取材

トラクターや建機、ボートに屋上のメダカなど多くの体験ができる「ヤンマーミュージアム」に行ってきました


農業用車両や建設用重機、小型船舶やエネルギーシステムなど幅広い製品を世に送り出しているヤンマーは、同社の歴史や技術をギュギュッとつめこんだ施設「ヤンマーミュージアム」を滋賀県長浜市で運営しています。今回はそんなミュージアムを訪れる機会があったのですが、実際に訪れてみると実にさまざまな展示物や体験ができる施設になっていたので、実際にどんな様子になっているのかまとめてみました。

ヤンマーミュージアム
https://www.yanmar.com/jp/museum/


ヤンマーミュージアムの所在地は、滋賀県長浜市三和町6-50。電車の場合はJR北陸本線「長浜駅」より徒歩約10分ほどで、土日祝日のみ無料シャトルバスが運行されています。(JR「長浜駅」(西口)⇔黒壁(お旅所)⇔ヤンマーミュージアム)また、自動車の場合は北陸自動車道「長浜IC」より車で約10分 という立地。


ヤンマーミュージアムに到着。ガラス張りの外観の建物は屋上と屋根の部分が緑化され、周囲は水をたたえた堀で囲われるという設計で、全体的に受ける印象はまさに「ミュージアム」そのもの。


入り口正面には、ヤンマーの創業者である山岡孫吉氏が残した言葉「美しき世界は 感謝乃(の)心から」が刻まれた石碑がお出迎え。


さらに、今や懐かしい「ヤン坊マー坊」が刻まれたオブジェも置かれています。


「ヤン坊マー坊 天気予報」で55年間にわたって親しまれたヤン坊とマー坊ですが、ヤンマーの方針により2014年3月31日をもってテレビから姿を消してしまいました。それ以来、同社のイメージとして登場することはほとんどなくなったのですが、ヤンマーの歴史が収められたヤンマーミュージアムには、やはり欠かせない存在となっている模様。


横に置かれたステンレス製のオブジェの上には、長浜市の名物の一つであるガラス細工で作られたオニヤンマ(トンボ)がのっています。これは、後述する同社の名前の由来ともなっているもの。


◆ヤンマーミュージアムに入館
建物に入るとまず圧倒されるのが、高さ3メートルはあろうかというディーゼルエンジン。このユニットはモーターで回転するようになっていますが、実際のエンジンは20馬力を回転数180rpm(!)で出力する性能を備えていたとのこと。


これは、昭和32年にドイツのMAN社から日独友好の証として当社に寄贈されたディーゼルエンジンのレプリカをシンボルとして展示しているもの。ディーゼルエンジンの小型化に功績を残した山岡孫吉氏の功績をたたえるために、ディーゼルエンジンを世界で初めて実用製品化に成功したMAN社から贈られたものだそうです。


◆さっそく展示室へ
多くの展示物が置かれているという展示室に入ってみます。なお、ミュージアムに入るには入館料として大人600円、中・小学生300円が必要ですが、後述するようにこの料金を支払う価値は十分にあると感じる人はきっと多いはず。


取材に訪れた時には、来場者30万人達成記念のスクラッチくじキャンペーンが開催されており、来館者にはオリジナルグッズや隣接するカフェの割引券などがあたるチャンス。


他の来館者と同じように、実際にくじを引いてみたところ……


なんと、上から2つめにあたる「ミュージアム賞」をラッキーにもゲット。オリジナルクリアファイルかマシュマロステッカー、ふせんのどれか一つをもらうことができたので、今回はクリアファイルをゲットしてしまいました。


ということで入館。まず見ることができるのが、幅13メートルという巨大なスクリーンをもつ「エンジンシアター」でみるディーゼルエンジンの映像コンテンツ。壁をぐるっと取り囲む超ワイドスクリーンで、まるでエンジンの中に入ったような映像を体験できるようになっていました。


そしてエンジンシアターの奥にメインの展示スペースが広がっています。これは場内を上から見た様子ですが、建物内には実際の車両や農業用車両、そしてプレジャーボートまでもが展示されており、実際に触れてみることも可能。


入ってすぐのスペースには、2台の古めかしい農業用機械が置かれていました。


農家の象徴ともいえる、手押しタイプの耕うん機。今やすっかり見られなくなった、手でハンドルを回してエンジンをかけるタイプの耕うん機を目にして、盛り上がってしまう大人も少なくないはず。


そしてヤンマーといえば「赤トラ」ということで、1960年代後半に生産されていたトラクター「YM273」。小林旭のCMソング「赤いトラクター」が人気を博したヤンマーのトラクターで、生産から50年は経とうという車体なのにピッカピカの状態。


