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プリキュアのキャラデザ担当者による特別セミナー&ライブドローイングが大阪成蹊大学で実施されたので見てきたよレポート


バンダイナムコピクチャーズ所属の作画監督・キャラクターデザイナーとして活躍する高橋晃さんによるキャラクターデザインの特別セミナーが2025年10月17日に大阪成蹊大学で実施されました。セミナーでは高橋さんが過去に携わった東映アニメーションの作品『スター☆トゥインクルプリキュア』の制作秘話が語られたほか、匠の技をリアルタイムで見られるライブドローイングも実施されました。

特別セミナーは大阪成蹊大学のグローバル館で実施されました。


教室の内部はこんな感じ。大型スクリーンが3個並んだ大きな部屋で、大阪成蹊大学の学生や大阪成蹊女子高等学校の生徒で席が埋まっていました。


特別セミナーのタイトルは「キャラクターデザインの方法論~『スター☆トゥインクルプリキュア』をテーマに」というもの。


講師の高橋晃さん。高橋さんは現在はバンダイナムコピクチャーズ制作部クリエイティブルームのシニアエキスパートを務めており、BN Pictures作品『アイカツ!シリーズ』『ロックは淑女の嗜みでして』などの作画監督や後進育成などを担っています。過去には『スイートプリキュア♪』『ドキドキ!プリキュア』『スター☆トゥインクルプリキュア』のキャラクターデザインも担当していました。


聞き手としてバンダイナムコピクチャーズ制作部のゼネラルマネージャーを務める伊藤貴憲さんも参加。伊藤さんは『アイカツ!シリーズ』や『フラ・フラダンス』といった作品のプロデューサーを務めた人物です。


セミナーでは、まず高橋さんがアニメーターを志した切っ掛けが語られました。高橋さんは小さい頃から絵を描くことを得意としており、「得意なことで食べていきたい」という考えから高校3年生のときにアニメーターになることを決めたとのこと。その後、東京デザイナー学院を卒業後にサンライズ制作作品を中心に原画や作画監督を担当してきました。作画監督を初めて務めた作品は1996年放送の『超者ライディーン』で、その後、2009年放送の『怪談レストラン』で初めてキャラクターデザインを担当したそうです。「アニメーターになりたいと思っている人はどれくらいいるかな?」という質問には多くの受講生が手を挙げていました。


そしてセミナーは『スター☆トゥインクルプリキュア』のキャラクターデザインに関する話題に移りました。「『スター☆トゥインクルプリキュア』を視聴していた人はどれくらいるか?」という質問にも多くの受講生が手を挙げていました。


『スター☆トゥインクルプリキュア』のキャラクターデザインを決める際には複数の案を持ち寄ったオーディションが行われたとのこと。以下は高橋さんが持ち込んだキュアミルキーとキュアスターのデザイン第1稿です。「宇宙をテーマにした作品」「初期メンバー4人は春夏秋冬をモチーフにしている」といった情報をもとにキュアミルキーは夏、キュアスターは春をモチーフにデザインされました。


第2稿では監督の意向で全体的にシンプルなデザインにブラッシュアップ。そして第3稿では監督のアイデアでアシンメトリーなタイツが取り入れられました。


最終的に完成したキュアスターのデザインが以下。高橋さんいわく「よくできている」とのこと。


キュアミルキーはこんな感じ。実は「肩を出すデザイン」という裏テーマがあったそうで、キュアスター、キュアミルキー、キュアソレイユ、キュアコスモといった主要キャラの多くが肩を出したデザインになっています。


高橋さんは『小説 ドキドキ!プリキュア』の表紙イラストも描いています。表紙には6人ものキャラクターが含まれていますが、ゴチャゴチャすることなく躍動感のある構図になっているのが特徴的。表紙イラストを描く際は「メインとなるキャラクターを中心に配置する」「主人公や小説ストーリーで重要になるキャラクターを手前に配置する」「立体感を出すために脚や武器を斜めに描く」といったように各キャラクターの配置やポーズを決めていったそうです。


高橋さんはキャラクターデザインという仕事に必要な要素として「知識の引き出しを増やすこと」を挙げています。高橋さんは気になる物事についてはすぐに調べるようにしているほか、やりことは何でも実践しているとのこと。自転車や釣り、フットサルなど多くの趣味を持っており、「キャラクターを作る引き出しを増やすために、何にでも挑戦する」ということを心掛けているそうです。伊藤さんも「『アイカツ!』の制作チームの机にはファッション誌が積み上がっている」とコメントして知識を蓄えることの重要性を強調していました。


特別セミナーの後半には高橋さんによるライブドローイングが実施されました。バンダイナムコピクチャーズではアニメ制作にワコムの機材と使っているということで、ライブドローイングでもワコムの液晶ペンタブレット「Wacom Cintiq 16」を使っていました。


CLIP STUDIO PAINT EXを使用したライブドローイングの様子を動画で記録してみました。「普段と違うアプリだから操作に戸惑っている」とのことでしたが、白紙の状態からみるみるうちにキュアミルキーとキュアスターが描かれていきました。

『スター☆トゥインクルプリキュア』のキャラクターデザインを担当した高橋晃さんによるライブドローイング - YouTube


30分弱で完成したイラストが以下。受講生たちにも撮影許可が出たため、大学生も高校生もスマートフォンやタブレットを取り出してイラストが描かれていく様子を撮影していました。


特別セミナーの後にはポートフォリオ添削会が実施され、アニメータースタッフの採用官も務めている高橋さんが学生のポートフォリオを丁寧に添削していました。高橋さんの隣に座ってアドバイスを聞きつつポートフォリオに直接赤入れしてもらえるという非常に贅沢な添削会でした。


また、特別セミナーと別の部屋ではアニメやイラスト関連の仕事を志す学生たちに向けてワコムの液晶ペンタブレット試用会も実施されていました。

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in 教育,   動画,   取材,   アニメ,   創作, Posted by log1o_hf

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