記事を書きながら世界一周をすると1年間で何枚の写真を撮ることになるのか?
これまで4回の旅に出て「2年、3年、2年、1年」と、合計8年以上を海外で過ごしてきました。自分がどういう旅をしているか説明を求められたら、最近はこう答えるようにしています。そして、2014年10月27日にスタートした今回の旅も、無事に1年を越えました。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンは、3000日以上を海外で過ごしているようです。私の旅では、カメラを欠かすことができません。ふとした街歩きですら、とんでもないネタが飛び込んできます。GIGAZINEで記事を書くようになった2011年からは、年ごとに写真が増えている気も。
◆直近1年間
・2014/10/27~2015/10/26
訪問国:49ヶ国
初訪問:32ヶ国
旅の初めに掲げた「100ヶ国10万㎞」という目標は達成したにも関わらず「人生は1度きりだから、最後まで満足のいく旅をしたい」と、未訪問国を周るべく再び海外へ飛び立ちました。アイスランド、ロシア、カリブ海の島国、中東、南アジア、太平洋の島国と、いつになく慌ただしい動きをしています。計40回も飛行機を使っているので、輪行に便利な折りたたみ自転車をツーリング仕様に改造しました。軽量化を重視したので超過料金の請求はありません。ただし、一部の国はバックパッカーとしての訪問です。
2014年10月27日、エティハド航空を利用したので、アラブ首長国連邦のアブダビ経由の便で成田からロンドンへと向かいました。
2015年10月24日、1年ぶり4度目のとなるバンコクでは、それまでに滞在していたスーダン、エチオピアの疲れを癒やしました。物価も安く、物に溢れ、それなりのクオリティを期待できるタイは、旅人にとってはオアシスのような場所です。
◆撮った写真の枚数は?
・Canon EOS Kiss X5
旅を始めた頃のデジタル一眼レフカメラは10万円を越えるものが普通だったので、ずっとコンパクトデジタルカメラをメインに使っていました。その一眼レフも年々値段が下がり、2012年の一時帰国時には新品でも5万以下のものが出るように。一緒に走った際に撮ってもらった、一眼レフを使った友人の写真は、購入を決断するに十分でした。アメリカ大陸縦断から使用しているのですが、イメージセンサーが違うのか、くっきりとした写真を残してくれます。初めてだったので、とりあえず入門用を購入したのですが、今ならもっと上位機種も使ってみたいところ。出したお金に比例してきちんとした結果を残してくれるので、旅に出るなら良いカメラを選んで損はありません。
2012年8月20日の購入で、4万6073円でした。
イメージセンサーにゴミが付いた時は焦りましたが、レンズクリーニングキットを使って復活。何度かうっかり落としてしまい、冷や汗もかきますが、カメラ本体は今の今までちゃんと動いてくれました。
このカメラでは、合計2369枚の写真を撮っています。
3度目の訪問となったトルコのイスタンブール。市内にいくつかある巨大モスクはとても幻想的です。
太平洋の島国を周る前に立ち寄ったオーストラリアは、この旅が始まった思い出深い場所でした。
2007年の初訪問時には影も形もなかったマリーナベイ・サンズという高級ホテル。屋上にプールがあることで有名な場所です。
今回の旅では再訪問する場所が多くなっています。かつてはコンデジしか使っていない景色を、改めて一眼レフで写真に残していました。以前より段違いに素敵な写真を、撮ることができて大満足。
・Sony DSC-RX100
一眼レフの写真に不満はないのですが、どうしても嵩張るので携帯に不便。そういう理由から、コンデジも併用していました。ただの街歩きでさえ、一度逃したら二度と出会うことのない衝撃的な光景が飛び込んできます。だから、常にカメラを持っておきたい。そういう時はズボンのポケットに入るコンデジを重宝していました。一眼レフが故障したときの予備のカメラという役割も果たしています。
2014年9月18日の購入で、3万4000円でした。
サブカメラとなってからは、節約モードで安い機種しか使ってなかったのですが、最後の最後なので欲が出て、ソニーの「DSC-RX100」というインターネットで評判の良かったカメラを購入。コンデジでも、それなりの写真を残せるようになって満足しています。
このカメラでは、合計2260枚の写真を撮っています。
下校中に駆け寄ってくれたヨルダンの子どもは、はにかみながら手をハートにしてくれました。
お母さんがかき氷を作る傍らで、こちらの様子をちらちらと窺っていた娘さんたち。マレーシアのボルネオ島を走っていた時の一枚です。
腰巻きだったり、たすき掛けだったり、アフリカは各地で赤ちゃんの背負い方に特徴があるのですが、エチオピアは両肩がけという方法でした。
2つのカメラを合わせると、総計4629枚の写真をこの1年で撮っていたことになります。日数の365で割ると、1日あたり12.68枚という計算。ちなみに、同じものを何枚も撮ったら、最高の写真を残して後は削除するので、だいたいこの枚数分の写真があると思っていただいて構いません。
◆過去の旅では?
