取材

「異能力バトルのボンズ」から生まれたアニメとは?


「ラーゼフォン」「交響詩篇エウレカセブン」「STAR DRIVER 輝きのタクト」といったロボットアクションものから、「鋼の錬金術師」「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」「ソウルイーター」といった異能力アクションもの、さらにはサンリオの「SHOW BY ROCK!!」や少女漫画原作の「赤髪の白雪姫」などをアニメ化しているのがアニメスタジオのボンズです。そのボンズの代表取締役でありプロデューサーでもある南雅彦さんが、現場のプロデューサーたちと一緒に現在放送中のアニメや今後のボンズの展開について語る「ボンズでトーク2016春」がマチ★アソビ vol.16で行われました。

【マチアソビvol.16】④ボンズでトーク2016春「僕のヒーローアカデミア」&「文豪ストレイドッグス」トークショー 日程:5月4日16:00~ 場所:新町東公園 出演:南雅彦社長(ボンズ)、鈴木麻里プロデューサー(ボンズ)、岡村和佳菜プロデューサー(東宝)他 お楽しみに♪

— TVアニメ「文豪ストレイドッグス」公式 (@bungosd_anime)


というわけで、「ボンズでトーク2016春」の司会進行を行う南プロデューサーが登場。今回のトークイベントでは現在放送中の2016年春アニメに関するトークを行うとのことで、会場に対してどのようなアニメをボンズが制作しているかわかるか質問を投げかけます。すると、会場からは「コンレボー!(コンクリート・レボルティオ~超人幻想~)」という声が最初に飛び込んできて、思わず南プロデューサーも「大好き!」とニッコリ。


現在放送中の「コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ THE LAST SONG」のPVは以下から見られます。

『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~ THE LAST SONG』 PV01 - YouTube


その他で言うと、ボンズは現在週刊少年ジャンプの「僕のヒーローアカデミア」や、ヤングエースで連載中の「文豪ストレイドッグス」などを制作しています。さらに、「7月からの放送作品で言うと……」と南プロデューサーがためると、「モブサイコ!(モブサイコ100)」と再び会場から声が上がり、「君好き!」と南プロデューサーもご満悦。

そのモブサイコ100は小学館のマンガワンというアプリで連載中の漫画なわけですが、ボンズとしては珍しい集英社・小学館という大手出版社関連のアニメ作品が続くということで、「どうしたんだボンズ?!」と南プロデューサー自らコメント。


モブサイコ100のPVは以下の通り。

TVアニメ『モブサイコ100』 PV - YouTube


7月から放送開始となるモブサイコ100ですが、原作はワンパンマンのONEさんで面白いアニメーターを使っているとのこと。また、7月には新作ショートアニメのSHOW BY ROCK!! しょ~と!!も放送開始になるそうです。

続いてゲストとして3人の女性プロデューサーが登場。左から、僕のヒーローアカデミアでプロデューサーを務めるTOHO animationの岡村和佳菜さん、文豪ストレイドッグスからボンズの鈴木麻里アニメーションプロデューサーと角川の倉兼千晶プロデューサーが登壇しました。


最初のお題は「企画の始まりについて」。まずは僕のヒーローアカデミアの岡村和佳菜プロデューサーからトークがスタート。元々岡村プロデューサーは血界戦線でボンズと仕事をしていたそうで、その血界戦線と僕のヒーローアカデミアは同じ集英社作品であり、血界戦線の制作過程でボンズの真骨頂ともいえる「異能力バトル」&「キャラクターを立たせる演出」というものに触れられたことで、僕のヒーローアカデミアもぜひボンズで……という流れになっていったそうです。

「『異能力バトルはボンズ!』こうやって企画は決まります!」と南プロデューサーが語ると会場では笑いが巻き起こります。なお、ボンズが週刊少年ジャンプ作品をアニメ化するのは今回が初だそうです。

僕のヒーローアカデミアのアニメ化企画は放送の約1年半前からスタートしたそうで、これはまだ単行本の1巻が出てちょっとしたくらいの時期だったそうです。約1年半の準備期間というのは週刊誌ベースのアニメ化企画としてはかなり短い部類のものだそうですが、そこから一気に放送開始まで駆け抜ける形となります。


続いて文豪ストレイドッグスについて。こちらも単行本の1巻が出版されたくらいの時期にアニメ化企画が動き始めたそう。最初は角川の倉兼プロデューサーの隣の席の社員のところに、ヤングエースの担当者が文豪ストレイドッグスを持ち込んできたところから始まったそう。当時、倉兼プロデューサーは男性向けのライトノベルなどのアニメ化企画を担当してばかりだったそうで、文豪ストレイドッグスのような作品にも携わりたいということで、「やりたいなーと言い続けているとこうなった」とのこと。そして、アニメ化するならどのこスタジオにするか考えている際に、「異能力バトルならボンズ!」ということで、ボンズに制作を打診することになった模様。

