自転車で世界一周をすると1年間はこんな形になる
自転車で1日に進める距離は100km前後。自動車の1時間が自転車の1日。そのスピードでの世界一周ですから、どうしても時間がかかります。「来シーズンはどうしようか?」と頭を悩ますのは年末の定番。そんな自転車世界一周の1年間はどんな形となるのでしょう。2014年となりパタゴニア突入を控えていますが、これも南半球の夏にあたる今の時期を見越して、2012年9月末にカナダのバンクーバーから南下してきました。
新年おめでとうございます。自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。年末にかけて怒涛の移動をこなして、アルゼンチンのリゾート地バリローチェで新年を迎える計画も、予定にもない未舗装路に時間を取られ、小雨にぱらつかれて全身びしょ濡れになり、小さな村のキャンプ場に飛び込んだ大晦日でした。熱々のシャワーで汗を流して、そのまま眠りこけてしまったニューイヤー。一昨年はタンザニア、昨年はメキシコ、と毎年こんな感じです。
メキシコ北部で迎えた2012年のクリスマス
2013年はチリでクリスマスを迎えていました。
コカ・コーラの工場もケースでクリスマスツリーを作ってお祝いモード。
年末にアルゼンチンに入国したのはいいですが、こんな大自然を走ることになるとは……。
雨の後に架かる虹。チリでは全く降られることがなかったのですが、この辺りでは小雨がぱらつきます。
2014年の年明けはこちらで迎えました。
◆距離と滞在日数
2013年は1万6920.49kmを走り切りました。
グーグルマップで1年間の走行距離を表示するとこのような感じに
大きな地図で見る
月別の走行距離は以下のようになっています。
1月:1,454.43km
2月:1,884.08km
3月:1,296.77km
4月:1,588.37km
5月: 997.17km
6月:1,591.44km
7月:1,256.20km
8月:1,172.90km
9月:1,341.91km
10月:1,132.59km
11月:1,578.34km
12月:1,626.29km
1ヶ月1500kmという目標を叶えていたら、1年で1万8000kmを走っていないといけません。目標に足りない約1000kmちょっとは、何とかならなかったかと不甲斐なくもありますが、積み重ねた結果はちゃんとあって、旅は確実に進んでいました。
ペルー南部のチチカカ湖畔
チリ北部の乾燥地帯
そして、5月18日に南米のコロンビアに上陸。2006年のオーストラリアのスタートから7年を経て、ようやく最後の大陸に足を踏み入れました。
パナマからコロンビアまでは飛行機で移動
エクアドルで赤道を越えて、南半球を走っています。
もう一つ、自転車世界一周で目標に掲げた10万kmを、3月20日に中米のベリーズで達成。自分との約束をようやく一つ叶えることができました。現在11万2900kmを走っていて、地球3周分となる12万kmを目指しています。もう一つの目標である100カ国訪問も残り4カ国。
9万9999km……
10万kmを達成!
