サイエンス

ウイルスから体を守る「免疫系」を強く保つには自分の「感情」を気に掛けるべき


免疫系はウイルスから体を守る機能で、十分に睡眠をとることや、健康的な食生活によってその機能が高まると考えられています。この他、近年は「感情が免疫系に影響する」という考えから研究が進んでおり、自分の感情を気にかけることの重要性を、研究者が説いています。

Want to strengthen your immune system? Consider your feelings
https://www.inverse.com/mind-body/why-emotions-affect-the-immune-system

免疫系はウイルスやがん細胞など人体に有害なものを認識して排除し、体を守る機能を持ちます。精神神経免疫学と呼ばれる分野では脳・内分泌系・免疫系がどのように相互作用し、それが健康にどのように影響するかが調べられますが、その中でも、ポジティブあるいはネガティブな「気分」の免疫機能・病気・死亡率への影響は、近年注目されるところ。具体的には、慢性的な家族間のストレスが少年少女の炎症反応の高さと関連していたという研究結果や、HIV陽性の男性がポジティブな感情を持つ訓練を受けたところ血中のHIVが減少したという研究結果などで、感情が免疫系に与える影響の可能性が示されています。

ローハンプトン・ロンドン大学で感情と免疫系の関係性を研究する免疫学者のファルビオ・ダッキスト氏はより専門的な「情動免疫学」の確立を呼びかけています。ダッキスト氏によると、慢性的ではなく一時的な感情であっても、体に影響を与えるとのこと。「人が何か感情を抱いた時、体はそれを受け入れ、感情に合わせようとします。このため、人が笑うと、免疫細胞や血液およびそれらの機能に変化が生じます。これは泣いた時や怒った時も同様です」「私たちが生活し、感情を抱くと、免疫系は鏡のようにそれに反応します」とダッキスト氏は述べています。


一時的な感情であっても、それが1日あるいは1週間にわたって蓄積すると、日常的な免疫反応が変化します。ダッキスト氏は典型的な例として、「大きなテストやプロジェクトにあたっている時、ストレスのポジティブな側面として修羅場では健康体が維持できるものの、ネガティブな側面としてテストやプロジェクトの後に体調を崩す」ことを挙げています。

研究段階ではあるものの、近年は心理療法と薬理療法とを組み合わせることで免疫疾患を治療できる可能性が示されており、情動免疫学の考え方は、この治療法にも合致するものとなっています。心理療法士でもあるダッキスト氏は、精神的なウェルビーイングと免疫系の関係は、科学的に明らかではないことが多く残っているとして、新しい研究分野に大きな可能性を見いだしているとのこと。

実際にダッキスト氏は研究を進めている最中であり、マウス実験で感情が遺伝子に影響を及ぼし、それが最終的に免疫系に変化を与えることが示されているそうです。一方で、科学的に明らかにすべきことは多くあるものの、ダッキスト氏は包括的なアプローチを推進しておらず、各々がそれぞれのやり方でウェルビーイングへいたる道を見つけるべきだと考えています。

「全ての人が自分にとって何が最善かを理解し、その方法に取り組むべきであり、『万人向けの1つの方法』は捨てるべきです」「山が好きな人がいれば海辺が好きな人もいます。何が自分の気分をよくするのかを、独特かつ個人最適化した方法で調べなければなりません」とダッキスト氏は述べました。

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in サイエンス, Posted by logq_fa

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