取材

トム・クルーズが飛行機にガチでぶら下がった裏話を披露した「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」記者会見


シリーズ5作目となる映画「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」の公開が2015年8月7日に迫る中、伝説のスパイであるイーサン・ハントを演じたトム・クルーズと、監督のクリストファー・マッカリーが来日し記者会見を開きました。記者会見ではスタントなしで挑んだ離陸する軍用機にしがみつくシーンの裏話や、トム・クルーズの映画に対する強い思いが明かされました。

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』公式サイト
http://www.missionimpossiblejp.jp/

都内に設けられた会見会場。


最初にクリストファー・マッカリー監督が登壇。


続いて主演のトム・クルーズが登場しました。


トム・クルーズ(以下、トム):
再び日本に来ることができて大変うれしく思います。日本という素晴らしい国に来られるのは私にとって名誉なことです。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」は実は2週間前に完成したばかりで、この素晴らしい作品を日本の皆様に見ていただけるのは本当に興奮しています。セリフが最後の最後に変更されることもあって、翻訳の戸田奈津子さんにも大変な思いをさせてしまいましたが、とても感謝しています。


クリストファー・マッカリー(以下、監督):
また日本に戻ってこられて本当にうれしく思います。日本は大好きな場所で、いつも温かく迎えて頂き非常にうれしく思います。


Q:
毎回さまざまなチャレンジで世界を驚かしている本シリーズですが、今作はどんな仕上がりになっているのでしょうか?手応えのほどをお願いします。

監督:
今作はトムと一緒に仕事をした5本目の作品です。毎回が学びの体験で、前回学んださまざまなことを次の作品、つまり今作に注ぎ込むというプロセスで仕事をするのですが、今作の出来栄えには非常に満足しています。映画を見た人は、私がトムと一緒に学んできたいろんな知識や体験を感じられると思います。


トム:
私も監督と全く同じように思います。毎回映画に関わる時は生徒になった気持ちで臨んで、いつも何かを学んでいます。映画を見る観客のことを第一に考え、知っている限りの技術や知識を注ぎ込んで上質なエンターテインメントを皆様に届けられるように心がけています。映画のジャンルに関係なく、この気持ちはいつも変わりません。

クリスは本当にすごい監督で、脚本や映画制作の知識も豊富で、とても多くのことを学びました。今作でも、軍用機のエアバス A400Mにぶら下がったり、自動車やバイクでのカーチェイスをしたり、水中に潜ってのアクションだったり。水中でのアクションシーンではフリーダイビングに挑戦しましたね。アクションシーンを支えてくれるのは、素晴らしいスタッフと、その分野に特化した専門家たちで、そういったスタッフからも多くのことを学びました。ただし、飛行機にぶら下がることはみなさんにオススメしませんよ(笑)

Q:
アメリカでは7月31日に公開され、初日にシリーズ最高となる2030万ドル(約25億円)という興行成績を記録し、最高のスタートとなりました。

トム:
大変素晴らしい結果だと思いますし、関係者も本当に喜んでいます。本当にがんばって制作に取り組んだので、お客さんが楽しんでいるのを見ることはとてもうれしく私も満足です。

Q:
映画を見させていただき、飛行機にしがみつくシーン、水中でのスタント、カーチェイスのシーンなど、見ていると本当にハラハラするシーンが多くありました。これほどまですさまじいシーンに挑むトムさんには何か怖いものはあるのでしょうか?

トム:
「恐怖なんて感じない」というふうに自分に言い聞かせて撮影に臨んでいます。エアバスのシーンは何カ月も準備をかけて撮影したシーンで、ちょっと詳しく説明しますね。映画制作において、私が念頭においているのはストーリーとエンターテインメントについてです。エアバスにぶら下がるというのは、監督のアイデアで、監督から私に話があったんです。

監督:
本当はジョークのつもりで言ったんだけどね(笑)


トム:
ハハハ。でも話を聞いたときは、とても面白いものになると思いましたよ。最初はエアバスのテストパイロットと何カ月もかけて打合せを行い、撮影方法とかについて決めていった。2種類のカメラで撮影したんだけど、カメラを機体の外側に設置するには、重力がかかるので飛行機の速度とかも調整しないといけません。私がぶら下がるシーンの背景に地面を映し出すようなカメラのアングルを考える必要があったのも難しいポイントでしたね。ゴーグルをしていないのも問題で、250ノット(時速450キロ)出ている状態で目を開こうとするとどうなるか分かりますか?

