「キル・ビル」の日本刀「ハンゾーソード」を海外の刀鍛冶たちが本当に作ってしまった一部始終

クエンティン・タランティーノ監督の映画「キル・ビル」に登場する、服部半蔵の作った日本刀「ハンゾーソード」を刀鍛冶たちが力を合わせてリアルに再現するムービーがYouTube上で公開されています。ハンゾーソードを制作したのは、キルラキルの「片太刀バサミ」など漫画やアニメに出てくる武器を多数再現して作っている刀鍛冶チーム「MAN AT ARMS」です。
Hattori Hanzo Katana (Kill Bill) - MAN AT ARMS: REFORGED - YouTube

映画「キル・ビル」は、主人公で元殺し屋のベアトリクス・キドーが属していた組織のボスであるビルに人生をめちゃめちゃにされ、日本刀を携えて復讐を挑む、という物語。

向かってくる敵をバッタバッタと斬り倒します。

ベアトリクスの日本刀は沖縄に隠居した刀鍛冶・服部半蔵が作ったもので、刀の柄付近にはシーサーの彫り模様が入っています。

服部半蔵がベアトリクスの腕を見込んで、ハンゾーソードを授ける場面。映画では、刀の制作風景はカットされていました。

今回「ハンゾーソード」の制作に挑むのは、刀鍛冶のMatt Stagmerさんと……

刀鍛冶で機械工でもあるKerry Stagmerさん兄弟。

そしてMAN AT ARMSチームの面々がハンゾーソード作りをサポート。

まずはたたらを使って鉄を鋼(はがね)に変えていきます。

この作業だけで実に600ポンド(約27kg)もの石炭が必要とのこと。

火力を微調整しつつ手作業で進めていきます。

この赤褐色の粉は「褐鉄鉱」という鉄鉱石の一種。約3500年前の地層から発掘されたものです。

たたらの周りを泥で固めているところ。

材料となる鉄が十分に熱されたら、たたらに穴を開けます。

すると、溶岩のようにドロドロに溶けた鋼が流れ出してきました。

その中から「けら」と呼ばれる、荒い鋼の塊を取り出します。

3人がかりで火が付いたままの「けら」をハンマーでトントンたたいていきます。

けらの中心部から核の部分を取り出して、火バサミでがっちりとつかみます。

そのままダッシュで加工所へ移動。

油圧プレス機で鋼をペッタンコに押しつぶします。

以下のようなカタマリが完成。これをいくつものパーツに分けて日本刀を制作していきます。

続いては刀の鍛造作業。専用のハンマーを使って……

細い鉄の棒を真っ赤になるまで打ちます。

真っ赤になった棒を使ってたいまつに点火。

たいまつごと炉の中に入れて、上から石炭を投入。

次は玉鋼の強度を上げる「鍛錬」の作業。中央に写っている黒いカタマリが玉鋼です。

玉鋼を火バサミではさんで、炉の中で熱します。

熱した玉鋼を打ち伸ばすことで、内部の不純物を取り除いてより純度の高い玉鋼を精製していきます。

純度の高い玉鋼は大量の材料の中からわずかしか取れない貴重なものなので、小さなカケラも大事に取っておきます。

玉鋼を十分に薄く伸ばしたら……

水に入れて急冷する「焼き入れ」の作業を行います。

焼き入れを行うことで、炭素が多く含まれる部分が砕け落ちて、丈夫な部分だけが残ります。

続いては玉鋼をハンマーで小さく砕く「小割り」の作業。

断面を見て、炭素量の多い部分を刀の表面となる「皮鉄(かわがね)」、炭素量の少なく柔らかい部分を刀の中心となる「芯鉄(しんがね)」として使います。

皮鉄をいくつも重ねてより丈夫なカタマリを精製する「積み沸かし」。

テコ台の上に皮鉄を積み重ねて……

濡らした和紙でくるみます。

和紙の上から泥汁をかけていきます。

泥汁は皮鉄の芯まで熱を伝える役割があるとのこと。

さらにワラと灰をかぶせて、酸素を遮断します。

炉にくべて、火花の様子を見ながら皮鉄を熱していきます。

炉から取り出して、面積の広い平型ハンマーで皮鉄を平らにならしていきます。

藁と灰をかぶせて炉にくべて……

鋼をたたいて鍛える作業を何度も繰り返します。