・2006/02/06~2007/02/05
オーストラリア入国から1年間で撮った写真は全部で999枚でした。初の外国となったオーストラリアではワーキングホリデーもあって1年以上滞在。よって、この期間は全てオーストラリアの写真です。旅の最初は、あまり余裕もなく写真の総数も少なめ。今なら考えられませんが、自転車で走っているにも関わらず、カメラを使わない日もありました。農作業に従事していた期間もあって、その時はカメラにほとんど手を触れていません。
1度しかその姿を拝むことができなかった野生のコアラ。
オーストラリアの中心にあるエアーズロック(ウルル)にも自転車で訪れました。
・2009/05/09~2010/05/08
韓国入国から1年間で撮った写真は全部で3153枚でした。シルクロードを横断してルーマニア到達という1年間。まだGIGAZINEの仕事がなかった頃にも関わらず、意外とたくさんの写真を撮っていました。
入国して早々に銀行カードが使えなくなって、お金もなく釜山駅前で夜を明かした韓国初日。
中国の中心でもあった北京の天安門広場にて。
・2012/09/24~2013/09/23
カナダ入国から1年間で撮った写真は全部で4781枚でした。アメリカ大陸を縦断してペルーのマチュピチュまでという1年間で、GIGAZINEで記事を書いていたこともあって、写真の総数は最近の1年間とほぼ変わりません。特にアメリカやメキシコは長くなったので、テーマを決めては写真を集めていました。
雨と水が大地を削った壮大な年月に胸が熱くなった、アメリカ合衆国のグランドキャニオン。
サボテンが周囲一帯を埋め尽くす光景には、世界の広さを改めて実感。アメリカとメキシコの国境付近では、ニョキニョキとサボテンが生い茂っています。
ちなみに、自転車世界一周が始まった2005年の年末から、この記事を執筆中の2015年の11月初めまでの全写真は、ざっと見積もって3万枚ほど。世界各地で、たくさんの写真を撮ってきました。
◆レンズの故障
今回の旅でも十分な活躍を見せてくれた一眼レフですが、太平洋の島国を周っていたフィジーくらいで、突如オートフォーカスが利かなくなりました。レンズのズームを最大か最小にしないとピントが合いません。仕方がないので、コンデジをメインに使っていました。
太平洋の島国の後に、ちょうどシンガポールに立ち寄ったので、そこでカメラ屋さんを探すことに。インターネットにあった「柴田誠のフォトレポ シンガポールのカメラ事情」という記事で情報を調べて「Peninsula Tower」という場所を訪問。そこには、中古レンズを扱うお店もあったので物色して、展示品を試させてもらうと問題なく動いてくれたので、そのレンズを購入しました。
先進国であるシンガポールのカメラ店だけあって、どんなものでも揃いそうでした。
レンズを交換した一眼レフ。
129シンガポール・ドル(約1万2000円)と手痛い出費だったのですが、この後の国々ではきちんとした仕事をしてくれたので良しとしましょう。ここぞという時にお金を使わないと、旅は決して面白くなりません。
グルジアの公園で開かれていた蚤の市。
社会主義時代の面影が残るベラルーシの集合住宅。
暑さと砂で、街なみさえも乾いて見えたエジプト。
エチオピアに入ってすぐに訪れたゴンダールでは、ちょうどお祭りの時期と重なって、お嬢ちゃんたちもおめかしをしていました。
◆旅先で撮るもの
