3Dプリンタで作られた世界初のロボット型歩行支援機で下半身不随の人が歩行可能に
3Dプリンタで食べ物を出力することが可能になったり、リチウムイオンを印刷して作成する技術が発表されるなど、3Dプリンタはさまざま分野で活用され始めています。人間の手で作成すると緻密な作業が必要である小さなものまで出力可能な3Dプリンタは医学の分野にも進出しており、3Dプリンティング製品の開発・販売を行う3D SystemsはEkso Bionicsと共同で開発した世界初となるロボット型の歩行支援機を発表、実際に下半身不随の人が歩行支援機を使用して歩行する様子が公開されています。
3D Systems Prints First Hybrid Robotic Exoskeleton Enabling Amanda Boxtel To Walk Tall |
http://www.3dsystems.com/press-releases/3d-systems-prints-first-hybrid-robotic-exoskeleton-enabling-amanda-boxtel-walk-tall
Amanda Boxtelさんは1992年にスキー事故が原因で腰から下が不随になってしまい、医師から「もう二度と歩けることはないでしょう」と宣告されていました。しかしながら事故から22年が経過した2014年、ずっと車いすでの生活を余儀なくされていたBoxtelさんは3D SystemsとEkso Bionicsが共同で開発したロボット型の歩行支援機で実際に歩くことに成功します。
Boxtelさんが世界初となる3Dプリンタで出力されたロボット型の歩行支援機で歩いている様子は下記のムービーから確認可能です。
Walking Again with 3D Printed Exoskeleton - YouTube
イスに着席しているBoxtelさん。
松葉づえで体を支えるようにして……
スッと立ち上がりました。会場は大きな拍手に包まれています。
歩き始めるBoxtelさんの動きは滑らかで、バランスを崩すこともありませんでした。
ロボット型の歩行支援機の製作期間は約3カ月で、まずは下半身をスキャンしてBoxtelさんの腰や脚部にぴったりとフィットする外骨格の部分を3Dプリンタで作成します。開発者によると、Boxtelさんは脚部の痛みを感じることができないので、作成した外骨格がきつすぎないか、という点を特に注意する必要があったとのこと。
3Dプリンタで作成した外骨格に、Ekso Bionicsが歩行支援機の作動装置や操作部分を付け加えて完成に至ったというわけです。
3D SystemsのScott Summit氏は「3Dプリンタで出力した外骨格の部分は脚部にしっかりとフィットし、皮膚呼吸が可能になっているので、汗をかきにくいという利点があります。我々が開発した外骨格は体とロボット型の歩行器をつなぐ重要な役割を果たしているんです。今後は人間とロボットをつなぐという役割の質を高めていきたい」と発言しています。
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