取材

アニメミライから生まれ変わった「あにめたまご」、2016年度に制作される4作品の見どころをプロデューサーたちが熱弁


2010年からスタートした文化庁委託事業「若手アニメーター育成プロジェクト」、通称「アニメミライ」は2015年から「あにめたまご」に愛称を変更しました。そのあにめたまごで2016年度に制作されるアニメ4作品の発表会がAnimeJapan 2016で行われ、各作品の制作に携わるプロデューサーたちが集い、見どころや重大発表などを次々と明かしていきました。

あにめたまご 2016
http://animetamago.jp/

あにめたまご 2016の発表会はAnimeJapan 2016のオープンステージで行われました。


あにめたまご 2016で制作された4作品は、左から「風の又三郎」「かっちけねぇ!」「UTOPA」「カラフル忍者いろまき」。


そしてステージ上の登壇者は左から司会進行の小林洋子さん(日本動画協会)、あにめたまご 2016人材育成マネージャーの竹内孝次さん、櫻井圭記さん(シグナル・エムディ)・本多史典さん(シグナル・エムディ)・荻原知子さん(STUDIO4℃)・大澤宏志さん(手塚プロダクション)・髙山清彦さん(武右ェ門)。


そもそも「あにめたまご」とはなんぞや?ということで、プロジェクトの説明から発表会はスタート。あにめたまごはプロの若手アニメーターを育成するためのプロジェクト。もちろん育成されるのはアニメーターだけではなく、アニメ制作に欠かせない動画や制作進行などの育成も含まれています。そういった「アニメの制作に関わる若い人材」をまとめて育成しようというのがあにめたまごです。


人材育成マネージャーの竹内孝次さんはあにめたまご 2016に参加した4社には「おもしろい作品を作る」と「若手を育成する」という2つをお願いしたがこれは非常に難しいこと、と来場者に説明。その中で制作された4作品はそれぞれバラエティに富んだおもしろい作品になっているとのことで、全体の特徴としては「作画方法」がうまい具合にばらけたそうです。作画方法はカラフル忍者いろまきが完全デジタル原画、UTOPAとかっちけねぇ!は手描きとデジタルのハイブリッド、そして風の又三郎はフルCGとなっています。


あにめたまご 2016の4作品をまとめたPVは以下から見ることができます。

あにめたまご2016 第2弾PV - YouTube


というわけでここから各作品のプロデューサーたちが作品内容や制作秘話を語ってくれます。

カラフル忍者いろまき
まずは「カラフル忍者いろまき」のPVがスタート。


制作はSIGNAL.MD


重大発表


ディレクターズカット版が制作進行中であることが明かされました。あにめたまご 2016で制作したものに新作カットを加え、小林賢太郎監督が錯視したオープニング&エンディングテーマにアニメーションが追加されます。また、エンディングアニメーションでは小林監督が自ら振り付けしたダンスがヌルヌル動くとのこと。


さらに、ディレクターズカット版が2016年冬に全国劇場で公開されることが決定。ディレクターズカット版は10分ほど追加される予定となっています。


加えて、BD/DVDの発売も明かされました。なお、DVDはなるべく安く販売し、Blu-ray版はメイキングなどの特典を付ける予定だそうです。


そしてPVが4月からYouTubeで配信されることも決定。


主題歌のミュージッククリップも4月からYouTube上で配信される模様。


と、新情報が続々飛び出した「カラフル忍者いろまき」。なお、詳細はSIGNAL.MDの公式Twitterアカウントで順次発表していくとのことです。


UTOPA
「UTOPA」は人類が絶滅寸前の動物達を空中都市に移住させて種の保存を試みたところ、ここで長い年月をかけて動物たちが進化した世界のお話。という話し。


このUTOPAは3月19日から4月17日までの期間、表参道ピアザビルでイベントを開催中。


制作に携わったアニメーターの作画机を再現しており、動画体験もできる模様。このイベントはSTUDIO4℃が開催しているものなので、同社が過去に制作した鉄コン筋クリートなどの動画体験も可能だそうです。


そんな「UTOPA」には以下のような秘密が隠されているのですが、これらにつながる長編企画が進行中であることがプロデューサーである荻原知子さんの口から明かされました。


そして監督のイメージボードも公開されます。UTOPAの世界に争いはないので、登場キャラクターたちが知恵をしぼって困難を乗り越えていくものになっているとのこと。


新たな登場キャラクターも。


応援よろしく、ということでプレゼン終了。なお、UTOPAの監督を務めた田中孝弘さんはとにかくこの作品に強い思い入れをもっているそうで、お忍びで発表会にまで足を運んでいることが明かされ会場の後ろからあいさつしていました。


かっちけねぇ!
手塚治虫先生の作品をアニメ化してきた手塚プロダクションの完全新作アニメーションが「かっちけねぇ!」。これもさっそくPVが再生されました。


あにめたまご 2016で制作された「かっちけねぇ!」について「(シリーズものの)1話のつもりで作成した」と手塚プロダクションの大澤宏志プロデューサー。それ故、この作品もTVアニメ化を考えていることが明かされました。また、神戸には手塚治虫記念館があるので、ここで上映される予定であることも明かされました。


同作品の制作ではデジタル作画用のツールであるSTYLOSが使用されたそう。さらに、これを機会にデジタル作画用のツールが導入されることになったことも明かされました。


なお、作品名になっている「かっちけねぇ」は、「かたじけない」の江戸弁で、「ありがとう」という意味の言葉だそうです。

風の又三郎
CGでのアニメーション制作に携わる武右ェ門の作品が「風の又三郎」。プロデューサーの髙山清彦さんによると、風の又三郎は元々山田裕城監督と「作れたらいいね」と話していた作品のひとつだそうで、それがひとつの形になったのがとてもうれしいとコメント。


「せっかくなので」と、風の又三郎のメイキングシーンを一部公開してくれました。

絵コンテ


その1コマがピックアップされて……


これをCGで表現


このシーンではキャラクターの動きに合わせて動く髪の毛の動きに注力したそうです。


ひとつのシーンをピックアップして、エフェクトを追加したり動きに変化を加えたりした異なるバージョンを見比べます。


これはアニメーションにOKが出たものに、エフェクトを追加して手描きっぽい絵に変化させる過程が見られます。


セル調素材を追加


水彩調素材を追加


紙質感素材を追加


鉛筆調ラインを追加


そしてこれが完成カット。元がCGとは思えないくらい。


これは風でキャラクターの髪の毛がなびくシーン。プロデューサーの髙山さんは髪の毛の動きにこだわったことがよくわかる解説をしてくれたのですが……


人材育成マネージャーの竹内さんは窓から体を出しているキャラクターは「全身モデリングされている」点を賞賛。手描きの場合、見えない部分の体の動きまで考えてキャラクターを動かすことはしないとのことで、そういった手描きにはな部分をCGがもたらしてくれたのは歓迎すべきこと、と語りました。


もちろん髪の毛の動きも大きく変化してより自然なものになっていました。


そしてキャラクター以外のCGも追加するとこうなります。


AnimeJapan 2016内で作品紹介が行われたあにめたまご 2016ですが、地上波では読売テレビで月曜深夜のMANIA枠で「カラフル忍者いろまき」と「UTOPA」、毎日放送で4月2日の深夜に「かっちけねぇ!」と「風の又三郎」が放送されることが決定しています。なお、読売テレビの放送日時は近日発表予定となっており、放送日や放送内容は変更になる場合もあります。また、BS/CS放送ではアニマックスで5月1日(日)20時30分から4作品の一挙放送が予定されています。

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in 取材,   アニメ, Posted by logu_ii

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