それを解決するために、目全体をカバーするコンタクトレンズを着用したんです。コンタクトレンズを付ければ、250ノットで走っていても目を開けるし、また、ほこりが目に入ることも防げます。


もう1つの問題は私が「背広を絶対に着たい」と言っていたことで、これはアルフレッド・ヒッチコック監督の「北北西に進路を取れ」のオマージュでもあります。でも撮影をしたロンドンはものすごく寒くて、しかも高度が上がると温度も下がるので、寒さは信じられないくらいでしたよ。後、私が飛行機につかまっている部分というのはエンジンの真後ろなので、エンジンからの排気ガスをもろに吸うことになるんです。私はパイロットの経験があるので、排気ガスを吸うことは事前に分かっていましたが、誰にも言いませんでした。問題はできるだけ小さくしておきたかったから。バードストライクも恐れていた問題でしたね。

ロンドンには撮影前日の夜に到着したんだけど、飛行場にあった撮影用のエアバスが機体の下からライトアップされていて。霧が出ていたこともあって、そのライトアップされた姿がモンスターのように見えたのを覚えています(笑)


いざ撮影が始まってエアバスが走り始めると想像以上に寒かった。しかも、飛行機に縛られているわけだから、一度でも離陸してしまうと、撮影に問題が起こっても着陸しないとストップできなかったんです。滑走路のシーンだけ先に撮影が終わって、機内でモニターを見ていた監督と話をしたのを覚えています。

監督:
撮影が終わっていろいろ確認するためにトムに話をしにいったんですが、トムは分厚いコンタクトレンズをしていたし、耳栓もしてたのでほとんどコミュニーケーションがとれない状態でしたね。機外でトムの姿を見て、初めてトムが本当に過酷な状況にいることを気がついたんです。私は服を何枚も着てブーツも履いていたけど、それでもとても寒かった。背広しか着ていないトムがどれだけ寒かったかわかりますよね。後、エンジンの後ろに立ってみて分かったのが、ほとんど呼吸できないということ。だから、早く機内に戻りたかったよ(笑) 私が飛行機に戻る前、機体に縛り付けられているトムが叫ぶように「僕がパニックになっているようにみえるのは演技だからカットしないで!」と伝えてきたんです。だから、撮影中はトムが本当にパニックになっているのか、それとも演技をしているだけなのか判断がつきませんでしたね。

トム:
撮影中は、飛行機にしがみつきながら足をきちんと足場につけている必要があって。飛行機が離陸したら足が中ぶらりんになる演出を考えていたからです。いざ撮影が始めると、飛行機が滑走路を走るシーンだけでも足を足場に付けているのが本当に大変でした。スピードが上がる度に「さすがにまずかったかな?」と思いましたよ。エアバスのシーンは合計8回もリテイクがあったけど、無事に撮影できてみなさんが楽しめるシーンに仕上がったと思います。


トム・クルーズがスタントマンなしで挑んだ飛行機にぶら下がるシーンの撮影の様子は以下のムービーから確認できます。

Mission: Impossible Rogue Nation - Stunt Featurette - YouTube


日本テレビ ZIP イシヤマ:
トムさんは21回目の来日ですが、日本の夏で好きなところはありますか?

トム:
今回が一番暑いですね。でも、私は平気です。怖いものがないから(笑) 日本の夏で好きなところは……暑いところかな(笑) 私はもともと暑いのが好きなんです。引っ越しをたくさんして色んなところに住んでいたし、朝夕に新聞配達のアルバイトをしてたこともありましたから、暑いのには慣れています。他にもいろんなアルバイトをしたしね。後、日本は街が本当にきれいに見えます。人も素晴らしいです。

日本テレビ PON 映画ライターシンタニ:
今作のアクションシーンは素晴らしいものがありましたが、ファンとしては、これだけのことをやってのけた人が次はどんなことに挑戦するのか非常に気になります。年齢的なことも含めて、不可能を可能にしたいミッションは残っているんでしょうか?

