A4・A5・レターサイズでカバンにピッタリ収まるブック型水筒「memobottle」を使ってみた
飲み物を持ち運ぶ水筒でありながら、まるで本のように平らな形状をしている水筒が「memobottle」です。透明度の高い素材を用いたmemobottleはそのスタイリッシュなデザインから人気を集め、クラウドファンディングサイト・Kickstarterでのプロジェクトを成功させました。そんなmemobottleが編集部にも届いたので、どのような仕上がりになっているのか、使い勝手はどうなのか試してみました。
the idea – memobottle
http://www.memobottle.com/pages/the-idea
memobottle - A4, A5 & Letter Reusable Water Bottles by memobottle — Kickstarter
https://www.kickstarter.com/projects/1645027465/memobottle-a4-a5-and-letter-reusable-water-bottles
memobottleは透明度の高い素材「トライタン」を使ったブック型水筒です。「A5」「A4」「LETTER」の3タイプの水筒がラインナップされているのですが、その名前が示すようにそれぞれA5用紙、A4用紙、そして海外で使われることが多いレター用紙と同じサイズというユニークなサイズ構成となっています。
memobottleは、使い捨てられることが多いPETボトルの無駄をなくすために、みんなで水筒を持ち歩くことを推奨するために開発された製品です。Kickstarterで出資を募ったところ、世界中の6000名以上の出資者から目標額の1万5000オーストラリアドル(約150万円)を大きく超える約26万オーストラリアドル(約2600万円)の出資を集めてプロジェクトを成功させていました。
編集部にmemobottleが届きました。製品は内箱に入れられ、さらに写真に見えているボール紙製の化粧箱の中に収められています。
表面にはボトルのサイズやバーコード、そして左上の部分には「Designed in Melbourne, Australia Made in Taipei, Taiwan」の文字がプリントされていました。
背面には、発送時に送り状などを貼り付けるための専用スペースが設けられており、パッケージのデザインにこだわっている様子がうかがえます。
化粧箱を外すと、中から同じようなテイストの内箱が出てきました。前面には大きくボトルのデザインがあしらわれています。
サイド面には、冷凍OK、耐熱OK、そして人体に影響があると言われている「ビスフェノールA」を含まない「BPA Free」の文字が記載されていました。
背面には「Thank you」の文字とともにmemobottle開発の狙いや環境に対するメッセージが書かれています。
さっそくミシン目からパッケージを開けてみます。
中からは、乳白色の袋に包まれたボトルが出てきました。
パッケージに入っていたのは、小冊子と交換用のフタが2つ、そしてmemobottle本体。
小冊子には「You're now a part of the memo family. (これであなたもmemoファミリーの一員です)」というメッセージなどが書かれていました。
ボトルにはイーストマン社製の素材「トライタン」が使われており、高い透明度が保たれています。飲み口のあたりには「A5」の文字が大きく刻印されています。
本体を裏返すと、裏面には「memobottle」の文字が刻印されていました。
ボトルには交換用を含めて3個のフタが付属しているので、気分で使い分けたり、中身に応じて色を変えておくなどの使い方が可能。
フタの底には「memobottle」と刻印されたゴム状のパッキンが装着されており、漏れ対策が施されていることがわかります。このような部分にも刻印を入れてくるあたりは、かなりこだわりをもって作られた商品であることが伝わってくるのですが、しかし実はこれだけではないハプニングがこの製品には隠されていたのでした。
A5ボトルに続いて他の商品も開封してみたところ、なぜかA4ボトルとレターボトルは乳白色の素材になっています。当初の仕様では3サイズとも同じ透明の素材が用いられるはずだったのですが……?
