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ロード・オブ・ザ・リングを撮ったジャクソン監督に「ホビット」の裏話を聞いてきた&来日記念記者会見レポート


3部作で合計29億ドル(約2400億円)の興行収入を上げ、「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」ではアカデミー監督賞と脚色賞をダブル受賞した映画界の巨匠ピーター・ジャクソン監督が最新作「ホビット 思いがけない冒険」のプロモーションのため来日。記者発表会などの合間を縫ってインタビューに答えてくれる、ということなので本人に直接会っていろいろと聞いてみることにしました。

ホビット 思いがけない冒険
http://wwws.warnerbros.co.jp/thehobbitpart1


なお、以下のインタビューではストーリーの核心に触れるネタバレはありませんが一部のシーンについて監督が言及している部分があるため「事前情報を一切頭に入れずに映画を見たい」という人は劇場に足を運んだ後で読むことをおすすめします。


監督インタビュー

というわけで、ホテルの1室でジャクソン監督を待ちます。


本人登場。割とラフな格好です。


Q:
今回の「ホビット」の製作を終えた後に「予想外に良かった」と思えるシーン、つまり、思い描いていたものや予定していたものとは違う内容になったけれども「すばらしい」と感じる結果になった場面はありますか?

ピーター・ジャクソン監督(以下監督:)
全部のシーンがそうだといいんですがね (笑)。さて、映画というのまずは脚本を作るところから始まるわけですが、私はその段階で完璧にシーンを考え抜いた上で撮影を始めるので、現場では妥協をしなければならないことも少なくありません。ですから、「予想外に良い」ということは少ないです。しかし、今回の「ホビット」ではゴブリン地下道でのシーンはクリーチャーをCGで追加し、ポストプロダクション作業を行うにしたがって内容を高めることができました。実際に、本当に作業を終えなければ行けないギリギリまで修正を繰り返したので、そういった意味で当初思っていたものよりさらに改善を加えられたので満足しています。


Q:
前作の「ロード・オブ・ザ・リング」の撮影から約10年後に、物語の時間軸としては60年間の話を描くという複雑な状況ですが、その際に特に気をつけた点などがあれば教えてください。

監督:
2つの作品に強い統一感が出るようにする、というのは当初から強く思っていたことです。というのも、映画の公開にあたっては前の3作があって、その後「ホビット」3部作が世に出る訳ですが、将来的には6本の1シリーズとして観られるようになるでしょうから、その際に全てが自然に見えるように注意しています。なので、とても小さいことにもこだわっています。例えば「ロード・オブ・ザ・リング」の時のビルボは冒険をはるか昔に終え年老いています。だから、部屋の中は本や書類などいろいろなものでゴチャゴチャとしていますが、「ホビット」で描かれるバギンズはまだ若く身の回りのことを気にかける余裕もあるので家の中はきちんと片づいています。

ちなみに、エルロンドの家は前作で使用したもの一式が倉庫に残っていたのでそれをそのまま本作でも使用しました。でも、それ以外のセットはほとんど新たに作り直していますよ。


Q:
撮影をしていて特に楽しかったシーン、逆にとても困難だったシーンがあればを教えてください。

監督:
「ホビット」を撮るということそのものが格別にすばらしい経験でした。なかでも1つ選ぶとしたら……ゴラムとビルボのなぞなぞ対決はお気に入りです。このシーンは18ヵ月の撮影期間の最も初期に撮影したもので、長い長い道のりを行く登山のような撮影の第1歩だったという意味で楽しくもあり感慨深いものでもありました。それに、この部分は12ページにも及ぶセリフがある9分間のシーンを長回し、つまりノンストップで撮っていて、まるで舞台演劇のようにして演じる、という普段とは少し違った手法で撮ったものでもあります。

難しかったシーンは、魔狼(ワーグ)にドワーフが追われるシーンですかね。ドワーフの衣装は重く暑いのですが、彼らは真夏にそれを着て走り回らなければならず大変そうでした。皆1、2テイクごとに倒れ込んでしまうので時間がかかりました。まぁ、私は半袖短パンでしたけど(笑)。


Q:
私はホビット、という生き物がとても大好きなのです。監督が考えるホビットの魅力とは何でしょう?

