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コンピューターが自動で売買取引を行う「アルゴリズム取引」とは

By Jim Makos

パソコンとネットがあれば誰でもいつでも株や為替の取引ができるオンライントレードが人気を集めていますが、その中でもアルゴリズムにもとづいてコンピューターが自動で売買を行う「アルゴリズム取引」が徐々に人気を集めています。自動で取引が行われる便利さや、機械的な取引のために欲を出して利益をフイにするという失敗がないというメリットの一方で、バグによるダメージが発生することもあるアルゴリズム取引に参加している人の現状が紹介されています。

Algorithmic Trading: The Play-at-Home Version - WSJ
http://www.wsj.com/articles/an-algo-and-a-dream-for-day-traders-1439160100

ネバダ大学リノ校に通い、カリフォルニア州にある病院「Tahoe Forest Health System」でネットワーク管理者を務めるMike Soule氏は、3カ月にわたり100時間という開発時間をかけて開発した外国為替(FX)売買システムを完成させました。このシステムは24時間・週5日間にわたり取引アルゴリズムにもとづいて自動でFX取引を行うシステムとなっており、Soule氏は趣味の一環としてこのシステムを自分で組み上げたとのこと。

プログラミングを行うDIY愛好者の間では、いまアルゴリズム取引の開発が活発になっているといいます。開発者自身の関心はもとより、周囲の同じ趣味を持つグループによるアドバイスや、オンライン講座などから情報を集め、趣味と実益を兼ねたアルゴリズムの開発が人気を集めている様子。Soule氏は「みんな、『実際にうまく行くの?』という質問を投げかけてきます。実際に取引を開始してみたところ、期待していた結果が出ているかどうかはまだわかりませんが、うまく動いている様子です」と自作アルゴリズムシステムの様子について語っています。

By Online Trading Academy

オンライン・オフラインの両方でアルゴリズム取引の関心が高まっており、オンライン取引業者ではアルゴリズム取引プラットフォームを整備して顧客を招き入れる取り組みを進めるところや、アルゴリズム取引を解説するYouTubeチャンネルが多くのPVを集める状況も見られるとのこと。ジョージア工科大学のTucker Balch教授が開いたオンライン講座「Computational Investing」には17万人を超える受講者が集まっており、ニューヨークで開催されたアルゴリズム取引イベントで講演を行った際には、受講者からサインを求められるという一幕もみられたそうです。

そんなBalch教授の講座を見てノウハウを学んだAlexander Sommer氏も、アルゴリズム取引を開始した人の一人です。Sommer氏は仲間3人と手を組んでアルゴリズム取引システムの開発に着手し、実際に取引を実行しているとのこと。Sommer氏は仲間と共同で20万ドル(約4500万円)の資金を運用し、アメリカのS&P 500やNASDAQの銘柄で取引を行っているそうです。


オーストリア・ウィーンに住むSommer氏は毎朝、システムが自動生成した取引概要のまとめメールに目を通すことから1日が始まります。本業として石油事業関連の仕事をしているSommer氏は仕事を終えて帰宅した夜9時からアルゴリズム取引の仕事を開始。深夜にわたるまで仲間と一緒にアルゴリズムの見直しを行って、アメリカの取引市場が開く午前3時に間に合うよう作業を行います。4名はチームとなって、交代でシステムの稼働状況をモニタリングするルールを定めています。

しかし常に取引がうまく行くとは限らないという側面もあるようです。前出のSoule氏は2013年にアイスランドへの旅行に出かけたのですが、現地ではインターネットの接続状況があまり良くなかったとのこと。数日後、ネットにつながったSoule氏が取引口座の状況を確認したところ、数日前よりも残高が少なくなっていることが判明。何かおかしなことになっていると思ったSoule氏はすぐに自身のシステムを停止し、旅行先から帰る飛行機に乗る前にアルゴリズムを修正したそうです。

Soule氏とが友人と旅行している間に、口座からは60%もの資金が失われるという事態になったそうですが、その原因はなんとアルゴリズムに含まれていた誤字だったとのこと。わずかな文字の違いのために、アルゴリズムは売却額の2倍の規模で買い入れを行っていたことが判明しました。Soule氏はこの一件に関し、「自宅に帰り、原因がほんの小さなミスだったことがわかったときには自分自身にがっかりしましたが、ほかに誰も責めるべき人はいないのです」と振り返っています。

By Dagmar tradingrichmom

Soule氏以外にも多くの人が参入しているアルゴリズム取引ですが、そのシステムはMicrosoft Excelを使って開発を行うものがほとんどであるとのこと。中には、画面上のアイコンをドラッグして並べるだけでアルゴリズムを作ることができるものもあるようで、サービスを提供する取引業者はあらゆる手を使って新規顧客の誘い込みに余念がない様子です。

Soule氏は先述の失敗を受け、システムの稼働を6か月にわたってストップし、アルゴリズムの見直しを徹底的に行いました。入念なチェックを重ね、システムを再び稼働させたところ、月単位で見れば勝つときもあれば負けるときもあるものの、利益が損失を上回り一定の満足を得られる結果になっているとのこと。しかしSoule氏にとってアルゴリズム取引はあくまで「趣味の一つ」であるとのことで、「本業の収入を大きく上回るようになればいいと思うけど、その状態を急いでいるわけではありません。今のところは、本業を楽しんでいますから」と語っています。

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in メモ,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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