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スマートフォンのカメラ画質がどのように決まるのかをカメラの基本原理から解説


初めて使うカメラがスマートフォンという人もいるくらい、スマートフォンのカメラはありふれた存在になりました。しかし、従来のカメラを使ったことがなくカメラに関する知識をまったく持っていない場合には、さまざまなパラメーターをどう変更すれば写真にどのような影響が出るのかが分からず、ぱっとしない写真を量産することになりかねず、もったいないと言えます。そんなカメラの知識がほとんどない人でも、カメラについて最低限必要な知識が付くように、プログラマ・写真家のダニエル・エガートさんが丁寧に解説しています。

How Your Camera Works · objc.io
https://www.objc.io/issues/21-camera-and-photos/how-your-camera-works/

カメラの基本原理は約200年前に発明されました。その原理は、太陽の光が発する光子が物に跳ね返り人間の目の中の網膜に当たることで人間が視覚を感じるのと基本的には同じで、光をフィルムに当てることでカメラは写真を描画しています。


現在、最も普及しているカメラはスマートフォンと言っても過言ではありません。スマートフォンに搭載されているカメラは、昔のようにフィルムを使っているわけではなく、デジタルセンサーが光をとらえて写真として写し出します

エガートさんによると、光をセンサーでとらえるという仕組みを考える前に、カメラ撮影に必要な基礎的な概念を知っておくことが重要であるとのこと。

◆光量のコントロール(露出)
カメラが光を集める機械であることから、光の量を調整することは、写真撮影にとって不可欠の作業です。光をどれだけ集めるかの程度を表すのが「露出値」で、これは後述する絞り値(F値)とシャッタースピードによって決まります。

一般的に、露出値が小さ過ぎることは「露出不足」と呼ばれ、露出不足の状態では真っ暗な写真(左)が出来てしまいます。露出不足の写真はPixelmatorなどのソフトで調整することが可能(右)。ただし、元の画像があまりにも露出不足の場合、写真の中の暗い部分は黒いままで修正が効かない、ということが往々にして起こるとのこと。


逆に、露出値が大きすぎることを「露出オーバー」と呼びます。露出オーバーの写真(左)では明るい部分の階調が失われ真っ白な状態になるため「白飛び」と呼ばれます。露出オーバーの写真もソフトで調整できますが、程度が激しい場合は全体が白や灰色がかった写真になってしまいます(右)。


写真を撮るときにはどれだけ光を集めれば良いかという露出を考えることは非常に重要で、事後の画像修正がないように露出不足、露出オーバーを避けるようにして撮影することが非常に大切だとエガートさんは述べています。

◆Stops(段)
写真の世界では、光の量は「Stop(段)」という単位で呼ぶのが慣例です。光の量が2倍になることを「1段上げる」、光の量が1/2倍になることを「1段下げる」という風に数えます。そして、この「段」に影響する要素として「シャッタースピード」「ISO感度」「絞り」の3つがあることを理解するのが重要です。

・シャッタースピード
カメラのシャッターが開いている時間が「シャッタースピード」で、この時間の長さは取り込む光の量に比例します。すなわち、シャッタースピードだけで段を調整する場合、2倍の長さになれば1段上がるというわけです。また、1/5(0.2秒)というようにシャッタースピードが遅い場合は、写真を三脚に固定するなどすることで、手ブレを抑える必要があるなど、シャッタースピードの速さは手ブレの発生に大きく関係します。

・ISO感度
アナログ式カメラの写真フィルムがどれだけ弱い光まで記録できるかを示すのが「ISO感度」で、この値はデジタル式カメラでもセンサーが感知できる光の度合いとして使われています。例えば、iPhone 6はISO 32からISO1600まで調整することが可能です。

ISO感度は数値が高いほど光が少ない(暗い)シーンでの撮影が可能になりますが、数値が高くなるほどにカメラにノイズが出現してきます。

ISO 32(左)とISO 1600(右)を比べると、ISO 1600では写真全体にうっすらとノイズが載っているのが確認できます。


・絞り(F値)
レンズに通過する光の量を調整するために開口部(孔)の大きさを調整する機構を「絞り」と呼び、F値という量で入光量が表わされます。F値が小さい方が光を多く取り込めるため明るい写真が撮影できます。一般的なレンズ式カメラと違ってスマートフォンのカメラではF値は固定されていることが多く、例えばiPhone 6のレンズのF値は2.2で固定されています。


◆3要素の組み合わせ
シャッタースピード、ISO感度、絞り(F値)の3要素を組み合わせることで露出値が決まりますが、前述の通りスマートフォン・カメラでは、絞り以外のシャッタースピードとISO感度を変更することで、露出を調整できます。

夜や暗い場面での撮影が、日中や明るい場面での撮影に比べて画質が悪くなる理由は、取り込める光の量が少ないから。すなわち慢性的な露出不足が原因です。暗いシーンではスマートフォンのカメラはまずはISO感度を最大限に高めて露出を稼ごうとしますが、たいていの場合、それだけでは足りずにシャッタースピードも遅くしています。そのため、ノイズが満載でしかも手ブレが発生している出来の悪い写真になってしまうというわけです。

シャッタースピードやISO感度での調整に限界がある以上、暗いところでもいい写真が撮影できるのは、最初からF値の小さいレンズを搭載し、手ブレ補正機能のついているスマートフォンだということになります。

◆イメージセンサーの役割
人間の目の網膜にあたるのがスマートフォンのイメージセンサーです。イメージセンサーは光を電気信号に変換する部品と考えればOK。イメージセンサーは膨大な数の画素センサーが集まって構成されています。

いわゆる「○○万画素」という画素数は画素センサーの数を示しており、画素数が多いほど高解像度の写真が撮影できます。しかし、出来上がる写真の美しさは画素数だけでは決まりません。

一つ一つの画素センサーは、電荷を蓄える「バケツ」にたとえられ、画素センサーの大きさが大きいほど多くの電荷を貯められ、ノイズの少ない良い画質になることが知られています。しかし、スマートフォン・カメラのイメージセンサーは、小さな筐体内に収める必要があるため大きさに制限があります。このため、あまりにも大きすぎる画素数では、それほど多くの電荷を貯め込めない「小さなバケツ」が密集することになり、画質が悪くなることがあるとのこと。そのため、「1300万画素のスマートフォン・カメラよりも800万画素のスマートフォン・カメラの方が画質が良い」ということが十分起こり得ることには注意が必要です。

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in モバイル,   ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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