3Dプリンターで生体組織と似た機能を果たす50ミクロンの組織を作成
オックスフォード大学の研究によって生体組織に似た物質が作成されました。花が花びらを閉じるようにクルンと丸まるようにデザインされた組織は今後、人体の必要な部分に薬を届けたり、損傷を受けた細胞と置き換えられたりして医療面で役立てられる予定です。
3D printer can build synthetic tissues - University of Oxford
http://www.ox.ac.uk/media/news_stories/2013/130405.html
組織は脂質膜に包まれた数千の小さな水滴が結合したもので、いくつかの人体組織の機能と同じ役割を果たすことが可能。この「小滴ネットワーク」は完全に人工物であり、自己の複製を行わないため、医療において人工多能性幹細胞を使用すると問題がある場合にも使え、将来的には人体の必要な部分に薬を届けたり、損傷を受けた細胞と置き換えられたりする予定です。
小滴は直径50ミクロンで生体細胞の5倍の大きさ。オックスフォード大学のHagan Bayleyさんは、「今回の実験で何万の小さな水滴からなるネットワークの作成が可能であることがわかりました」と語っており、研究は生体組織に似た物質を作ることを目的としているのではなく、生体組織が行える機能を実行できる物質の生成を目的としているとのこと。なお、小滴はタンパク質の孔で作ることができ、神経のように電気信号を伝えることも可能です。
従来の3Dプリンターでこのような組織を作ることは不可能だったため、研究チームはラボで新たに3Dプリンターを構築しました。組織は3Dプリントされた後、フラットなフォルムをまるで花のつぼみのように丸まるデザインで、筋肉の収縮運動にも似たこの動きは容量オスモル濃度の違いによって生まれます。
こちらが新たに構築された3Dプリンター。
組織が形を変える様子は以下のムービーから見ることができます。
3D Printed Synthetic Tissues - YouTube
なお、デザイン時におけるシミュレーションはこんな感じです。
3D Printer Simulation showing network folding into hollow ball - YouTube
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