メキシコ湾の原油流出を食い止めるため、人の髪の毛を使った奇策が登場
2010年4月30日、メキシコ湾でイギリスの大手石油会社BPが操業する石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン」の水没により大規模な原油流出事故が発生、現在も様々な対策が講じられています。
しかしながら、巨大な容器を水没させて流出を防ぐ試みが、低温の海底で結晶状態となっているメタンが原油導出部に詰まってしまい失敗するなど、かなり困難な状況が続いている模様です。
そこで、アメリカのあるボランティア団体が、漂着した原油を人の髪の毛を利用した方法でかき集めるという奇策を実行するため協力を呼びかけています。
詳細は以下。
Gulf of Mexico oil spill: BP caps ONE of the three leaks | Mail Online
現在、アメリカ慈善団体Matter Of Trustでは流出した原油の吸着材を作るために、全世界の美容室や理髪店に髪の毛や毛皮など天然繊維の寄付を呼びかけています。
頭を洗わずに放っておくと脂肪分でベタベタしてくることから分かるように、髪の毛が油分を保つ力はかなり強く自重の4倍から6倍の重さの油を吸い取る力があります。1ガロン(約3.7リットル)の油を吸い取るのに約450グラムの髪の毛が必要になるそうです。
同団体は2007年、カリフォルニア沖で発生した原油流出事故でも同じ方法で原油を吸着し、効果を上げています。
送る際は集めた髪の毛にクリップや他のゴミが混ざらないようすることが必要とのこと。
このようにストッキングに詰めて吸着材として利用します。
このアイディアを考案したのはアメリカ・アラバマ州の美容師フィル・マッククローリーさん。フィルさんは1998年のエクソンバルディーズ号原油流出事故の際、テレビで油まみれのアザラシやラッコの映像を見て「アザラシの毛皮が油を吸い取るのなら、今この床から掃き取った髪の毛も同じように油を吸い取るのではないか」と思いつき、奥さんのストッキングに髪の毛を詰めて実験してみたところ、かなりよい結果が得られたとのこと。
フィルさんはこのアイディアをもとに、原油流出の際に利用される吸着マット「OttiMat」を開発、現在は製造会社の運営を自ら行っています。
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