取材

価格2650万円の最新鋭フィッシングクルーザー「ヤンマーEX34」正式発表前に一足先に乗ってきました


2018年3月8日から3月11日にかけて開催されるジャパンインターナショナルボートショー2018ヤンマーが、「次世代フィッシングクルーザー」をコンセプトに新構造を取り入れた船体や、新たに電子制御を取り入れたコモンレール型ディーゼルターボエンジンを搭載した新型艇「EX34」を発表します。国内では3月8日が初お披露目なのですが、一足早く新艇に触れて乗ってみる機会があったので、標準価格が2650万円というボートがどんなものなのか、実際に見て乗ってきました。

「ジャパンインターナショナルボートショー2018」ヤンマーブースのご紹介|2018年|ニュース|ヤンマー
https://www.yanmar.com/jp/news/2018/03/01/39265.html

訪れたのは、大分県にある「ヤンマー造船株式会社」。ヤンマーが生産している船舶のすべてを生産している工場です。


新艇「EX34」は工場に隣接したマリーナで取材陣を待ち構えていました。通常のキャビンの上に設けられた「フライングブリッジ」と呼ばれる操船席が目を引きます。


EX34は全長10.63m、全幅3.30m、全深1.9mという船体を持つ「フィッシングクルーザー」で、船の肩のラインの高さが前後で変化する「ブロークンシアー」などシャープなデザインが特徴的。沿海でフィッシングを楽しむために適したプレジャーボートで、総トン数は5トンを超え、最大で12人が乗り込んでフィッシングのほか、クルージングを楽しむことができるようにラグジュアリー性を高める装備が投入されています。


後方から見るとこんな感じ。フライングブリッジにはハシゴを伝って登るようになっており、後述しますがこの上からの眺めはとても爽快でした。また、船尾部分には、船体からせり出すような形で「トランサムステップ」と呼ばれる足場と「トランサムゲート」と呼ばれるドアを装備することで、大物を釣り上げる本格的なトローリングにも対応が可能。


フライングブリッジを見上げたところ。EX34では新型のフライングブリッジが投入されており、船体のイメージにも負けないインパクトと、ボリューミーなサイドのフォルムが特徴とのこと。船体に溶け込むシャープなデザインで、まさに「クルーザー」というイメージにピッタリ。なお、今回試乗した船は試作艇となっており、「ほぼ製品版」ですが、細かいデザインの部分に変更点があるそうです。


キャビン後方には大きなスライド式のドアが設けられ、キャビンへの出入りは楽チン。クルージング中でもドアを閉めておけば、波しぶきが入ってくることはありません。また、広いデッキ部「アフトデッキ」には、真水で手洗いができる「アフトシンク」や、フィッシング用の「スパンカー」や「ファイティングチェア」などさまざまな釣り擬装に対応できるレイアウトとなっています。


フライングブリッジに登ってみました。白が基調のカラーリングになっており、青空とのコントラストがバッチリ。このまま遠い島までにクルージングに出かけてしまいたい……そんな気持ちになってしまった瞬間。


操船席には、肘掛け付きのクッションの良いシートが使われています。


ドライバーズシートに座ってみると、とてもよい眺めが楽しめます。この高さは、見晴らしの良さはもちろん、フィッシングの際により良く釣れるポイントをいち早く見つけるためのものでもあるとのこと。


右手部分にはスロットルレバーがあり……


ハンドルの右横には、エンジンの制御系機器や、船体を左右に平行移動させるための「スラスター」を操作するためのレバーが配置されています。


ハンドルの左にはワイパースイッチとウォッシャー液のスイッチ。船体の傾き(ピッチ/ロール)を制御して乗り心地と燃費を改善するためのダイナミックトリムコントロールシステム「Zipwake」のコントローラーが取り付けられていましたが、市販モデルではマニュアルタイプのトリムコントロールが採用されるそうです。


地味にうれしい、カップホルダーも装備されています。


実際にEX34に乗ってみた様子は以下のムービーから。よく晴れた日の海での快走は非常に爽快でした。

2650万円のフィッシングクルーザー「ヤンマーEX34(試作艇)」に乗ってきた - YouTube


フライングブリッジを堪能してから、次はキャビンの中へ。定員6人というキャビンはゆったりとした空間になっており、肘掛け付きのシートや、複数のシートアレンジが可能なベンチシートなど快適性も高められているとのこと。キャビンの室内寸法は幅1870mm×奥行2700mm×高さ1830mm。


メインのドライバーズシートとナビゲーターシートは、シャフトにダンパー機能を内蔵して乗り心地を向上。肘掛け付きで素材の手ざわりも滑らかなシートはやわらかな座り心地でした。


目前には、こんな感じのゴツいハンドルが鎮座。


立体感のあるデザインになっています。


EX34からはエンジンが電子制御化されたので、メーター周りのアレンジ性が高まったとのこと。アナログ式のエンジン回転計や油圧計、ブースト計に加え、液晶ディスプレイのマルチインフォメーションディスプレイなどが装備されています。