トム:
たくさんあります。実はどんな話がいいかとか、次の脚本についても進めているんです。でも、残念ですけど今はまだ話すことはできません。

監督:
私はあまり変なジョークを言わないように気をつけます(笑)

ピア アガタ:
シリーズも5作目で20年に渡って続いていて、さらに次回作の構想もあるということで、シリーズがこれだけ長い間続いている理由をお聞かせください。

トム:
私が初めてプロデューサーしたのが「ミッション:インポッシブル」です。「タップス」という映画で初めて役をもらえたけど、そのころは若くてまだまだ新人で、演劇学校や映画学校も行ってなかったので、スタジオで映画のあらゆることを毎日勉強していました。そこでプロデューサーの仕事についても学んだんだ。

プロデューサーについては、自分にきちんとやれる自信がつくまで待っていた感じです。パラマウントに行った時に、機が熟したと思いプロデューサーに挑戦してみました。ミッション:インポッシブルはもともとテレビシリーズで、私がとても好きだった作品です。テレビシリーズを映画化することでいろんなことを言われましたけどね。

映画を作る上ではスタッフとの共同作業もすごく楽しいことの1つ。スタッフのことをとても愛していますし、シリーズがこんなに続いているのは名誉があること。映画を作るのは挑戦が伴いますが、素晴らしい体験や特権を与えてくれます。私は映画に関するあらゆる仕事が好きで、その特権としてこうやって日本に来ることもできますしね。

監督:
今作は、個人として願いがかなった作品なんです。イーサン・ハントは空を飛ぶこともできるし、岩を登ったり、透明になることができます。でも、イーサンは超人ではありません。超人的なことをやっているけど超人ではない。だから、イーサンがやらなくてはいけなく、かつ不可能な状況を作り出すのが大事です。これが脚本を書くうえで大変難しかったことですね。トムと2人で話して、明確な計画を練るのだけれど、撮影中に計画が変わることは頻繁にありました。だから、我々も撮影中にどこを目標にして進めていたのかわからなくなってしまうこともありましたよ。でも、計画が次々と変更されることの良い側面は、観客と同じように私たちも驚けることです。


Q:
今後「ミッション:インポッシブル」で日本を舞台にすることはお考えですか?

トム:
いつかやりたいですね。すごくおもしろそうです。でも、撮影では道路をたくさん封鎖するからね。映画の撮影では、ロケーションを選ぶのがとても大変なんです。国やコミュニティから許可を得る必要があるから、日本で撮影するならいくつの道路を封鎖できるのか、いくつのビルからジャンプできるのかなどいろんなことをクリアしなければいけませんね。

監督:
もし日本で撮影するなら、夏を避けて春か秋にしたいところです(笑)

オールアバウト:
これほどまでに長い間、映画界のトップスターでありつづけるためにトムさんが気を付けていること、日本で言うところの心技体を教えてください。

トム:
私は4歳の時に初めて映画を撮りたい、世界中を旅したいという夢を持っていました。それからずっと人生、映画に対する知的好奇心や情熱を持ち続けています。今は夢がかなったことをとても感謝していて、その気持ちを忘れることはありません。映画を愛していますし、スタッフへの感謝もすごくあります。だから撮影に遅刻したことは1回もないですよ。映画を作るのはものすごいプレッシャーがかかることです。でもプレッシャーというのは、私にとって特権のようなもの。プレッシャーを背負って自分を極限まで追い詰めて、人を楽しませることができることも特権ですね。

これにて記者会会見は終了です。


◆「ミッション・インポッシブル/ローグ・ネイション」
8月7日(金) 全国ロードショー
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
オフィシャルサイト:http://missionimpossiblejp.jp/
© 2015 Paramount Pictures. All Rights Reserved.

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in 取材,   映画, Posted by darkhorse_log

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