そんなトラクターの最新型である、「YT5113」の実車も展示されています。睨みをきかせたフロントフェイスや大型化した車体、全面がガラスで覆われたコックピットなどはまさに最新鋭のトラクターといった感じ。


この車体には実際に乗り込んでみることもできるので、シートに座ってみました。


車内の様子はこんな感じ。非常に目線が高くて見晴らしがいいのと、周囲全面がほぼ全てガラスで覆われているので車体の見切りの良さが感じられるあたりはさすがにプロ用の乗り物といった感じでした。また、シートも「ふわっ」と沈むようになっていたり、空調やオーディオまで完備された運転席など、昔の「トラクター」のイメージとはまったく違う乗り物になっている様子はぜひ1度体験実際にしてほしいレベル。


コクピット体験は子どもでもOK。むしろ、このミュージアム全体は子どもでも楽しめるように考えられているとのことで、取材中も多くの子どもがやって来て、楽しそうな様子で機械に触れている様子が印象的でした。


車体は実際のものがそのまま置かれており、エンジンルームの中を見ることも可能。とにかく「リアル」なものに触れられる体験がコンセプトのミュージアムになっているのでした。


苗を田んぼに植える「田植え機」にのってみることも可能。撮影用に置かれている麦わら帽子をかぶるだけで雰囲気満点に。


ヤンマーのアグリウェア(農作業用の作業服)が用意されているので、ちょっとしたコスプレ体験もできるようです。


田植機で植えた苗を、秋の収穫時期に刈り取る「コンバイン」も展示。稲を1度に5列刈り取れる「5条刈り」と呼ばれる少し大きめの車体。


この機械は1台で刈り取り・脱穀・選別の3役が可能なタイプとなっており、内部の複雑さがとてつもないレベル。「一体どんな頭脳の人がこの仕組みを考えたのか」と、実車を目の当たりにすると驚くこと間違いなし。


冒頭で目にした手押し耕うん機も、最新型はこんなにコンパクトでスタイリッシュに。


ヤンマーは農業用の無人ヘリも開発しているとのことで、実機が展示されていました。


◆建機のコーナーでも体験が可能
農業用車両の次は、土を掘ったり運んだりする建機のコーナー。お出迎えするのは、なんともかわいらしいミニブルドーザー。


手押しタイプのブルドーザーですが、タイヤ代わりの大きな2つのクローラと、全面に取り付けられて土を押す「ブレード」の様子はまさにブルドーザーそのもの。


その横には、一風変わったショベルカーが置かれています。


この油圧ショベル「YB600C」の最大の特徴は、取り付け位置を左右にスライドさせることが可能なブーム(アーム)の機構。通常は車体中央に取り付けられることが多いブームを、現場の状況に応じて自由に調整できるようになっているというユニークな設計が取り入れられています。


この機構のおかげで、壁ギリギリのところにも簡単に溝を掘ることができるという大きなメリットがあるというわけです。


そんな油圧ショベルの最新版も置かれており、実際に座ってみることももちろん可能。


コーナー内には、油圧のパワーを体験できる装置も置かれています。手だけでは持ち上げるのに苦労する15kgの重りも、油圧ハンドルを回すことでいとも簡単に持ち上げられる様子を体験できます。


そんな油圧ショベルを実際に操縦できるコーナーも。


このように座ってバケットでカラフルなボールをすくい、隣へと移動させる体験ができます。


実際の操作は、ヤンマーのOBの方が教えてくれるので、初心者でも安心です。


街中の工事現場でよく見かけるバルーン型の投光器も、実はヤンマーの技術が使われているものとのこと。このタイプの投光器のうち、大部分はヤンマー製なのだとか。


建機に夢中になってしまいましたが、キリがないので次に進みます。続いてはヤンマーが製造しているプレジャーボートの実物が展示されているエリア。フィッシング向けに作られた全長11メートルのボートがそのまま置かれています。


反対側の階段から上にのぼると……


ボートに乗り込むことが可能。車いす用のリフトも備えられており、バリアフリー対策も考えられているので安心。


操縦席も、もちろん本物がそのまま使われていました。


フロントガラスにはシミュレーター画面が映されており、決められたコースを実際に操縦してみることが可能。タイムを競うミニレースになっているので、つい力が入ってしまいます。


