「フォーミュラE」マシンがどういう構造なのかわかりやすく解説したムービー「How Do Formula E Cars Work?」
2シーズン目を迎えた電動自動車(EV)レースの最高峰「フォーミュラE」は、マシンパワーが拮抗していたり、パワー全開のボーナスモードが導入されていたり、予想外のマシントラブルが発生したりとエキサイティングかつ不確定な要素満載で、F1よりも白熱したバトルが繰り広げられています。そんなフォーミュラEのマシンがどういう構造になっているのかをムービー「How Do Formula E Cars Work?」がCGを使って分かりやすく解説しています。
How Do Formula E Cars Work? - Formula E - YouTube
電動のF1「フォーミュラE」のマシンの主要な構成部品を見ていきましょう。
フォーミュラEのマシンは、F1と同じくオープンホイールのデザイン。各チームは主要な部品を開発することが許されています。
フォーミュラEのマシン開発は、EV技術の限界への挑戦でもあるというわけです。
EVならではの部品がバッテリー。エンジンカーと違って燃料ではなくバッテリーに蓄えた電気エネルギーを動力源にします。200kgのリチウムイオンセルを搭載したバッテリーは、ウィリアムズがすべてのチームに供給しています。
車体の中央付近に搭載された200kgのリチウムイオンセルは、ノートPCで言えば約300台分で……
携帯電話なら4000台分に相当する容量です。
マシンがレースで使うことができるのは回生エネルギーを含めて28kWh。なお、レース中継ではバッテリー残量がデジタル表示されるので、どれくらいバッテリーが残っているのか、ドライバーがどんな戦術を採っているのかを観客が把握できるようになっています。
レースを主催するFIAによって厳しく規制されているのは最大使用エネルギー量だけではなく、ピークパワー(最大出力)には予選で200kW、決勝レースでは170kWまでという制限があります。ただし、レース直前のファン投票によって選ばれた3名のドライバーには決勝レースで5秒間だけ200kWのフルパワーを使える「ファンブースト」制度が採用されており、オーバーテイクシーンを演出しています。
改造不可のワンメイクレースだった初年度シーズンを経て、2年目のシーズンからチームは「インバーター」「モーター」「トランスミッション」の「ドライブトレイン(駆動系)」に手を加えることが許されるようになりました。
バッテリーからの直流を交流に変換するパーツが「インバーター」で、EVでは欠かせない重要な部品となっています。フォーミュラEマシンのインバーターはドライバーの後方に搭載され、1秒間に1万回もスイッチを切り替えて、周波数や電流量を細かく調整してモーターのトルクとパワーを最大限引き出します。
EVに欠かせないのが「モーター」
フォーミュラEのマシンのモーターも、中身は一般的な交流モーターと基本的には変わりません。
回転するパーツの「ローター」と……
回転しないステーターから成り立っています。
ローターには強力なマグネットが装着されており、ステーターには銅製のコイルがぎっしり詰まっています。電流が銅線を流れると磁場が生じ、この磁場によって磁石に引力と斥力が生じて軸が回転する仕組みです。
モーターの回転数は最大で20000rpm。縦置きされたモーターはトランスミッションを通して回転エネルギーを効率的に使います。
フォーミュラEではドライバーがコース上で競うだけでなく、各チームのマシン開発者たちも最も速く効率的なマシンを作るために競争している、というわけです。
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