2013年の国別の距離と滞在日数はこのような感じに。
メキシコ:73日、3743.56km
ベリーズ:5日、277.63km
グアテマラ:17日、750.02km
エルサルバドル:5日、294.68km
ホンジュラス:1日、134.39km
ニカラグア:7日、365.98km
コスタリカ:12日、657.39km
パナマ:17日、533.39km
コロンビア:30日、1356.79km
エクアドル:30日、1169.44km
ペルー:84日、3554.05km
ボリビア:29日、1200.14km
チリ:52日、2653.11km
アルゼンチン:3日、229.92km
メキシコとペルーで3ヶ月近く滞在。南米の国は大きいのでコロンビア、エクアドル、ボリビアも1ヶ月かかっています。南北に長いチリとアルゼンチンも、どれだけ走ればいいのか見当がつきません。
メキシコから始まって、昨年はラテンアメリカの一年でした。
エクアドルではアンデス山脈を十二分に満喫。
最長の移動距離はボリビアのオルロに到着した10月16日で165.94kmを走っています。標高は3700m近くあったのですが、高原に出てしまっているのでスイスイと走れました。逆に最短の移動距離は5月18日の15.9km。この日はコロンビアの首都ボゴダの空港から、中心街に向かった日でした。
オルロで通っていたフライドチキン屋さんが並ぶ通り。
コロンビアからスタートした南米の旅もひと通り進んでいます。
南米のアンデス山脈では人生における最高所を次々と更新していました。それまでは中国内陸で越えた3792mの峠が最高所。まずはエクアドルで チンボラソ山の麓を走って、標高4000mを突破。そして リマ手前の峠が標高4818m。そしてボリビアとチリの国境になる 宝石の道では4910mにまで到達しました。
高山病にも悩まされたリマ手前の峠
世界の果てを実感した宝石の道
◆宿泊と食事について
1年365日のうち307日が安宿、4日をホームステイ、1日を空港で過ごしています。テントで眠ったのは全部で53日。そのうち42日が野宿で、11日がキャンプ場やレストランの脇でした。メキシコの北部とチリ以外は、ほぼ安宿に泊まっています。安宿のある国では、治安の心配もあるので野宿は避けていました。貧しい国では、汚い自転車旅行者といえどお金を持っていることを知っていますから。
メキシコの観光地では、ドミトリー(相部屋)のホステルに泊まっていました。
コスタリカの首都サンホセで見つけた安宿は広くて快適。
ペルーなら1000円前後でWi-Fiが使えて、トイレ・シャワー付きが標準。
食事に関しては旅で一番充実した一年でした。タコスの メキシコ料理から始まって、グアテマラのフライドチキン、コロンビアの 定食メニューに、魚料理のセビチェで有名な ペルー料理まで、中南米の食事情は豊か過ぎます。最近はチリの海鮮物とアルゼンチンの牛肉でお腹がいっぱい。
メキシコといえばタコスです
エル・サルバドルの小さな集落で出てきた食事ですらこのクオリティ
マス(トゥルーチャ)のフライも定番になるペルー料理
◆天気は大切
余程の人でない限り、灼熱のサハラ砂漠や極寒の北欧は走ることはしません。そういう事から、南半球の夏にあたる現在、パタゴニアを目指しています。そしてできることなら雨も避けたい。雨季と乾季がはっきりしている地域では、ほとんど雨が降らない時期もありました。昨年だとメキシコからコスタリカまで、ペルーからチリまではほとんど雨に降られていません。
乾季グアテマラの澄み切った青空
パナマでは雨季の始まりと重なり、このような激しいスコールと遭遇しました。走行中に降られなかったのは幸い。
エクアドル南部も雨が続いて辛かったです。
安宿で濡れたテントを乾かしたり……。
雨が降って一気にすり減ったブレーキシュー。早めに交換しないと金属部分でリムを削ることになり兼ねないので注意が必要です。
ボリビアの乾季には間に合ったので、ウユニ塩湖を自由に自転車で駆け回ることができました。
こんな感じで2013年も元気に走っていました。
◆今年の目標
カナダのバンクーバーから走ってきた南北アメリカの旅も最南端となるウスアイアで一区切り。オーストラリア一周、東南アジア周遊、ユーラシア横断、ヨーロッパ周遊、アフリカ縦断に加えて南北アメリカ大陸縦断も達成すれば、自分の思い描いた自転車世界一周はひとまず完成です。
ただ、中東や南アジア、太平洋の島国と行ってない場所も多いので、満足するまで旅を続けたいとは思っています。必要によってはバックパッカーになるかもしれません。新しい国に入るごとに、新しい発見が出てくるので旅は飽きません。海外での日々を重ねるに連れて知識が増えていってますし。そして出版に向けても動いていきます。できる事をやるより、できそうにない事に挑戦したい。15歳で夢見た自転車世界一周もそうでした。
今年は旅の終わりを見据えて、今までにない1年にしたいと思っています。皆様も素敵な1年を作ってください。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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