VRに支配された恐るべき未来を描く「HYPER-REALITY」

VRヘッドセットはこれまでのゲーム体験とは全く違うレベルで人間の極限状態を体験することが可能。もしVR(バーチャルリアリティ／仮想現実)が世界を支配したら一体どのようなことが起きるのか？ということで、KEIICHI MATSUDAさんが作成したムービーが「HYPER-REALITY」です。

HYPER-REALITY on Vimeo


VRヘッドセットを使って仮想現実でゲームをしている様子が映し出されます。

途中で電話がかかってきますが、お構いなしでゲームを続行。

高得点をはじき出すと……

がしっとゲーム画面をつかみます。

ぽいっとゲームをはじき出すと、そこは現実……なのですが、現実世界にもニュース記事や「ポイントマネージャー」というメーター、メッセージの通知、中吊り広告など、さまざまなアイコンが浮かび上がっています。

かかってきていた電話を取ります。

相手は「JOBMONKEY」の「inspiration guru(インスピレーション指導者)」

指導者が予定に遅刻をしている、ということを伝えてくれます。指導者は中国語を、VRヘッドセットをつけている人はスペイン語を話していますが、リアルタイム翻訳でスムーズに会話ができています。

ゲームの時と同じように電話の画面をがしっと握って画面端にスライドさせることで画面の切替。

やや下向き画面になると、さまざまなアプリのアイコンが表示されました。

手の平を差し出せばGoogle検索も可能。「私は誰？」と聞くと……

「JULIANA RESTREPO」という女性の写真や個人情報、友だちなどの情報が表示されます。

さらに、「今はどこに向かっている？」とGoogleに尋ねると……

現在地・目的地をつなぐ地図と目的地までの時間が表示されました。

今度は「もう一度スタートできる？」と質問。

「アイデンティティをリセットしますか？」という警告が現れました。

ボタンをリセットの方にスライドさせると……

「ロイヤルティー・ポイントは削除されます。続けますか？」

やっぱりやめた、ということで削除せずにキャンセルを選択しました。

バスの運賃も仮想現実で表示。さらに、バスの評価も星5つで行われていることがわかります。

外に出ると……

街中にも仮想現実を使ったさまざまな広告や表示であふれており、通行人の頭の上にもステータスのようなものが表示されています。

車道には「CLEAR THE AREA(このエリアをあけてください)」と表示されています。

表示が消えると、バイクの群れがガンガン通行していきます。

今度はスーパーへ。

カートを持つと、手前にショッピングリストが表示されたほか、バーチャルペットを使ってみませんか？というアイコンが表示されます。

「Try it(試してみる)」をタップ。

すると、カートの上にわんこがちょこんと座りました。

商品の側を通るとさまざまな広告や情報が表示されます。

ヨーグルト売り場に到着。ちょっとだけ画面がちらついて見えます。

商品を手に取ると、パッケージまで3Dです。

しかし、再びちらつきが発生して、表示が全体的におかしくなってしまいました。

メニュー一覧から……

「Call us(連絡する)」という項目を選択。スーパーのカスタマーサポートにバグについて尋ねます。

ユーザーアカウントが攻撃されたようですが、心配はいらない、とのこと。

しばらくすると……

仮想現実空間が消えていきます。

そして一気に現実へと引き戻されました。

再起動し、再び仮想現実空間が完成。味気ない現実と過度に装飾された仮想現実空間のギャップに驚かされます。

再び路上へ。

てくてく歩いていると何やら前方から不審な影が近づいてきました。

影の形をしたハッカーが攻撃をしかけてきて……

ユーザーは負傷。

これは仮想空間ではなく実際にできた傷の様子。だらだらと手のひらから血が流れ出ます。ユーザーは痛みに思わず声を上げます。

血液で生体認証を突破したハッカーによってポイントを全て奪われたユーザーは傷を負ったことよりもポイントを奪われたことに絶望的な声を上げ……

現実世界で血を流しながらある場所に向かいます。

VRは架空の世界をまるで現実のように感じさせ、ユーザーは作り物の世界に没入することが可能ですが、没入するがあまりにゲームが現実を支配してしまうという驚愕のラストとなっていました。

なお、この他のMATSUDAさんの作品は以下のウェブサイトから見ることができます。

KEIICHI MATSUDA | CRITICAL DESIGN
http://km.cx/