驚異の砂粒サイズで体内にインプラント可能な極小ワイヤレスセンサーの開発に成功
体内に埋め込むことで神経を流れる電気的信号を記録し、超音波を通じて外部にデータを送信可能でバッテリーも不要な1mm四方という極小ワイヤレスセンサーの開発にカリフォルニア大学バークレー校が成功しました。
Wireless Recording in the Peripheral Nervous System with Ultrasonic Neural Dust: Neuron
http://www.cell.com/neuron/abstract/S0896-6273(16)30344-0
Engineers Create The First Dust-Sized Wireless Sensors That Can Be Implanted Into The Human Body
http://sciencenewsjournal.com/engineers-create-first-dust-sized-wireless-sensors-can-implanted-human-body/
極小ワイヤレスセンサーの実物のサイズや仕組みについては、以下のムービーを見るとわかります。
New “Neural Dust” sensor could be implanted in the body - YouTube
男性が考えるだけでロボットアームを操作してスプーンから何かを食べています。これは脳信号を読み取ることで考えるだけで電動義手などを動かせるようになる「ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)」の将来的なイメージですが、まだ実現には至っていない技術です。
このようなBMIを実現できる可能性を持つハードウェアとして開発されたのが体内に注入可能なほど極小な以下のワイヤレスセンサー。指先にのせるとどれほど小さなパーツなのかがわかるはず。
コインと比較すると、まさに砂粒ほどのサイズです。
これだけの極小サイズながら、超音波によるワイヤレス通信が可能でバッテリーも不要。
人間の体内にインプラントしても動作すると考えられています。
体内に埋め込まれたセンサーは、リアルタイムで各種データを計測・送信します。
以下はラットの体内にインプラントしたワイヤレスセンサーが、体内の神経を通る電気信号を計測しているところ。
また極小ワイヤレスセンサーを使えば、四肢まひなどの症状を持つ人でも、電動義手などの人工装具を使って動けるようになる可能性を持っています。
近年ではFitbitのようなヘルスケアのログを計測できるIoT機器がありますが、この極小ワイヤレスセンサーを使えば脳内の神経細胞の電気的信号まで記録でき、活動量計より精細なヘルスケアデータを常にトラッキングできるとのこと。
極小ワイヤレスセンサーは超音波を内蔵の圧電結晶で極小の電気に変換し、抹消神経や筋肉繊維に直接つながれたトランジスタの動力となります。末梢神経や筋肉に注入すれば、超音波を使って外部にデータをワイヤレスで送信できるという仕組み。
記録された電気的信号データは分析されて送信され、異なる別々の電気的信号データとして区別されます。
この特徴により、四肢まひの人でも考えるだけで電動義手などを動かせるとのこと。
将来的には脳にインプラントするため、さらに高性能で小型のセンサーも開発中。現行のセンサーは1mm四方ですが、脳や中枢神経にインプラントするには50ミクロンまで小型化する必要があります。
1つのマテリアルは一度インプラントすれば一生動作するそうです。
また、極小ワイヤレスセンサーはさまざまな医療機器やソフトウェアと連携できる可能性を持っています。例えば個々の臓器にセンサーを1つずつ埋め込めば、各臓器の健康状態を常に把握できるようになり……
神経を刺激することで食欲を抑制したり、膀胱機能をコントロールするなどの使い方も。
てんかんなどの症状の抑制にも効果があると考えられています。
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