鋼がある程度の大きさまで伸びたら、「折り返し鍛錬」を行います。鋼の中央にタガネを入れて……

半分に折り目をつけます。

折り返して上下にくっつけたら……

灰をまぶして、再び炉に入れます。

次は90度回転させて折り目を入れて、縦半分に折り返します。「折り返し鍛錬」を何回も行うことで鋼の純度が高まっていくとのこと。

折り返す前に鋼を伸ばす作業では火花が激しく飛び散っています。

刀の中心となる芯鉄を作る工程は、皮鉄作りと同じく小さい鋼を積み重ねて……

和紙でくるみ、ワラをかぶせて泥汁をかけます。

炉で熱した芯鉄を半分に折り返して精製していく作業も皮鉄の時と同じです。

芯鉄は皮鉄よりも炭素分が少なく、鉄が多く含まれているので、たたいて伸ばす作業の時には火花がたくさん飛び散ります。

飛び散った火花はまるで線香花火のような美しさ。

火花が刀鍛冶の方へ飛ばないように、ワラぼうきを添えて作業しています。

続いては芯鉄と皮鉄を合わせる「造り込み」の作業。まず皮鉄の中央をへこませて……

コの字型に曲げていきます。

融剤として表面に白いホウ砂の粉をまぶし、細く伸ばした芯鉄を皮鉄の隙間に入れます。

炉で熱した後、ワラぼうきを挟みながら伸ばしていきます。

芯鉄と皮鉄がきれいにくっついた状態。何度も折り返したことで、内部には300万もの鉄の層ができているとのこと。

先端部分を斜めに切り落とす「切先つくり」。

温度が下がると、かなり日本刀らしい見た目に近づいてきました。

続いて行うのは、刀を棟側と鎬筋(しのぎすじ)側からたたいて「鎬」の線を浮き上がらせる、「火造り」の工程。

刀全体を薄く伸ばして、中央に鎬が見えてきたところ。

いよいよ日本刀の「刃」の部分を刀身に融合させる「焼き入れ」の作業です。刃のもととなる鋼を刀身の上に置いて、熱した後ハンマーでたたきます。

刃と刀身がくっついた状態はこんな感じで、刃の部分が刀身にきれいに融合しています。

焼き入れを行うことで、日本刀独特の「反り」が生まれます。

刀身を磨いて形を整えるヤスリがけ。

刃以外の部分に焼刃土(やきばつち)を厚く塗って、刀の強度を上げつつ、刀身に美しい刃紋を焼き入れます。

800度以上の高温の炉の中で前後に動かして刃に焼きを入れたら……

水に漬けることで、さらに刀身の反り具合が増します。

じゅじゅー

刀身が完成したところで、刀の柄に飾る「目貫」を作っていきます。

目貫のデザイン画を描いたら……

銅板にイラストを写して、びょうを打っていきます。

バーナーで表面をあぶり……

薬品に漬けて表面を磨けば完成です。

目貫の次は、刀の柄作り。木材に刀身を合わせて、サイズを測っておき……

表面をくりぬいて刀をはめる隙間を作っていきます。

続いては銅のカタマリを熱して……

銅の分量に対して6%の金を加えます。

これを冷やせば赤銅の板が完成。

左側の赤銅の板を右側の板のようになるまでハンマーでたたいて伸ばしていきます。

赤銅の板をプレス機で押し出して、柄頭を作成。

柄頭は、柄の先端に付けてカバーの役目を果たします。

こちらは鍔の内側を削って模様を作っているところ。

最後に刀の付け根に彫り物を彫っていきます

刀身に鍔や柄を取り付けて……

柄の表面に柄巻を巻いていきます。

そうして長い時間をかけて日本刀が完成。

刀身にはキル・ビルに登場するハンゾーソードと同じシーサーの彫り物が描かれています。

ハンゾーソードの切れ味を確かめるべく、巻き藁を用意して刀を構える職人。

巻き藁をスパッと一刀両断。

ハンゾーソードの見た目もさることながら、鋭い切れ味もバッチリ再現しています。

「BILL」と書かれたスイカも……

スパッとカット。

八つ裂きにしてしまいました。

刀身をしげしげと見つめて満足げな刀鍛冶。

なお、「MAN AT ARMS」はファンからの希望を募って刀や武器を制作しているので、作ってほしい架空の武器を伝えれば実際に制作される可能性は大いにあります。
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