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フォアグラが解禁された州では、シェフたちが喜んで調理を行ったとのこと。フォアグラを使うことでシェフはさまざまなテクニックやアイデアを実現させ、多様な味を作りだすことができるため、フランス料理において重要な「フォアグラ」という食材が禁止されている状況はかなり厳しいようです。
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場所は変わって雪の積もる地域。
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「Welcome」と書かれた扉を開けると……
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小屋の中にはたくさんのガチョウ。
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以下の画像に写っているのはニューヨーク州ハドソンバレーにあるフォアグラ農家のマーカス・ヘンリーさん。生産方法が「残酷だ」と言われるフォアグラですが、ヘンリーさんはケベック州の農家と契約を結んでおり、ケベックの農家で生まれたガチョウをひなから大切に育てています。
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ガチョウのひなはオスとメスに分けて育てられます。
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飼育場の室内の温度は32度ほどに保たれ、ガチョウのひなたちは暖かな部屋で4週間にわたって安全に保護され、整った飼育環境で育てられます。
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また、シェフのジェニー・チェンバーレインさんは、食材としてフォアグラを使うにあたって、直接農場の見学を行ったとのこと。フォアグラ農家で行われる生産法が問題ないと自分の目で確かめた上で調理を行っているわけです。
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フォアグラに関する議論の多くは、人々が「フォアグラ農家に来たことがない」ということに起因するとヘンリーさん。フォアグラ農家はアメリカに2つしかなく、見学するのが難しいという実情もあります。
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子どものガチョウは4週間が経過した後に別の場所に移され、十分成長するまで最大9週間ほど、普通の給餌方法で育てられます。
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フォアグラ農家が動物を尊重しているのは明らかな事実なのですが、動物保護団体にとって、「動物を尊重している」という点は重要ではありません。彼らにとって強制給餌という方法それ自体が根本的に「残酷」なのです。
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ガチョウたちは1日3回、肝臓が十分な大きさになるまで金属製のパイプを無理やり口に入れられ、穀物を無理やり食べさせられます。「ガチョウの肝臓の大きさは通常の10倍ほどになり、他の臓器を圧迫するだけでなく、息をすることさえできなくなる」とのこと。
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ニューヨークでエキゾチックアニマルの専門医として働くアンソニー・ピルニーさんは「ガチョウはよく歩き、よく食べ、成長も早いんです。一日中食べていますが、食事の回数が多いので、1度に大量の食事を与えられるフォアグラ生産方法とは基本的に食べ方は異なります」と語ります。
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「しかし、ガチョウ以外の鳥に対して強制給餌を行うことはもちろんあります。鳥が餌を食べなくなった時は強制給餌を行いますが、私は餌を与えている最中に自分の行いが残酷だとは思わないでしょう。でも、ガチョウがもし話せたら『強制給餌は嫌だ』と言うはずです」とのこと。
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実際の強制給餌の様子は以下から。ガチョウの頭をつかみ、長い金属パイプを口の中に入れます。
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そのままパイプをガチョウの喉の奥に突っ込みます。
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パイプの上についた容器に餌を入れ、強制的にガチョウに餌をやっていくわけですが、特にガチョウが大きく暴れることはありません。
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給餌が終わったらガチョウは解放され、平然とした様子でどこかに歩いていきました。
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1つのグループのガチョウに餌をやるのは決まった人であり、ガチョウと人の間には関係が築かれます。機械的に餌をやっているわけではないのです。
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獣医のピルニーさんも、「食料生産の現場では、家畜にダメージを与えれば商品としての価値が下がり、ビジネスとして成り立たなくなるということを、我々は考慮する必要がある」とコメント。フォアグラ農家のヘンリーさんも「我々はガチョウを自然な方法で育てており、傷つけていない」という点を強調しました。しかし、フォアグラ農家はアメリカに2つしかないため、反対派による攻撃が集中しやすい、というのもアメリカのフォアグラ農家の悩みの1つです。
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一方で、上記のような点を説明しても「フォアグラは生き物の使い方のうち、もっとも残酷な方法だ」と語る人は多くいます。
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フォアグラに反対する人がベジタリアンであることも多いそうです。
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フォアグラ生産・提供に反対する動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)のライアン・コリンさんも「動物を食べることを禁止するのが我々の勤めだ」と語っています。もちろんベジタリアンではない反対派もいて、「感情があり知能がある動物を殺すのやめ、我々はより高い標準を持つべきだ」と語った男性も。
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カリフォルニア州では2015年にフォアグラが解禁され、多くのレストランでフォアグラが提供されるようになりました。「フォアグラ禁止法が何かを達成したか?」という質問に対しては、「何も。むしろ前より人気が増した」という声もありましたが、人々が「何を食べているのか、何を食べるべきか」ということについて考えるよい機会になったというポジティブな意見も見られました。
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