Googleが画像・ムービー送受信やビデオ通話に対応したSMSを置き換えるRCSプラットフォーム「Jibe」をAndroid端末に標準採用

Googleとモバイル通信事業者からなる業界団体のGSMAは、次世代のSMSとして期待されるメッセージ規格「Rich Communications Services(RCS)」の普及を進めるためのイニシアチブを発足。GoogleはRCSプラットフォーム「Jibe」をAndroid端末に標準採用する方針を明らかにしました。JibeがAndroidスマートフォンに標準採用されることで、携帯電話やスマートフォンでのメッセージ・画像・ムービーのやりとりのデファクトスタンダードがSMSやメール(MMS)からRCSになる可能性がありそうです。

Jibe
http://jibe.google.com/

Global Operators, Google and the GSMA Align Behind Adoption of Rich Communications Services | Newsroom
http://www.gsma.com/newsroom/press-release/global-operators-google-and-the-gsma-align-behind-adoption-of-rcs/

携帯電話(フィーチャーフォン)からスマートフォンへとモバイル端末が進化するにつれて、メッセージをやりとりする方法は、単なる文字ベースの文章にとどまらず、絵文字、さらには写真、ムービーといったリッチコンテンツへと進化してきており、もともと文字の送受信だけを考えて作られてきたSMSは使い勝手が悪くなっています。また、画像を添付できるMMSも、巨大なムービーファイルには対応していないなど、リッチコンテンツ全盛の状況には完全に対応できていません。

モバイル端末間でもリッチコンテンツを相互に快適にやりとりできるようにするべきというわけで、GSMAはRCSという新たな規格を提唱していました。そのRCS構想にGoogleが参加を正式に表明。次世代のモバイル端末で使える共通のプラットフォームにしようと協働することになったというわけです。なお、RCSはSMSやMMSの上位互換の規格で、SMSやMMSをサポートするところも大きな長所です。

GoogleはRCSを採用する「Jibe」というプラットフォームを開発するとのこと。そして、Googleが提供するモバイルOS「Android」にJibeを標準採用する方針です。ちなみに、Googleは2015年にRCS用ソフトウェアを開発するJibe Mobileを買収しており、Jibe MobileがJibeプラットフォームの開発に大きく関わっていると予想できます。

Jibeプラットフォームでは、やりとりされる情報はすべてJibe Cloudというクラウドサーバーを経由することで、Android端末だけでなくJibe Hubという規格に対応した端末すべてでRCSを使えるようになる見込みです。Jibeによって、Android端末同士であれば簡単に写真やムービーを交換したり、ビデオ通話ができたりできるようになりそうです。

JibeによってGoogleはSMSを置き換える予定ですが、iOSを開発するAppleは参加していないので、あくまでRCSでのやりとりはAndroid端末やJibe Hub対応端末間に限られそうです。しかし、すでにスマートフォンの世界市場で80％近いシェアを奪ったAndroid端末がRCSを正式にサポートすることで、従来のSMSやMMSでのやりとりはすべてRCSに置き換えられる可能性がありそうです。

もっとも、スマートフォンなどのモバイル端末でのメッセージのやりとりは、SMSからすでにWhatsAppやLINEに代表されるメッセンジャーアプリに取って代わられている現状があるため、Google＋GSMA連合が推すRCSが次世代のメッセージやリッチコンテンツ送受信プラットフォームのデファクトスタンダードになれるかどうかは予断を許さない状況と言えそうです。