「クラゲに刺された後におしっこはダメ」な理由がよくわかる、クラゲの攻撃の仕組み

by Jerry Burke
民間療法として「クラゲに刺された後はおしっこをかけろ」と言われることがある一方で、「おしっこをかける方法は迷信」と語られることもあります。では、なぜおしっこをかけるとダメなのか、そもそもクラゲの攻撃はどのような仕組みなのか?というところから解説してくれているムービーがYouTubeで公開中です。
How does a jellyfish sting? - Neosha S Kashef - YouTube

海を泳いでいると手足がチクチクしてきて……

「クラゲに刺された!」と気付くことがあります。

海をゆらゆらと漂う美しいクラゲがこのような攻撃を行うのはどのような仕組みなのでしょうか?

その前にまず、クラゲの生態から説明。クラゲは体の95%が水分でできています。

メソグレアという半透明でゲル状の物質によってできており、体はとても柔軟です。

触手には何千もの「刺胞細胞」という毒を含んだ細胞があり……

刺胞細胞を使って餌をとったり敵から身を守ったりしています。

シャープペンシルについている消しゴムくらいの大きさの赤ちゃんクラゲであっても人を攻撃することは可能。

クラゲの幼生であるエフィラは海の中をただよう花のようなもの。

成長するにつれて鐘型の頭と触手を持つ、雨傘の形をした生き物になります。

Lion's mane jellyfish(キタユイレイクラゲ)というクラゲの一種は、文字通りライオンのたてがみを持っているような見た目で、全長は30mに及ぶことも。これはシロナガスクジラよりも巨大なサイズです。

また刺胞細胞の多くは触手に含まれますが、中には釣鐘部分に含むものも。

刺胞の内部は高い浸透圧を保っており、中にはモリのようなものが巻かれた状態で存在します。

何らかの刺激で表面のフタが開けられると……

刺胞の内部に海水が浸入し、とがったモリのようなものが発射されるわけです。

そして相手が人間であれば針は皮膚を貫通し、体内に毒を注入します。なお、この時、刺胞の発射は100万分の1という時間で行われ、生き物の中でも最も早い生化学反応の1つと言われています。

クラゲは死んだ後でも針を発射し続けることがあるので、体についた触手を取り除くことは非常に重要。

酢を患部に注げば未発射の刺胞を不活性化させることも可能。

また、海水の中に患部をつけることも、残った刺胞を取り除く助けになります。

ただし、淡水を使うと刺胞周囲の浸透圧が変化し、針が発射されてしまうので注意。

民間療法で「クラゲに刺されたらおしっこをかける」というものがありますが、尿の成分によっては浸透圧を変化して刺胞の針が発射してしまい、患部の状態を悪化させてしまうことがあるので避けましょう。

刺されても単に痛みを伴うだけ、というクラゲも存在しますが、オーストラリアウンバチクラゲは心筋の収縮を引き起こす毒を放出するため、毒の量が多いと即死することも。

解毒剤も存在しますが、即効性のある毒なので、即座に対処することが重要になります。

驚くべき攻撃力を持ったクラゲですが、海の中では無敵ではありません。オサガメや……

マンボウといったような、分厚い皮膚を持った生き物に対しては毒が効きません。

これらの生き物はつるつるしたクラゲを逃さないような体の仕組みを持っています。

カメの口内や食道には後ろ向きのトゲがあり……

マンボウの頬の裏側には反曲した歯があります。

また、小さなセミエビの幼生はクラゲの釣鐘に粘着し、移動しながらクラゲをかじり、エネルギーを成長のために使います。

さらに、小さな魚の中には触手を避けつつクラゲを使って身を守るものも。

ウミウシ類はクラゲの触手を食べることで……

体内に毒を取り込み自分の武器として使ったりもします。

人間もまた、クラゲの刺胞を利用しようとしていて……

クラゲの刺胞は一般的な注射針の3%ほどの大きさしかないので、これを薬を注入する手段として利用できないか、研究が行われています。

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