生き物

重傷のウミガメを救ったのは3Dプリンターで作られたくちばし


医療業界では3Dプリンターを取り入れた研究や実験が進められており、過去には3Dプリンターで出力された義耳歩行支援機などが登場しました。人間だけでなく動物の医療現場でも3Dプリンターを導入する動きが見られていて、重傷を負ったウミガメのあごを3Dプリンターで作成し補強するというケースが報告されています。

Sea Turtle 1st 3D Printed Jaw Implant - 3D Printing Industry
http://3dprintingindustry.com/2015/05/14/robo-turtle-receives-species-1st-3d-printed-jaw-implant/

ボートのスクリューに巻き込まれて重傷を負ったというウミガメがトルコで捕獲され、Dalyan Iztuzu Pamukkale大学(PAU)に運びこまれましたが、左側の上あごと下あごが完全に欠損していたため、エサをあげながら回復するのを待つしかありませんでした。


そんな折りに声を掛けられたのが、BTechという企業です。BTechは3Dプリンターを活用したさまざまなものの作成を手がけていて、中でも医療に使われるインプラントの作成が有名だったとのこと。BTechのCEOであるKuntay AKTAŞ氏は「ウミガメのくちばし」という依頼を快諾し、しかも無料で作成することを提案し、実際にウミガメのくちばしを3Dプリンターで作るプロジェクトが始まります。

まずは、ウミガメの顔全体をスキャンしMimics Innovation Suiteというソフトウェアで3Dモデルを作成。その3Dモデルを元にして、ウミガメが失った上あごと下あご部分のレプリカを作成。ウミガメのくちばしの動きを想定してレプリカを作成するのはとても難しかったとのことです。


実際に手術を行う担当者たちの了承を得た後に、BTechは医療用のチタンを使ってくちばしを作成。


その後、作成したくちばしを埋め込む手術が行われ、大勢が見守るなか世界で初めてウミガメに3Dプリンターで作成したくちばしを移植する手術は成功しました。


ウミガメの手術後の経過は順調で、5月14日の時点ではリハビリを行っている最中。3Dプリンターで作成したくちばしの動作も問題なく、体力が回復したら海に帰されるとのことです。


3Dプリンターで作成されたくちばしが移植されたウミガメの術後の様子は下記のムービーから確認できます。

Dünyada ilk defa bir caretta carettaya 3D çene protezi takıldı - YouTube


過去にはコロラド・テクニカル大学の生徒が、甲羅を負傷したリクガメのために、3Dプリンタで甲羅を作成したこともあり、3Dプリンターの可能性は無限大にも広がっているようです。

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in ハードウェア,   生き物, Posted by darkhorse_log

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