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「6時間労働」にすれば仕事の生産力が上がり家族や自分のための時間も作れる

by Caroline

労働時間のスタンダードである「8時間労働」は、日本だけではなくほとんどの先進国で共通しています。しかし「実際には考えられているほど有効なわけではないのでは?」と、スウェーデンで「6時間労働」にシフトする企業が出てきていて、弊害がないどころか、効率的かもしれないという実例が挙がってきています。

Why Sweden Is Shifting To A 6-Hour Workday | Co.Exist | ideas + impact
http://www.fastcoexist.com/3051448/why-sweden-is-shifting-to-a-6-hour-work-day

Efficiency up, turnover down: Sweden experiments with six-hour working day | World news | The Guardian
http://www.theguardian.com/world/2015/sep/17/efficiency-up-turnover-down-sweden-experiments-with-six-hour-working-day

8時間労働は自動車メーカー「フォード」のヘンリー・フォードが「最良の労働者を雇い続ける」という目的のために生み出した方策の1つで、それ以前は労働時間はもっと長いものでした。しかし現代、アメリカ人の労働時間は平均して1日あたり8.7時間と、以前より長くなっており、その内訳も実務よりメールや会議、Facebookといったことに割かれています。


この常識に挑んだのが、スウェーデンの首都ストックホルムに本拠を置くアプリケーション開発会社・Filimundusで、昨年から1日の労働時間を6時間に短縮しました。今のところ、仕事において労働時間を短縮した弊害は出ておらず、リーナス・フェルトCEOによれば「私の印象としては、やるべき仕事に集中することがこれまでより簡単になり、帰宅するまで力を残しておくこともできるようになりました」とのこと。

むしろ、「余力」があることにより、みんな帰宅時にハッピーなまま帰ることができ、翌日もハッピーに出社できるようになったというのは、予測していなかった効果で、これを見たフェルトCEOは「いまの人々はお金よりも時間に重きを置いていると思います。今後、多くの人々が『高給』よりも『自由時間』を選ぶようになるでしょう」と語りました。

by bark

別のスタートアップ・Brathも、3年前から6時間労働を取り入れています。他の会社は8時間労働のままなので、なにか大きな変化があるかもしれないとCEOのMagnus Bråthさんは考えていましたが、Filimundusと同様、何も起きませんでした。むしろ、成果をチェックしてみると他の会社よりも生産性が上がっていたとのこと。さらに、家族や自分のために使える時間が増えて、いいことずくめだとBråthさん。

by Shane Adams

同じ動きはスウェーデン政府にも起きていて、スウェーデン第2の都市・ヨーテボリでは、市当局が労働時間短縮と生産性の関係を評価するために、公務員の労働時間短縮を試験的に実施中。公営のSvartedalensケアホームでは、看護師の労働時間が6時間に短縮されています。

働いているリーセ=ロッテ・ペッターセンさんは「8時間労働のときは帰ってくるとソファに気絶するように倒れ込んでいました。しかし、今はそれがなく、仕事にも家庭にも多くの力を注ぐことができています」とコメント。高齢者介護の責任者を務めているアン=シャーロット・ダールボム・ラーソンさんは、スタッフの労働環境が幸福なほうが、介護の質が高くなっていると語りました。介護の現場では1990年代から少人数で多くの仕事をこなす状態が続いていて、過労によるスタッフの病気や不振が起きているとのこと。

ただし、このヨーテボリの取り組みは2016年で終了予定。導入した中道左派・スウェーデン社会民主労働党が市議会の多数派ではなくなり、保守派の穏健党や自由主義の国民党自由が労働時間短縮に強固に反対しているためです。

この労働時間短縮の取り組みでは、6時間労働でも8時間労働と同じ賃金が支払われており、Svartedalensケアホームでは時間短縮を補うために14人のスタッフが増員されています。その他の場所でも同様の措置が執られているため、国民党自由によれば、合計で年間8億クローナ(約114億6000万円)が費やされているとのこと。穏健党の議員はこの状況を「まるで空からお金が降っている世界に住んでいるようなものです」と揶揄しています。

by Nahid V

しかし、スウェーデン社会民主労働党と左派連合を組んでいる左翼党マッツ・ピルヘム市会議員は、国民全体が労働時間短縮に向かっているとコメント。ホームで働くラーソンさんは「スウェーデンで何かが起きようとしています。もちろん、政治的な利害もたくさんありますが、『仕事と生活とのバランスの明らかな欠如』もあるのです」と語っています。

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in メモ, Posted by logc_nt

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