調べてみると、これは何と製造上の理由で急きょ仕様が変更されていたことが判明しました。当初は3タイプとも透明の素材が使われるはずだったのですが、A5ボトルに使われている素材「トライタン」は強度上の理由でA4/レターサイズには使えないことがわかったため、代わりに柔軟性のある乳白色の素材に変更されたとのこと。仕様変更については事前に何の連絡もなかったのですが、これはどうやら他の出資者に対しても同じ状況だったらしく、Kickstarterページのコメント欄には落胆や怒りの声が続々と寄せられる事態になっています。
comments
急な素材変更について連絡がなかったばかりか、記事作成時点では仕様変更後の素材が「BPAフリーである」と書かれている以外は明記されておらず、満足の行く説明がなされていない点も問題。開発側と一緒になって製品を開発するというクラウドファンディングの性質上、まれにこのような出来事が起こりうることも一つの事実です。
気を取り直して再びA5ボトルを見てみます。フタを含めたボトルの重さは152グラムだったのですが、ここでまた別の事実が判明します。
2つゲットしていたA5ボトルのもう一方の重さを量ってみると、なんと173グラムと20グラム以上も重量が違っていました。本体の外寸はほとんど変わらないので、あとは本体の肉厚が微妙に違っているものとしか考えられません。資材を細かに管理しながら製造されるはずの工業製品としては考えにくい品質のバラつきから、このプロジェクトの大変さ・迷走っぷりを垣間見たような気がした瞬間でした。
実際に水を入れて容量を量ってみました。本体の重量を省いた水の重さは803グラム。たしか、パッケージにはボトルの容量が「750ml」と書かれていたので、多少の誤差は勘案しても50mlほど多く入っている計算になります。
細かいことは気にせず、実際に使ってみました。まずはボトルを洗い、実際の使用シーンとしてお出かけを想定してお茶を入れてみます。
中身を入れるときは、もちろんふたの部分から注ぎ入れることになります。開口部が狭いので、飲み物をこぼさないように気をつけるか、「ろうと」などを併用したほうがいいかもしれません。
あとはフタをギュッと締めればOK。
うっぷんを晴らすようにがしがしとボトルを振ってみましたが、フタから中身が漏れる様子は全くありませんでした。
しばらく本体を逆さまにもしてみましたが、フタパッキンの機密性に問題はなさそうでした。
スリムな本体の形状が最も活かされるのが、このようにバッグなどに入れたとき。円筒型のボトルだとかさばってしまうこともありますが、memobottleは薄くて平らな形状をしているうえ、滑らかな表面のおかげで持ち運びや取り出しが簡単にできました。
カバンの中身を見ても、他の荷物とピッタリくっついてスリムに収まっている様子がわかります。ノートPCなどと一緒にするのは少し怖い気もしますが、A5ボトルに使われているトライタンは本来高い耐久性を持っていることで知られており、多少の衝撃では割れてしまうことはないとされています。あとはフタをキッチリと閉めてしまえば、ほとんどのケースで水漏れを起こすことはなさそうです。
A4ボトルとレターボトルも見ておきます。当初のKickstarterページの説明では、A4ボトルとレターボトルは微妙に大きさが違ったはず。しかしこのように並べてみると、いくら目を凝らしても同じ大きさにしか見えません。
背の高さも全く一緒。コレはもう同じ金型で作られたと思うほかありません。
「A4」と「LETTER」と書かれた部分を観察すると、A4ボトルには見られなかった外周部の縁取りが存在しています。金型成形に携わった経験のある人ならピンとくるかもしれませんが、状況から判断するにこれは共通の金型を使って文字部分だけを差し替える手法が用いられている可能性が高いハズ。どうやらこの2つは同じものであるという疑いが強くなってきました。
同じボトルとほぼ確信したところで、「もしや」と思ってボトル本体の重量を測定してみると、A4ボトルが224グラムだったのに対し……
レターボトルは213グラムでした。なんだかプロジェクトの迷走っぷりを象徴しているような気がします。
レターボトルの規定量である1.25リットル分の水を入れるとこんな感じで、まだまだかなり余裕がある様子。
満水まで入れると、約1.64リットルの水を入れることができました。(容器の重量は差し引いてあります)
なお、使った後のボトルはこのように水道水でジャブジャブと洗い……
乾燥台などに立てて乾かすことになりそうです。開口部が狭いため、中にブラシやスポンジを入れて洗えない点がウィークポイントになりそうですが、これはデザイン性・機能性とのトレードオフと割り切るほかないのかも。メーカーのサイトやパンフレットでは「お酢などを使って洗えば良い」という記載もありました。
このように、優れたデザイン性で人々の関心を集めたmemobottleですが、少なくとも初回生産分に関しては必ずしも満足のいく製品だったとは言いがたいことが浮き彫りになっていました。ものづくりの現場というのはトラブルと試行錯誤の繰り返しであり、トラブルなしに物事が進む場合は少ないことも事実ですが、せめて素材変更の連絡があれば出資者の反応も違っていたのかも。
それでもこれはKickstarterのプロジェクトの一つ。今回のように、プロジェクトが順風満帆には進まないケースもあることを良く納得したうえで、プロジェクトに出資するという心構えが大切であると再確認させてくれる一件だったといえそうです。
なお、日本では同じようなブック型・スリム型の水筒が数年前に人気を集めていたこともありました。以下のような商品だと本体を分割して中を洗えたり、持ち運び用のケースが付属しているので、デザイン性はさておき使い勝手や機能面では一日の長ありと言えそうです。
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