実際にプレイしてみた様子はこんな感じ。意外と難しい内容で、プレイのしがいがありました。

「ヤンマーミュージアム」で体験できる全長11メートルのプレジャーボートを使った操縦シミュレーター


プレジャーボートの周りには、さまざまな技術の解説コーナー。


エンジンの金属ブロックを鋳造するための砂型の実物が置かれています。


ディーゼルエンジンの心臓部である、燃料噴射ノズルの実物も展示されています。ノズルの直径はわずか0.1ミリ程度とのことで、このように虫眼鏡を使わないと確認できないレベル。微細なドリルを回転させて0.1ミリ程度の微細な穴を開けて行くというのだから、高い技術力に驚かされます。


◆自分でプレスして缶バッジを作れるコーナーも
「ものづくり」の一環として、機械を操作してプレス加工を体験できるコーナーが用意されています。


ここでは、自分の手で缶バッジを作ることができます。このような金属素材をセットして……


ヤン坊とマー坊がデザインされたプレートなどをセット。


そしてレバーを何度かガチャンとすれば……


自作の缶バッジの完成と言うわけです。作った缶バッジは持って帰ることができるので、いい記念になりそう。


ハンドルを回して、さまざまなギヤを回転させる機械も。


ヤンマーの研修などで作る部品の展示。


旋盤を使って金属を削り出し、複数の部品を組みあわせるという、好きな人が見ると思わずテンションが上がってしまう作品も。


工場内の作業に求められる、柔軟な体の動きを確認するための装置が「ヤンマーワーカー」と呼ばれるもの。左下から右上へとロープを巻き付けるのにかかるタイムを計測するというものですが、これが予想以上に盛り上がります。


実際にタイムアタックしてみた様子は以下のムービーから。ロープを巻き付ける向きが決められているので、ミスしないように次の動きを考えながら巻き付けるのがポイントだそうです。

ロープを指示に従って巻き付ける「ヤンマーワーカー」でタイムアタック - YouTube


そして「プロ社員級」というタイムの9秒切りに成功。何度か繰り返すうちに徐々にタイムがアップするのは当然のことなのですが、ある「コツ」に気がつくと一気にタイムが短縮されたので、我こそはという人は腕試ししてみるのも面白そうです。なお、最速タイムはなんと4秒台後半で、しかもそのタイムをたたき出したのがヤンマーOBの80歳代前後の方というからさらに驚き。


展示が盛りだくさんなのでどんどん進みます。ヤンマーは船舶用のエンジンも製造しているとのことで、実物が置かれています。


このエンジンは、石巻で実際の漁船に使われていたもの。1964年に製造されたもので、東日本大震災の被害を受けるまで約50年にわたって使われ続けてきたものだそうです。


ヤンマーは「獲る漁業」から「育てる漁業」へのシフトにも関わっています。そんな様子を説明してくれたのは、ミュージアムの副館長である神藤さん。


ヤンマーでは牡蠣の養殖や、アサリを稚貝(赤ちゃん)から育てる取り組みを進めているとのこと。


肉眼では確認が難しいほどの稚貝から、徐々に大きな貝へと成長する様子が紹介されていました。


また、ヤンマーのエンジンは、漁業や輸送船だけではなく、ヨットなどのマリンレジャーの分野でも使われています。


◆自分でエネルギーづくりを体験できるコーナー
ヤンマーの技術は、エネルギーづくりの分野にも活かされています。


その一つが、エンジンを使った発電の分野とのこと。まずは、発電することがどれほど大変かということを知るために発電機を回してみるのですが……


これが本当に大変。目標の「30W」をたたき出すべく、ヤンマーの広報さんも渾身のアタック。見事に30W超えに成功されていましたが、同じく発電体験をしたGIGAZINE編集部員は二の腕が完全に終わってしまうという状態に。腕に自信のある人はぜひ挑戦してみてください。


冷暖房の仕組みを体験できるコーナーも用意されています。自転車のペダルを回すことでエアコンのコンプレッサーを回し、自分の力で熱移動を体験することができます。


自転車のペダルを回すと右ハンドルが冷却されるのですが、逆に左ハンドルがほんのりと温かくなります。これは、「熱移動」を用いて冷却を行うエアコンの仕組みを分かりやすく示したもの。やはりここでも十分な冷却を行うためにはかなりの体力が必要になるので、エアコンがいかに大きな力を消費しているのかがよくわかるようになっていました。


◆建機シミュレーターを実際に操縦してみることも可能
1階部分の最後では、日本に1台しかないというヤンマーの建機シミュレーターを実際に体験してみることが可能。油圧ショベルの運転席を再現した装置の下には同じく油圧で装置全体を揺れ動かせるシリンダーなどが内蔵されており、操縦時の揺れや車体の傾きをリアルに再現できるようになっています。


