レビュー

コード・音階・音数を指定するとありとあらゆるアルペジオを再生できる「Musical Chord Progression Arpeggiator」


音楽理論を少しかじった人ならば、楽曲は複数の音を積み重ねる和音(コード)でできていること、そして、いわゆる「ドレミファソラシド」にはいくつもの旋法(モード)が存在していることを知って夢中になるものです。理論で覚えようとするとなかなか大変なコードとモード、そしてそこから生まれるアルペジオですが、「Musical Chord Progression Arpeggiator」を使うとブラウザで簡単にクリックするだけでコード進行とモードの違いを感じながら、考え得る全てのアルペジオを聴くことができます。

CodePen - Musical Chord Progression Arpeggiator
http://codepen.io/jakealbaugh/full/qNrZyw

サイトにアクセスすると、こんな画面が表示されます。画面上にはさまざまな設定項目が表示されており、選択中の項目がオレンジ色で示されています。


キーボードの真下にある「Chord Progression」は、アルペジオを生成したいコード進行を指定します。


実際に再生するとコードは左から右へ流れるようになっており、コード名は「C」や「Am」という音名ではなく、「I」「ii」「IV」「vi」というローマ数字で表記されています。また、指定できるコードはiからViiまでの7つのコード(ダイアトニックコード)のみで、途中で転調はできません。

Chord Progressionの下には、コード進行のキーを音名で指定する「Tonic/Root」と、旋法(モード)を指定する「Mode」があります。


モードはとにかくややこしいのでここでは説明を省きますが、いわゆる教会旋法で用いられる「IONIAN(イオニアン:メジャースケール)」、「DORIAN(ドリアン)」、「PHRYGIAN(フリジアン)」、「LYDIAN(リディアン)」、「MIXOLYDIAN(ミクソリディアン)」、「AEOLIAN(エオリアン:ナチュラルマイナースケール)」、「LOCRIAN(ロクリアン)」の7つのモード、そして「MELODIC(メロディックマイナー)」と「HARMONIC(ハーモニックマイナー)」の8種類のモードを選択することができます(MAJORとMINORはそれぞれIONIANとAEOLIANと重複)。何のことを言ってるのかわからなくても、実際に再生してみると細かな違いがきっと体感できる……はず。

画面右上にある「Output」には、「Tonic/Root」と「Mode」のから設定された実際のコード名が表示されます。ここを参考にしながらコード進行を決めることもできるので便利。


「Arpeggio Steps」は、生成するアルペジオの音数を「3」から「6」の間で指定します。その横の「Arpeggio Type」は「STRAIGHT」と「LOOPED」を選べます。STRAIGHTは「ドミソ」、LOOPEDは「ドミソミド」と、一方通行か戻ってくるのかと理解しておけばOK。


そして、「考え得る全てのアルペジオ」を設定するのが、画面下部にある「Arpeggio Style」の項目。全ての波形は全て異なるスタイルのアルペジオとなっており、例えばArpeggio Stepsが「4」の場合、「0123」の次は「0132」、その次は「0213」というふうに、アルペジオの積み方を1つずつ変化させて考え得る全てのアルペジオがここに表示されるようになっています。導き出されるアルペジオの数は、4×3×2×1=24種類


Arpeggio Stepsが「6」の場合だと、おびただしい数のアルペジオが表示されます。その種類はもちろん6×5×4×3×2×1=合計720種類


設定を行ったら、右下にある「START」とクリックすると、コード進行とモードに応じたアルペジオが再生されます。


再生中でもパラメータはいろいろと変えることができ、細かな違いをリアルタイムに聞き分けることができるので、コードやモードの勉強にもピッタリといえそうです。ただし、PCのスペックやブラウザによってはノイズや遅延、音飛びが発生することもありました。動作の安定にはやや欠ける状態ではありますが、手軽にアルペジオを聴いてみたい時には重宝します。ちなみに、記事作成の際にはブラウザ「Opera」が最も安定して動作するブラウザでした。

海外の掲示板サイトであるRedditのフォーラムでは、「ゲーム音楽の作曲に使える」などと言った感想とともに感謝を述べる人が続出。それ以外にも、例えばModeを「MAJOR」にしてChord Progressionを「I→V→vi→iii→IV→I→IV→V」と設定し、Arpeggio Stepsは「4」、Arpeggio Typeを「STRAIGHT」にして、Arpeggio Styleを「3021」にして再生すると、超絶技巧ギタリストがソロ演奏でよく取り入れていたクラシカルなアルペジオ奏法の雰囲気を再生するなど、いろいろな使い方がありそうです。


なお、Musical Chord Progression Arpeggiatorはスマートフォンのブラウザでも動作が可能。PC環境と同様に不安定な動作をするブラウザもあるようなので、いろいろな種類を試してみるのがオススメです。

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in レビュー,   ネットサービス,   アート, Posted by darkhorse_log

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