そしてアニメーションプロデューサーの鈴木さん。ボンズに文豪ストレイドッグスが持ち込まれた際、他にもロボットアクションや異能力ものなどがあったそう。複数作品の中で「どれがおもしろい?」と南プロデューサーに聞かれたそうで、鈴木さんは文豪ストレイドッグスを推したそうです。そして、直接「やって」と言われることはなかったものの、気づけばアニメーションプロデューサーとなっていたとのこと。


次は各作品の監督について。現場で1番監督と密にコミュニケーションをとっているのはプロデューサーなので、それぞれが監督に抱いている印象はとても参考になるとのこと。まずは僕のヒーローアカデミアの長崎健司監督について。長崎監督は「ガンダムビルドファイターズ」や「Classroom☆Crisis」の監督を務めた人物で、岡村プロデューサーの最初の印象は「シャイだな」だったそうです。

対して文豪ストレイドッグスの監督は、「ソウルイーター」や「STAR DRIVER 輝きのタクト」の五十嵐卓哉さん。倉兼プロデューサーの五十嵐監督に対する第一印象は「人垂らし」で、自分がやりたいことを周囲に納得させるために言葉をつくす、おしゃべりタイプの監督だそうです。

両監督は正反対なタイプに聞こえますが、南プロデューサーいわくまじめで作品に対して真摯という共通点があるとのこと。加えて、岡村プロデューサーは長崎監督が僕のヒーローアカデミアを「世界一読んでいるのでは?」と思うくらいに読み込んでいることを明かし、原作に対してとても真剣に向き合っている人物、と評していました。

なお、数々のアニメ監督と仕事をしてきた南プロデューサーいわく、1番真面目なのは「劇場版 エスカフローネ」や「コードギアス 亡国のアキト」で監督を務めた赤根和樹さんとのこと。


原作者が必死に作ったものをアニメにするのだから原作付きのアニメ化作業はとても大変とのこと。南プロデューサーは倉兼プロデューサーの「監督が好き!」と言っていたのはとても大事と指摘し、「俺が渡辺信一郎を愛してるかどうかっていうと愛してる。そうじゃないと成り立たない」とコメント。

今回ゲストとしてやってきた3人のプロデューサーは全て女性ですが、特に「女性は愛情が深い」のが特徴とのこと。角川の倉兼プロデューサーは、1話を見た際に全員に泣きながらありがとうと言い、「愛が重い」と言われたエピソードを明かしており、他の女性プロデューサーたちも「ウザい、重い」と言われることがあるそうです。しかし、そういった重すぎる愛が作品作りを支えている模様。


アニメのオープニングテーマやエンディングテーマは音楽業界などの他ジャンルとのタイアップになることが多いものです。タイアップする時こそ「思いがあると良い」とのことで、大物が相手でも手直しを入れてもらったりと、重いくらいの思いが妥協のない作品作りにつながっている模様。

文豪ストレイドッグスではエンディングテーマ「名前を呼ぶよ」を作る際、同曲がメジャーデビューとなるラックライフにわざわざ大阪から東京まで出てきてもらったそうです。ラックライフのボーカルであるPONさんは元から文豪ストレイドッグスを読んでいたそうで、監督と直接話をし、帰りの新幹線の中で一気に楽曲を仕上げてしまったとのこと。

ラックライフTVアニメ『文豪ストレイドッグス』ED主題歌「名前を呼ぶよ」Music Video Full size - YouTube


僕のヒーローアカデミアのオープニングテーマはポルノグラフィティの「THE DAY」。長崎監督はポルノグラフィティと直接話をすることはなかったそうですが、僕のヒーローアカデミアの世界観を伝えるために手紙を書いた模様。なお、エンディングテーマの「HEROES」は打ち合わせなしでドンピシャのものが出てきたとのこと。

アニメ『僕のヒーローアカデミア』 オープニング映像 - YouTube


Brian the Sun 『HEROES』Music Video - YouTube


鈴木プロデューサーは、文豪ストレイドッグスは女子向けと思っている人もいると思うが、シリーズ構成の榎戸洋司さんと五十嵐監督が原作そのままに作るわけがない、とのこと。今後はボンズならではのドッカンバッカン激しいアクションシーンもあるとのことなので、偏見にとらわれずに見てもらいたいそうです。

僕のヒーローアカデミアは日曜の夕方に放送していますが、子ども向けにだけ作っているというわけではない模様。これからの6話以降で、キャラクターと個性が炸裂するアクションシーンがたっぷり登場するので、本当にみんなに見てほしい作品になっているとのことです。

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in 取材,   動画,   アニメ, Posted by logu_ii

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