iOS 9をiOS 10にするとアプリ起動速度やバッテリー持続時間は上がるor下がるのか？

2016年9月14日未明から配信が開始されたiOS 10の実機レビューが登場し始めています。Appleが「iOSの歴史の中で最大のアップデート」というiOS 10は前バージョンと比べてどの程度パフォーマンスが変化するのか、特にiOS 10が使える最も古い機種で、ともに「A6プロセッサ」を搭載する「iPhone 5」「iPhone 5c」ではどのぐらい使えるのか、Ars Technicaが初期レビューを実施しています。

iOS 10 is a pleasant surprise for the iPhone 5 and 5C | Ars Technica
http://arstechnica.com/apple/2016/09/good-news-ios-10-runs-pretty-well-on-the-iphone-5-and-5c/

iOS 10 reviewed: There’s no reason not to update | Ars Technica
http://arstechnica.com/apple/2016/09/ios-10-reviewed-theres-no-reason-not-to-update/10/

過去のiPhoneと新しく登場したiOSとの相性をiPhone 3GS時代から追いかけてきたArs TechnicaのAndrew Cunningham記者は、新たに登場したiOS 10は2012年に登場したiPhone 5とその後継機であるiPhone 5cでも普通に使えるOSであると解説しています。Cunningham記者は、これまでのアップデートを振り返ったときに「良い」と判断できたのはiOS 6が登場した時のiPhone 3GSぐらいのもので、それ以降のOSは古い機種には厳しいという評価を下していただけに、「古い機種にも優しいiOS 10」という評価は特に際立つものと考えて良さそうです。

iPhone 5sを使い、iOS 9.3.5とiOS 10 GM版(リリース前最終版・ほぼ完成バージョン)で各アプリの起動時間を比較したのが以下のグラフ。一番左からアプリ名、iOS 9.3.5のタイム、iOS 10 GMのタイム、そして増加率が書かれています。

「カレンダー」アプリのみ起動時間が短縮された以外は0.5％～18.5%の増加で、「メール」アプリのみ42％という増加率を示していますが、むしろ注目すべきは実際のタイム。最も増加率が高かった「メッセージ」アプリでも起動時間が1.45秒から1.72秒へとわずかに0.27秒増えただけなので、まず「遅いなあ」と体感できるレベルではないといえそうです。Appleが「iOSの歴史の中で最大」という変更が加えられたOSであることを考えると、「ほぼ現状維持」という成績は評価に値するものであると判断していいのかもしれません。

次に、ディスプレイの明るさを200NITSにした状態でWi-Fiでのブラウジングテストを行った結果がコレ。機種別に、iOS 9(オレンジ)とiOS 10(ブルー)のグラフが示されており、実際に稼働できた時間が数字で表示されています。

古い機種で、しかもバッテリーが使い込まれているiPhone 5が他の機種に比べて劣勢になるのは致し方ないところですが、やはり注目すべきはiOS 9とiOS 10で駆動時間が変化していないところです。これまで、バージョンが上がるごとにバッテリー消費が速くなってきたと言われている中で、メジャーアップデートにも関わらず消費電力は据え置きと言える結果が出ているところは、古い機種を使っているオーナーには希望が持てる結果と言えそうです。

実際に使ってみた感触としては、特に目立ったフリーズなどもなく、比較的サクサクと使えていた模様。ただ、やはり4年落ちというスペックの差はどうにもならないようで、「ポケモンGO」などといったゲームをプレイする場合には、カクつきが発生する場面もあったとのこと。また、マルチタスキング機能を使う際にも同様の現象は確認されていたとのことです。

Cunningham記者は総括として「アップデートすべきか？」という問いに対しては、「登場から4年がたった端末ということを考えると、iOS 10はiPhone 5でも十分に使える。悪くない」と評価。iOS 10が使える最も古い端末であっても、iOS 9時代とほぼ変わらないパフォーマンスは確保できるようです。ただし、やはり16GBモデルでの使用感に関しては注意しておいたほうが良さそうです。