監督:
私もホビットはお気に入りですよ(笑)。それで、えーっと……私が考える彼らの魅力というのは、ヒーローらしくない、というところですね。基本的には危険な冒険は好まないし、暖炉の前で本を読んでいるような生活が好き、戦士ではなく戦い方も知らない。まぁ、私自身もそういったタイプの人間ですし、その他の多くの普通の人々にとっても共感できる点になっているはずです。また、そのような戦士ではない人間が困難に直面しながらも旅を続けていく、という姿を描くことで映画をより深みのある興味深い物にすることができるとも思います。ビルボも最初は冒険に出ることに乗り気ではなかった。でも、ドワーフたちと過ごすにつれて彼らの望郷の念を理解し、仲間の大切さを学び戦う術を身につけ、勇気や自信を増していく。その姿に感情移入して映画を観てもらえるというのは作品の魅力を増すのにプラスに働いていると思いますね。


Q:
映画製作におけるマネジメントについての質問です。「ロード・オブ・ザ・リング」、「ホビット」など超大作、巨大プロジェクトをまとめる監督という立場において特に気をつけていることや活用しているソフトウェア、ガジェットなどがあれば教えてください。

監督:
メイクとかCGとかいろいろな部署がありますが、それぞれに責任者がいるので基本的に彼らに任せていますね。私自身は、全て頭の中だけで管理しています。これは本当です。1日12時間くらい撮影に費やすことがほとんどですが、何時までどのシーンを取り終える、ということは撮影と同時に頭の中で考えてマネジメントしています。

あと、特に気をつけている点というのは、楽しむ、ということです。長時間の仕事なので、時には出演者たちとジョークを言い合ったりしつつ、笑いながら過ごすように努めていますね。


GIGAZINE:
そろそろ時間ですね。本日はどうもありがとうございました。

監督:
こちらこそ。

完成披露試写会

会場の入り口に到着。


日本向けにデザインされたポスター。


入り口ではカメラなどの持ち込みを防ぐために荷物検査が行われています。


ダンボールの中に積まれたパンフレット。


1冊ゲット。


バギンズの家の前に立つガンダルフが描かれたパネル。


こちらのパネルに描かれているのはエルフの国の風景。


不気味なゴラムがこちらを見ています。


ガンダルフの帽子。


3Dメガネをゲット。本作は毎秒48フレームという一般的な映画の倍のフレーム数で撮影されています。


上映前の会場。


なお、試写会の参加者全員が映画の内容や感想は12月4日まで口外しない、という決まりで鑑賞をしているため、ここでは映画の内容については一切書くことができません。

ほぼ満席となっていたため、上映終了後の廊下はものすごい混雑。


主要キャストの来日記者会見

受付の様子はこんな感じ。


舞台の背景には魔法使いガンダルフが映っています。


監督と主要キャストが登場。


舞台の上で報道陣のフラッシュを浴びる出演者たち。


ピーター・ジャクソン監督。


「ホビット」の主人公ビルボ・バギンズを好演したマーティン・フリーマン。


ドワーフたちのリーダー、トーリン役のリチャード・アーミティッジ。


ゴラム役のモーションアクター、そして「ホビット」の撮影第2班の監督も務めたアンディー・サーキス。


フロド・バギンズ役のイライジャ・ウッド。


というわけで、「ロード・オブ・ザ・リング」に続く「ホビット」も同じ3部作となっており、1作目の「ホビット 思いがけない冒険」は2012年12月14日(金)日本で封切り、そのご1年ごとに新作が公開されていく予定です。

『ホビット 思いがけない冒険』

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in インタビュー,   映画, Posted by darkhorse_log

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