「指輪物語」原作者トールキンの中つ国を舞台にした未完作が刊行されることに
「指輪物語」や「ホビットの冒険」の原作者であるJ・R・R・トールキンは1973年に亡くなっていますが、トールキンの作品を管理しているTolkien Estateがトールキンの未完作「The Story of Kullervo(クレルヴォの物語)」を2015年秋に出版することを発表しました。
New Tolkien book: The Story of Kullervo – The Tolkien Society
http://www.tolkiensociety.org/2015/07/new-tolkien-book-the-story-of-kullervo/
J.R.R. Tolkien's The Story of Kullervo Will Be Published In October
http://io9.com/j-r-r-tolkiens-the-story-of-kullervo-will-be-published-1722964621
「The Story of Kullervo」はトールキンの初期作のひとつで、指輪物語などの舞台である中つ国(Middle Earth)のベースとなった作品です。トールキンは大学に通っていた1914年頃に「The Story of Kullervo」の執筆を始め、フィンランドの叙事詩のひとつ「Kalevala」や、工芸デザイナーであり、作家でもあったウィリアム・モリスの影響を強く受けて物語を作ったそうです。トールキンの伝記の作者ジョン・ガースは「オックスフォード大学に在学中、トールキンは北欧の魔法使いや若者の恋模様を描いた韻文調の叙事詩を非常に好んでいました」と記しています。
トールキンは当初「The Story of Kullervo」を韻文体で書いていましたが、後に散文体で書き直し始めます。しかし、トールキンが亡くなるまでに作品が完成することはありませんでした。今回刊行される「The Story of Kullervo」はトールキン作品を研究しているバーリン・フリーゲ氏による編著で、トールキンの書いた原作と、作品の元となったフィンランドの叙事詩「Kalevala」に関するメモやエッセイが含まれています。トールキンは生前「The Story of Kullervoは自身が作品を執筆することになった原点である」と述べていて、中つ国の第一紀を形成した中心となる物語とのこと。
物語はKullervo(クレルヴォ)という名の少年が主人公。幼い頃に黒魔術師Untamoに父を殺され母をさらわれて身寄りがないKullervoは、Untamoに何度も殺されそうになりながらもUntamoの屋敷で暮らしています。危険な環境でありながらも、魔法の力を持ったMustiという黒い犬に守られて育つKullervoですが、成長したのちに奴隷として売られることに……。KullervoはUntamoへの報復を誓う一方で、彼を取り巻く残酷な運命からは逃れることができない……というストーリーになっています。なおトールキンの作品「シルマリルの物語」に登場するトゥーリン・トゥランバールはKullervoの子孫にあたるそうです。
「The Story of Kullervo」は2015年8月27日に発売予定で、記事作成時点ではAmazonで予約注文がスタートしています。価格はKindle版が2660円、ハードカバーが3542円です。
Amazon.co.jp: The Story of Kullervo: J. R. R. Tolkien, Verlyn Flieger: 洋書
http://www.amazon.co.jp/dp/0008131368/
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