「優れた子ども」を育てるために科学的に導き出された方法とは?
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子どもを持つ親ならば、誰もが子どもに対して「立派に育ってほしい」と思うものです。そんな「立派な子どもに育てるための方法」を、アメリカのラジオネットワークNPRが解き明かしています。
How To Raise Brilliant Children, According To Science : NPR Ed : NPR
http://www.npr.org/sections/ed/2016/07/05/481582529/how-to-raise-brilliant-children-according-to-science
子どもに「どうして信号は赤青黄なの?」と聞かれた場合、大人は「赤が止まれで青が進めだからだよ」とありのままの事実を伝えたり、質問をそのまま子どもに問い返し、子どもが自分で答えを導き出す手助けをしたりすることも可能です。しかし、子どもは何度でも気になったことを質問として投げかけてくるため、親や教師など子どもを預かる人々は、常に時間的・忍耐的に完璧な受け答えをすることができるわけではありません。
しかし、2016年5月に出版された「Becoming Brilliant:What Science Tells Us About Raising Successful Children」という書籍によると、このような「子どもが疑問を抱いた瞬間」というのは非常に大事なタイミングだそうです。
Amazon.co.jp: Becoming Brilliant: What Science Tells Us About Raising Successful Children (APA Lifetools: Books for the General Public): Roberta Michnick, Ph.D. Golinkoff, Kathy, Ph.D. Hirsh-Pasek: 洋書
この書籍の執筆者のひとりで、テンプル大学の教授兼ブルッキングズ研究所の上院研究員でもある、発達心理学の権威としても有名なキャシー・ハーシュ=パセック氏は、「わたしたち大人が、今、子どもに対して行うことは、子どもの今後20年にとって重要なものとなります」と、子どもとの接し方が非常に重要であると語ります。そのパセック氏と、共同執筆者のひとりであるデラウェア大学のロベルタ・ゴリンコフ氏に、NPRがインタビューを行っています。
親は子どもが何かしらのテストで優れた点数をとると子ども以上に喜んだりしますが、子どものテストの点数が良ければ将来成功したり偉大な人物になれたりするわけではありません。また、過去と現在を比べても、学校での教育スタイルに大きな変化はありません。こういった「現状の教育」について、「我々はコンピューターを訓練しているのと同じように子どもに教育を施している」とパセック氏。
人間はコンピューターとは異なり、より社会的であり、コミュニティを形成するものです。パセック氏によると、子どもの成功を祈る前に、「学校での成功」や「学校外での成功」など、子どもにとっての成功に対する定義を改める必要があるとのこと。そして、子どもの成功に必要なスキルとして、「collaboration(共同作業)」「communication(コミュニケーション)」「content(内容)」「critical thinking(批判的思考)」「creative innovation(クリエイティブなイノベーション)」「confidence(確信)」をという頭文字に「C」をもつ6つを挙げています。
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なお、これらのスキルで1番最初に重要になるのは「collaboration(共同作業)」です。これは他人と仲良くするところから始まり、そのために自身の衝動を抑えたり暴力を振るうことを我慢したりする、ということにつながります。このスキルをうまく習得できれば、子どもの周りには友達が集まります。つまり、子どもの周りに新しいコミュニティが形成され、自身にはない文化や多様性を体感できるようになるわけです。
その次に重要になるのが「communication(コミュニケーション)」です。なぜ共同作業の次にコミュニケーションが来るのかと言えばとても単純で、コミュニケーションをとるには周りに誰かがいる必要があるからです。コミュニケーションというスキルには話しのスキルや文章を書くスキル、読み取りスキルや聞くスキルなども含まれます。
そして、コミュニケーションが成り立つと、次に「content(内容)」が重要になります。言葉を理解したり、読み書きを学ばなければ学習自体ができないように、コミュニケーションがとればければ、その内容も重要になることはないというわけ。さらにその次に重要になるのが「critical thinking(批判的思考)」です。そもそもコミュニケーションに内容がなければ、問題を分析することもできないので、批判的思考は内容の次にきます。
その後、「creative innovation(クリエイティブなイノベーション)」が求められます。そして、そのためには何か知る必要があります。何か新しいアイデアなどを生み出すには、関連事項をよく知っておく必要があり、これには1万時間ルールのように多くの時間が必要になるだろうとのこと。
そして最後に「confidence(確信)」が求められます。これは、何か危険を冒す際に必要になるもので、例えば起業家や先進的な科学者など、挑戦することの重要性とそのために必要な「確信」を得る必要性を説いています。
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そして、こういったスキルを子どもが習得しようとしている場合、親や教師はどのように子どもとコミュニケーションをとればよいのでしょうか。例えば批判的思考を試みようとする子どもがいるとすれば、質問に簡単に答えることで子どもが批判的思考を身につけようとする妨げになってはいけません。よって、子どもがより質問をしてくるような、そんな返答こそ望まれるわけです。
なお、これらの考えのもととなっている書籍「Becoming Brilliant:What Science Tells Us About Raising Successful Children」はAmazon.co.jpで税込2209円で販売されていたのですが、記事作成時点では在庫切れとなっています。
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