実際に体験してみたムービーはこんな感じ。映像からも激しい動きが分かりますが、実際に操縦してみるとその臨場感に驚かされます。特に、後半では特別にワザと車体を倒してみているのですが、横転するときには思わず「うわ!」と声が出てしまうほどのリアル感を味わうことができました。

日本に1台しかないヤンマーミュージアムの建機シミュレーターを操縦してみた - YouTube


◆ヤンマーミュージアム2階へ
1階を見て回っただけでもおなかいっぱいなりそうなヤンマーミュージアムですが、2階部分でも重要な展示がおこなわれています。

2階に上がったところには、各種ワークショップや料理教室などを行うセミナールーム。


ここで、缶を使った「ポンポン船」を作るワークショップなどが行われています。


エンジンの仕組みを知るための、木製の道具も置かれています。この道具は、ヤンマーOBの人が実際のエンジンをもとに手作りで作り上げたものなのだとか。


2階部分は回廊になっており、これまでのヤンマーの主なエンジンが展示されています。この3つはヤンマー黎明期から続いてきた横型ディーゼルエンジンの数々。


その後、求められる性能に応じてディーゼルエンジンの設計は多くの変化を続けてきました。


最初はシンプルな「機械」だったディーゼルエンジンも、進化に伴って複雑化・高性能化が進みます。


現在の主流となるコモンレール型ディーゼルエンジンは、電子制御を行うことで緻密な燃焼管理が実現されており、さらには排気ガスに含まれるススなどの粒子状物質(PM)を回収するDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)と呼ばれる装置を搭載。昨今のディーゼルエンジンは排気ガスのクリーンさが向上しているわけですが、それをこのような装置が支えているというわけです。


そしてこのコーナーで驚かされたのがこのエンジン。小型のエンジンケースに収められた三角形のローター、ということで、これはなんとヤンマーが開発していたロータリーエンジン。


なんとヤンマーでは、ロータリーエンジンを搭載したチェーンソーを販売していた時期があったとのこと。ヤンマーは自動車メーカーのマツダと同じようにドイツ・ヴァンケル社からロータリーエンジンのライセンス供与を受け、ロータリーエンジンを開発していたことがあったのですが、ヤンマーらしさを感じさせるのがその目的と使い道。昔のチェーンソーは振動がひどく、作業員に白蝋病(振動障害)と呼ばれる障害を引き起こすことが少なからずあったのですが、これを解消すべく低振動のロータリーエンジンを採用するというのがヤンマーの狙いだったそうです。


ロータリーエンジンは、船舶用の船外機としても用いられていたようです。


そしてこの巨大なエンジン用ピストンは、船舶用エンジンに用いられるもの。直径33cmという大きさで、隣に置かれている一般的なピストンと比べるとその巨大さがよく分かるはず。


ちなみに、iPhone 6と並べてみるとこんな感じでした。重量は10数kgとのこと。


このピストンを使っているのが、船舶に搭載されるエンジン。この模型は6分の1サイズのミニチュアですが、白線で書かれた人の大きさと比べるとその巨大さが感じられます。特にピストンは、人の頭ほどの大きさがあるというところに驚きです。


◆琵琶湖の生態系が屋上テラスで再現されている「ビオトープ」
2階の展示を見終えて屋上の「ヤンマーテラス」に出ると、なんとそこには土の地面と水が張られた小池が広がっていました。このエリアは琵琶湖固有の動植物を観察でき、自然のままに成長するビオトープ(生物生息空間)として作られています。


取材に訪れた日には、琵琶湖らしさを感じさせる「チガヤ」が穂を出し始めていました。


水の中には野生のクロメダカが放たれているほか、ゴロブナなどの魚が入れられているとのこと。特にメダカは繁殖を繰り返しており、もう何匹棲んでいるのかもう把握しきれない状態にまで進んでいるそうです。


このスペースでは、近隣の子どもたちを招いたビオトープの観察会が行わたり、天気の良い日には芝生でお弁当を食べたりできるとのこと。


屋上スペースは展望台にもなっており、すぐ近くにある琵琶湖や伊吹山を見ることができます。


◆エネルギーづくりの排熱を利用した足湯も
ビオトープの横では、ウッドデッキの中にお湯がはられた「足湯」を楽しむことも可能。


このお湯は、建物で使う電力を発電する際に生まれる熱を利用する「コージェネレーション」で温められたもの。湯温は41度という絶妙な温度に設定されています。


2階の窓の外に置かれたコージェネレーション装置。この装置で、建物で使われる電力の一部を発電するほか、必要なお湯などが作られているというわけです。


ヤンマーミュージアムでは、太陽光発電とコージェネレーションシステムを組み合わせることで、CO2の削減を進めているとのこと。2016年1月1日から取材日までに削減されたCO2は約12トンで、杉の木に換算すると約850本に相当するそうです。


