史上最悪の原油流出事故を映画化した「バーニング・オーシャン」予告編
2010年にメキシコ湾の沖合で作業中だったイギリスの石油会社・BPの石油プラットフォームの「Deepwater Horizon(ディープウォーター・ホライズン)」で爆発事故が発生し、大量の原油がメキシコ湾に流出した事故が「2010年メキシコ湾原油流出事故」です。史上最悪の原油流出事故になった同事故では、ディープウォーター・ホライズンで作業中だった11人の作業員が死亡しましたが、約110人の作業員は無事に脱出し一命をとりとめました。そんな被害を最小限に抑えるため事故現場で奮闘した作業員にスポットを当てた映画「ディープウォーター・ホライズン(原題)」、日本では「バーニング・オーシャン」の予告編が公開されています。
Deepwater Horizon (2016) Official Movie Trailer – ‘Heroes’ - YouTube
愛する妻。
そして娘。
幸せな家庭を築いているのが主人公のマイク・ウィリアムスです。
石油プラットフォームに向かう1機のヘリコプター。
そのヘリコプターの中にマイクは乗っていました。
マイクはメキシコ湾の沖合にあるディープウォーター・ホライズンで現場監督をまかされています。
石油プラットフォームからは長さ1500mの掘削パイプが海底へと伸びています。
ディープウォーター・ホライズンでは126人の作業員が働いていたとのこと。
危険が伴う掘削現場では作業員が毎日懸命に作業を行っていました。
メキシコ湾にあるディープウォーター・ホライズンはアメリカから離れており、マイクはSkypeで家族と連絡を取り合っています。
「これは恐竜の歯の化石だよ」と娘に頼まれていた恐竜の化石を見せるマイク。
マイクが家族と電話しているとき、掘削現場では異変が起こっていました。
妙な音に気づいた作業員。
ふと目をやると、泥水のようなものがしみ出していました。
「なんてこった……」
ドリルパイプの圧力を示すメーターがグングン上昇。
警報音が鳴り響き何事が起こった模様。
パイプからも泥があふれ出していました。
「避難しろ!!」
次の瞬間、フタが吹き飛び原油交じりの泥が噴出。
あふれ出す原油になすすべもない作業員。
現場のあちこちで原油が噴き出して、作業員は吹っ飛ばされてしまいます。
奥さんと話していたマイクはけげんな表情を浮かべるものの、この時点で何が起こったかに気づいてない様子。
しかし、現場は原油が飛び散りパニック状態。
「今すぐ脱出しろ!」というかけ声むなしく、大量の原油があたりを包みます。
マイクは「後でかけ直す」と奥さんに言い残して異変を調べにいきました。
心配そうな表情の奥さん。
ディープウォーター・ホライズンは大爆発を起こし炎上。
マイクは1人で生存者を探しています。
生存者を1人発見するものの、他の作業員は見当たりません。しかも施設の内部は停電で真っ暗な状態です。
マイクが生存者を探している間も、燃え続けるディープウォーター・ホライズン。
爆発事故はテレビのニュースでライブ中継されていました。
マイクは他の作業員と共に、被害を最小限に抑えるべく行動。
しかし、爆発と炎上は止まりません。
燃えさかるヘリポートを走り……
海に向かってダイブ。マイクら作業員は無事生き残ることができたのでしょうか。
映画「ディープウォーター・ホライズン」は2016年9月30日からアメリカで公開予定です。
なお、映画「ディープウォーター・ホライズン」は、490万バレル(78万リットル)以上の原油が流出し沿岸約1500kmにわたる広範囲の被害につながった爆発事故の生存者21名にインタビューし、94人の生存者から証言を得て書かれたThe New York Timesの「Deepwater Horizon’s Final Hours」という記事がベースとなっています。
Deepwater Horizon’s Final Hours - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2010/12/26/us/26spill.html
記事によると、爆発事故が起こった後、施設の防災システムは正常に動作せず、作業員たちは伝達手段がなくコミュニケーションがほとんどとれないという状況にあったそうです。ディープウォーター・ホライズンを管理していた掘削請負会社のTransoceanは「作業員たちは、そのときに得られる情報でできる最大限適切な行動をした」と守る姿勢を見せ、「世界で最高レベルの作業員が事態を収束させようと最後まで戦い抜いてくれた」と述べました。
The New York Timesの記事では、地獄のような環境で勇敢な行動で助け合って生き延びた作業員の実体験が語られており、映画の公開前に見ておくと良さそう。ただし、ネタバレになる可能性もあるので、映画鑑賞まで作品の内容を知りたくない人は注意してください。
なお、事故から4年が経過した2014年4月に全ての汚染浄化作業が完了。さらにその1年後の2015年7月に、BPが約2兆3000億円でアメリカ政府やアラバマ州、フロリダ州、ルイジアナ州といった400を超える自治体と和解しました。しかし、1989年に起こったエクソンバルディーズ号原油流出事故では、事故発生から25年経過した2014年にも原油流出による環境への影響が報告されており、メキシコ湾原油流出事故による環境への影響は浄化作業が完了したといってもまだ継続中の状態です。
2017/03/10追記
記事タイトルと序文を日本での公開タイトルに変更しました。また、予告編の日本語字幕版は以下のような感じです。
映画『バーニング・オーシャン』本予告編 - YouTube
日本語公式サイトは以下になります。
映画『バーニング・オーシャン』公式サイト
http://burningocean.jp/
・関連記事
メキシコ湾の原油流出を食い止めるため、人の髪の毛を使った奇策が登場 - GIGAZINE
メキシコ湾の原油流出を食い止めるため、人の髪の毛を使った奇策が登場 - GIGAZINE
メキシコ湾原油流出事故で使用された大量のオイルフェンスをゼネラルモーターズが再利用 - GIGAZINE
水と油は混ざらない、メキシコ湾の原油でプリントされたメッセージ性の強いポスター - GIGAZINE
メキシコ湾原油流出事故によりBPが失った9兆円でいったい何ができるのか分かる画像 - GIGAZINE
・関連コンテンツ