新しい国に入ると、あれもこれも写真を撮りたくて大忙し。旅が長くなるに連れて、いろいろな知識を得て、写真の対象も増えていきます。画像はタグを付けて管理。次のようなものをみつけると、なるべく写真を残すようにしていました。こうした積み重ねによって1つの記事が完成したりします。
料理:写真はグルジアの「ヒンカリ」と呼ばれる巨大餃子。中央アジアの麺料理「ラグマン」、セネガルの炊き込みご飯「チェブジェン」、メキシコのトルティーヤを使った軽食「タコス」、ペルーの魚介類のマリネ「セビチェ」、タイの鶏肉ご飯「カオマンガイ」と世界各地で名物料理を食べてきました。旅において何よりの楽しみは、毎日の食事だったりします。幸せになります。
飲物:料理とともに、お国柄が出るのが飲物です。日本の飲食店で水が無料で出てくる常識は、海外だと非常識。インドではマンゴージュースが定番だったり、中国では、ペットボトルのお茶に砂糖が入っていたり、ペルーでは黄金に輝くインカコーラが人気でした。グラスがくびれたトルコのチャイグラスなんかも忘れられません。
コカ・コーラ:存在しない国は数えるほど。世界で一番消費されている炭酸水だからこそ、コカ・コーラ社が手掛けるデザインはどれも秀逸でした。赤い缶の裏側には、どんなデザインがあるのでしょう。新しい国に入ると、ついつい確認しちゃいます。「Coca-Cola」というロゴにも、中国語やアラビア語バージョンがあり。大都市の繁華街に置かれた看板や、現地料理と一緒に写ったポスターなど、旅をしていると次から次に刺激を届けてくれます。
エナジードリンク:流行から、そう時間の経っていないまだ目新しいエナージードリンクは、新規参入の敷居も低いようで、たくさんのメーカーが様々なエナジードリンクを開発しています。大事なのは、心に響くネーミングとデザイン。「レッドブル」「モンスターエナジー」「リポビタンD」などが有名ですが、他にも「パワーホース」「ダブルフォース」「マザー」「ヘル」と趣向を凝らした商品がありました。とりあえず強そうなものを名前につけるという風潮。
ドナルド像:ピエロの格好をしたドナルドは、ファストフードの代名詞といっても過言でないマクドナルドの人気マスコット。日本もそうですが、海外のドナルドもベンチに座っていました。その顔は心なしか現地の人に似ている気も。インドネシアのバリ島ではサーフィンをしてたり、タイでは手を合わせる「ワイ (合掌)」のポーズと、バリエーションも豊富です。
セブン-イレブン:今や世界最大のチェーン店となった日本初のコンビニエンストア。海外でも中に入って、日本との違いを確かめています。タイには薬局やパン工房が入った店舗もあり。フィリピンだとイートインコーナーが充実していて、ソフトクリームを食べることも可能。机と椅子があるので、店内でくつろげます。
ガソリンスタンド:航空会社のフラッグキャリアと同様に、ガソリンスタンドでも、その国を代表する企業があるから勉強したくなります。日本ならENEOS、フランスならTotal、マレーシアならPetronasといった具合。キプロスにあった「ルクオイル(LUKoil)」はロシア資本のガソリンスタンドでした。
お金:誰もが手にするものなので、どの国も自国の貨幣には力を入れています。ベトナムの紙幣は全部がホーチミンですし、ケニアの紙幣は全部が初代大統領のケニヤッタと、島国であるモルディブの紙幣は全部が船と、すべての紙幣が同じ肖像の国々は注目したいポイント。1ディナール=400円と、世界一価値の高い通貨を持つクウェートから、100ルーブル=0.72円と、1円の価値もない紙幣を発行するベラルーシまで、海外のお金にはネタが詰まっています。