◆1階の展示スペースにもいろいろ
ぐるっとミュージアムを見て回った後は、1階の展示スペースなどを見てみます。ヤンマーは大阪・堺市をホームタウンとするプロサッカークラブ「セレッソ大阪」のメインスポンサー。というよりも、旧ヤンマーディーゼルのサッカー部を母体としたのがセレッソ大阪というべきかも。館内にはユニフォームなどが展示されています。


そして、ヤン坊マー坊天気予報の移り変わりをまとめたパネルも展示中。


初代のヤン坊マー坊は白黒で、ずいぶんスラリとした体形だった模様。


ケース内には、50年以上にわたってヤン坊マー坊を描き続けてきた中邨靖夫氏の手書きパネルが飾られています。中邨氏もまだご健在とのことで「もう少し頑張りま~す」と力強いひとこと。


◆展示室に隣接されている「山岡孫吉記念室」
これまで見てきた展示室の前には、ヤンマー創業者である山岡孫吉氏の足跡をたどった記念室がつくられています。こちらは無料で公開されているので、誰でも入ってみることが可能。


入り口には、先述した山岡氏の書が飾られ……


ディーゼルエンジンの発明者であるルドルフ・ディーゼル博士と山岡氏のつながりを解説するパネルが展示されていました。山岡氏は、ドイツで開かれた展示会でディーゼル博士が発明したディーゼルエンジンに目を奪われ、重労働を強いられる農家の苦労を助けるために小型ディーゼルエンジンの実用化に尽力したという歴史が残されています。


そんな山岡氏が完成させた、世界初の小型ディーゼルエンジンが「HB型」と命名されたこのエンジン。ピストンが横置きにされた水冷ディーセルエンジンで、出力は5~6馬力、回転数は550~650rpmというもの。


このエンジンは、平成20年度の近代化産業遺産としても認定されているものとのこと。多くの人々の暮らしや仕事がこのエンジンで楽になったものと想像されます。


山岡氏の銅像。山岡氏は現在の長浜市に生まれたという人物ということもあるため、地元活性化の狙いをこめてこの地にヤンマーの工場やミュージアムが多く作られるようになったそうです。


山岡氏の生涯を記した年表も展示。


18歳で奉公に出た山岡氏は、19歳で独立して起業。その後、30歳の時に農業用石油エンジンメーカーとして「ヤンマー」を創業したとのこと。このとき、豊作の象徴としてのトンボから、トンボの王様である「オニヤンマ」をもとに「ヤンマー」という社名が付けられたそうです。


◆建物内のカフェでゆっくり
ミュージアム内には、ひと息つけるカフェスペースやおみやげコーナーが設けられています。カフェは大きなガラス面から光が差し込む明るい店内になっていました。


軽食も用意されているので、展示室を堪能した後にゆっくり休憩するのも良さげ。


おみやげコーナーには、ここでしか手に入らないヤン坊マー坊のオリジナルグッズや……


同じくここでしか買えない、ヤンマーのコンセプトトラクター「YT01」のモデルカーも販売されています。この車両は元フェラーリやアウディのデザイナーを歴任し、現在はヤンマーの社外取締役としてデザイン監修にあたっているデザイナーの奥山清行氏によってデザインされたもので、実はこのミュージアムのデザインも奥山氏によるものなのだとか。


一回り小さなYT01のミニカーも販売されています。こちらもこのミュージアム限定販売品。


おみやげコーナーには地元とのつながりを示す地元特産品も並べられています。


ガラス細工なども置かれていました。


涼しげなガラス風鈴に絵付けをする体験も楽しめるようになっていました。


もちろんセレッソ大阪のユニフォームなども。


自販機もセレッソ色。


ちょっと面白そうだったのが、一袋100円という「ヤンマーせんべい」。


中にはヤンマーの焼き印が押されたいい感じのせんべいが入っていました。ミュージアムのおみやげにもよさげ。


ヤン坊マー坊の金太郎アメのようなものもいい味出しています。


こんな様子で、ヤンマーミュージアムは農業用機械や技術に興味がある人はもちろん、そうでない人でも十分に楽しめそうなミュージアムとなっていました。事実、数時間を予定していた取材が倍以上の時間をかけてしまう事態となってしまい、まだまだいろいろ見てみたいものや触ってみたいものが残っていたほど。近くを訪れる予定があるときはもちろん、ヤンマーミュージアムを訪れるために長浜を訪れ、来訪後は長浜の街並みを歩いてみたりするという観光ルートもなかなか良さげかもしれません。

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by darkhorse_log

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