感じで、圧巻です。作品を作れば作るほどじり貧の逆で結晶化する感じがしますね。これはすごいです。

亀川:
モーションキャプチャーデータのアニメーションと、手付けの妖怪のアニメーション、そのどちらもあるのでやっぱり面白いと思いますね。モーションキャプチャーのデータを編集していると、何となくアクターさんたちと一緒にやっている感じが出るので楽しいです。実際にあれはこういう動きをしていたんだとか。

G:
なるほど。

亀川:
なので、自分の中で加藤はアクターの笠原紳司さんのイメージなんですよ。すごく近い感じがします。

G:
動きみたいな抽象的なものを具体的な数値にするというのは妙な感じがしますが、それでも役者を感じるというのはすごいですね。言われてみれば、でき上がったデータはこれですもんね。

亀川:
しかも、人間なので歩き方にしろ体重のかけ方にしろ癖があって、そういうのを見ているとより親近感が強くなります。

G:
デジタルな作業なのに、すごくアナログな感情という感じがしますね。CGだからこそ、フル手作りという感じがします。

亀川:
もちろん自動化できなくて絶対手作りの部分はあるので。

川村:
情報量がアニメとは全然違います。

G:
違う次元で情報量が多いですよね。

川村:
自動で底上げしているのがかなりありますけど、そこに足りないものをかなり乗せないといけないので、違う種類の映像表現だと思います。

G:
確かに今までに見たことのない映像表現ですね。普通の映画だったらカメラの撮影がどうとかの話ですけど、フルCGなので全然違う次元ですね。

川村:
そうなんです。

G:
これは全く違うものを求められていますね。こんなのを作るスタジオがそんなボンボンできない訳です。

舟橋:
短い尺だったらあると思うんですけど、長編だと大変ですね。

G:
レベルがかなり上がっていきますもんね。

舟橋:
全ての要素をやらないといけないので。

G:
凄まじい積み上げですね、ありがとうございました。

・つづき
デジタル・フロンティアに「GANTZ:O」をどう作ったのか徹底的に聞いてきた その5・フェイシャル編 - GIGAZINE

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in インタビュー,   映画,   アニメ, Posted by logc_nt

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