こちらは水温計や燃料計など。


シート右横には、スロットルレバーやスラスターレバーなどが配置されていました。


レバー類の下には、船内の電気周りをコントロールする電源パネル。エンジンに接続された主機前駆動方式の充電器(2.5kW)とDC-ACインバーター(3kW)を標準装備することで、インバーターエアコンと船内のAC100V電源に電力を供給。また、マリーナに接岸して時間を過ごす「マリーナステイ」の時に、陸から電力を供給する「陸電」を受け取れる装置もオプションで搭載可能で、ステイ時にエンジンを停止して快適に過ごすことが可能になるとのこと。


ドライバーズシート前方には、何やら通路のようなものがあり……


その奥にある「ハル」スペースには、数人がくつろげるソファーが置かれていました。居住性を良くするために、このハルスペースにはほかとは違う質感を持つ内装材を使っているとのこと。


ハルスペースの頭上にある採光窓から光を取り入れ、数人でくつろぐことができそう。小ぶりなテーブルも置かれ、気分はちょっとしたクルーズ船です。


バウバースにもエアコンの風が送られるので、奥まったスペースですが居心地は良さそう。目前にあるドアを開けるとそこには……


個室トイレ。電動式のマリントイレとシンク、ルームライトが装備されており、女性にも配慮したゆとりの空間を実現しているとのこと。


トイレにも採光窓があり、船の外の景色を眺めながら一息付くことができそうです。なお、トイレの室内高は1700mmだそうです。


今度は、キャビンの横を通って船の前方にある「バウデッキ」へ。


船首部分のバウデッキは、フィッシング時のメインの舞台。そのための改良が加えられているとのこと。


金属製の手すり「パルピット」を高さ630mm→860mmへと大型化し、バウデッキは足をかけるステップ面を小さくすることでキャスティングスペースが広げられています。


バウデッキに立ち、クルッと振り返って眺めるキャビン。


バウバースに光を取り入れる採光窓。


船首部分のバウデッキと船尾部のアフトデッキには大小さまざまな収納スペースや、釣った魚を入れて持ち帰るための「いけす」が設けられています。


ヤンマーの人の操船で海に出てみると、この種の船がほぼ初体験だった編集部員が「マジか」と思ってしまうほど強力な加速力に驚かされました。搭載されている排気量5813ccのコモンレール式電子制御ディーゼルターボエンジン「6LY440J」は日本初搭載のタイプで、最大出力は324kW(440ps)。このエンジンを、エンジン防振支持とキャビン床防音構造を介してマウントすることで、低振動と低騒音を実現しているとのこと。


そのエンジンの力を推進力に変えるプロペラにも新しい技術が取り入れられているとのこと。当日は、なんと大型クレーンを使って船を持ち上げるという珍しい光景を見ることができました。このように、大きな枠の中にEX34が入ると……


2本のベルトを使ってクレーンが船を底からそのままリフトアップ。普段あまり見ることがない光景を目にして、ビックリの連続でした。


そのままウイーンと陸の上へ。ボートの船底をこの角度から見られる機会はなかなかありません。


凹凸のある「ハル」部は新構造となっており、波切りを良くして抵抗を軽減するための「アウターチャイン」が設けられています。また、EX34の特徴の一つがこのハル部の工法にあります。船体はガラス繊維を樹脂で固めた「FRP」が用いられていますが、ハル部を製造する際には加工部を真空にして部材の密度を上げて強度を高める「バキューム・インフュージョン工法」が採用されているとのこと。


試しにその部分を指で「コンコン」としてみると、FRPなのに「鉄か!?」と思うほどの手応え。強度が上がったことと、船が水に沈む長さ「水潜長」が長くなったことで、EX34は1クラス上の乗り心地と安定性を実現しているそうです。


船尾部分のプロペラにも近づいてみました。


プロペラは、翼端が90度ほどに折り曲げられた新形状の「エンドプレートプロペラ」が用いられており、振動減と加速力アップを実現しているとのこと。それにしても、直径が60cmほどのプロペラがあれほどの加速力を生むのか……と思うと、改めてその性能に驚かされます。


プロペラの上には、船体を左右に移動させるためのオプション装備「スラスター」が横向きに取り付けられています。ちなみに、手前のボルトで取り付けられている金属は亜鉛の延べ板。水中で発生する静電気をこの亜鉛でどんどんと受け取ることで、プロペラやシャフトなどの金属部品が帯電して腐食してしまうことを防いでいます。


こんな感じに、予想を超えて高級感すら感じたEX34は、標準本体価格が2650万円。さらに今回試乗させてもらった船は「ほぼフルオプション」の状態とのことで、価格は4000万円に近づくレベルの模様。なかなか自分で手に入れることは容易ではなさそうですが、ものすごい勢いで波を切って進む船に乗っているとなぜか心の中にランボルギーニに試乗した時と同じような「この船がある生活を目指して頑張るのも、きっといいものなんだろうな……」という思いがジワジワとわき上がってくる、そんな魅力がある乗りものでした。


EX34は2018年3月8日から3月11日にかけて開催される「ジャパンインターナショナルボートショー2018」でも展示されているので、普段の日常とは少し違う世界をのぞいてみるのもいいかもしれません。

ジャパンインターナショナルボートショー2018公式サイト
http://www.marine-jbia.or.jp/boatshow2018/

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