文字:丸みを帯びた可愛らしい写真の文字はグルジアのもの。ここら一帯は中東のアラビア文字から、インドのヒンディー文字、タミル文字、タイ語のタイ文字、カンボジアのクメール文字まで、独特の文字を持った国が続きます。こうした国々は、パソコンのキーボードも独特の仕様です。
標識:これもずっと後になって気付いたのですが、世界をかけるチャリダーほど標識を集められる旅人はいません。ほんの少し心に余裕を持って、ちょっと立ち止まれば任務完了。ゾウにアルパカ、ラクダといった動物は、日本では考えられないので新鮮でした。南部アフリカではヒッチハイク禁止、東南アジアではドリアン禁止と、その場所ならではの標識も愉快です。
デザイン:パックマンはピザを食べようとしています。誰かに見てもらいたい。見てもらったら忘れてほしくない。そんな役割を果たすべく、デザイナーは知恵を振り絞ります。ドキッとしてしまう素敵なデザインは、街なかに置かれた芸術作品。
タワー:高いところから見渡す街なみほど、気持ちの良い景色はありません。だからこそ、チャンスがあれば展望台へと足を運んでいます。道が碁盤目だったり、放射状に伸びていたり、街のつくりが確認できるから楽しい。これもいつか、まとめて記事にしたいところです。
車のエンブレム:トヨタ、ホンダ、スズキ、ニッサンと国産メーカーが強い日本にいたら気にしないのですが、海外には珍しい自動車が走っています。ダチア(ルーマニア)、シュコダ(チェコ)、セアト(スペイン)と全く知らなかったメーカーもあって、これも注目しだすと止まりません。菱が1つでルノー、3つで三菱、5つで上汽通用五菱汽車なのです。
漫画:お土産もかねて、世界各地で日本の漫画を探しています。フランス語、スペイン語なら語学勉強になるものの、写真を撮ったタイ語の「東京喰種 トーキョーグール」は解読できず。
猫:ヒーターの上は暖かいニャン。海外でも、猫は飄々と暮らしているのです。特に中東のイスラム圏では、イスラム教を開いたムハマンドが大事にしたという逸話から、街中に猫がいっぱい。エジプトの猫はレストランの魚を加えて逃げ出しました。タイの猫は屋台の商品に紛れて眠っています。教会だったり砂漠だったり、日本とは違った景色を歩く猫。海外の猫を見つけるのは、旅の楽しみの一つです。
子ども:生きることしか知らない彼らは、毎日が楽しくて仕方ないようで、いつも笑顔で遊んでいます。何をしでかすか想像がつかず、ジーっと見ていても飽きません。自転車で通り過ぎる時に「ハロー」「バイバイー」とあどけない声が聞こえたら、どんなに疲れていても思わずにんまり。曇りなき瞳でみつめられると「彼らのためにも少しは頑張ろう」という気にだってなります。この世で一番輝くものがあるから、子どもにカメラを向けたくなります。
「今はバタバタしているので、後でちゃんと写真を撮ろう」と後回しにすると、そのままシャッターチャンスを逃してしまったり。時には失敗したりもするけれど、旅に出たならいい写真を残していきたいものですね。くれぐれもバックアップはお忘れなく。
何に興味を持つかで、旅は姿を変えていきます。みなさんは旅に出たら、どんな写真を撮りますか?
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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